怪・その12
「なぜわたしの夢に」
私が体験した、
怖いと言うよりも不思議な出来事です。
去年の6月の初め頃から終わり頃まで、
私は毎晩、不思議な夢を見ていました。
その夢には、毎回決まった人物が出てきて、
高身長で優しそうな男の人でした。
あるときは、友達として、
またあるときは、恋人として‥‥と、
出てくる場面や設定はいつもばらばらでした。
そしていつも、
夢の最後にその人が、
「俺にはまだやり残したことがある」
と言ったところで目が覚めます。
おかしな夢だなとは思いつつも、
日常生活に変わったこともなく、
誰かに話したりもせず過ごしていました。
そんな中、ある時見た夢は
いつものようは終わらずに、
「俺にはまだやり残したことがある」
と言ったあとに、
「○○によろしく伝えてくれ」
と言ったところで、目が覚めました。
その○○さんというのは、
私の職場の同僚の名前で、
他の部署から移動してきたばかりの人でした。
そして、その日からもう
その夢は見なくなってしまいました。
○○さんにこのことを伝えた方がいいのかな
とは思っていたけれど、
そこまで仲が良いわけではなく
仕事場ではなかなか話しかけらずにいたまま
数日たったころ、飲み会がありました。
その人と席が近かったので、
こんなことがあったんですよね〜と、
例の夢の一連を話しました。
すると、○○さんは真剣な表情で、
夢に出てきた人はこんな人だったか、
と携帯から写真を見せてくれました。
驚くことにそこに写っている人と、
夢の中の彼は同じ人でした。
そうだと伝えると、○○さんは、
彼女が今の部署に来る2年前に
事故で亡くなってしまった恋人だ、
と言うことを話してくれました。
なぜその彼が、
関係のない私の夢に出てきたのかは
今でもわかりません。
しかしそのことがあってから
その同僚の○○さんとはとても仲が良くなりました。
「突然の事故だったから
あなたがいい人だとわかって
最後の別れを告げに夢に出てきてくれたのかもね」
と、ちょっとうれしそうに話していました。
私も少しうれしくなりました。
(t)