怪・その25
「白いワンピースの女の人」
私が中学生の時に
築15年ほどの中古の一軒家に引っ越しました。
その家は二階建てで
私と妹の部屋は二階にありました。
階段を上ると左手に廊下が伸びていて、
兄の部屋を通り過ぎ突き当たって、
また左に曲がると
右手に私たちの部屋がありました。
毎日何回も階段を登るのですが、
階段を上りきって左を向くと、
時折、目の端にほんの一瞬、
突き当たりを左に曲がる
白いワンピースのようなものを着た
髪の長い女の人が見えることがありました。
顔は見えません。
ひるがえるスカートとふわりと揺れる髪。
誰かいるのかとこわごわと進みますが
もちろん誰もいません。
初めて見たときのことは
よく覚えていませんが、何回も見かけました。
何回も見るうちに
これは光の加減か何かの錯覚で
女の人の姿は私が想像で作り出したものだろうと、
思うようになりました。
なので家族の誰にも言うことなく、
やがて結婚して家を出ました。
その後、父が亡くなり
兄一家が母と共に実家に住むことになりました。
先日、みんなで集まった時に
兄の長女が中学生になっても
夜トイレに一人で行けないという話になりました。
訳を聞くと、女の人が見えるというのです。
同じように廊下の角を曲がる姿が。
すると私の妹も
見たことがあると言いだしました。
同じように白い服を着ていると。
妹も気のせいだと思うようにして
黙っていたそうです。
あの白いワンピースの女の人、
実は本当にいるのでしょうか。
そういえば実家にいた時には
何回か金縛りにもあいました。
疲れているんだな、で済ませていましたが
あの女の人と何か関係があったのかもしれません。
家を出てからは一回も金縛りにはあいませんから。
姪っ子は大丈夫かなぁ。
(ナミ)