怪・その13

「事故はなかった」


私がまだ赤ちゃんの頃の話なので
従姉妹から聞いた話です。

私の父親が亡くなり、
当時住んでいた九州の田舎に
関西から親戚が集まってくれたそうです。

母方の従姉妹は当時中学1年生。
父方の従姉妹も同い年で、
大人たちがお葬式の準備で忙しくしているため、
2人で外に散歩に出たそうです。

田舎のため、周りに公園などもなく、
家の前の道は森と、
当時兄が通っていた幼稚園のある方向へ繋がる
1本道しかありませんでした。

従姉妹たちは森側へ歩き
そして家へ戻る時に、
2人の横を一台の車が通り過ぎ、
幼稚園のある方向からは
自転車に乗った女の子が
こちらへ向かっているのが見えました。

すると、あっという間に
その車と自転車は接触事故を起こし、
自転車の女の子が倒れたそうです。

車の運転手も、倒れた女の子に向かって
「大丈夫ですか!?」と言いながら
慌てて車外へ出て来ました。

当時は携帯電話もなく、
目撃者も従姉妹たちしかいなかったため
2人は走って家まで戻り
大人たちに事故が起こったことを伝えましたが、
なぜか大人たちは
「今忙しいから」
と取り合ってくれませんでした。

とりあえず様子を見に戻ろう!
と2人は事故現場に戻りました。

すると、運転手と女の子どころか

車も自転車も何もありませんでした。

何も残っていないので
従姉妹たちはどうすることも出来ず、
家に戻り、お葬式に参列し、
それぞれの元の家に帰りました。

この話を、私が中学生の頃に、
遊びに来た母方の従姉妹が話してくれました。

従姉妹が
「あの時ママたち、
誰も話を聞いてくれなくって!」
と言うと、私の母が
「そんなに2人が
大騒ぎしたことなんて、あったっけ?」
と不思議そうにしていました。

今思うと、
従姉妹たちは暇そうにしてるところを
おばけだか何だかに
遊ばれたのではないかと思います。

(t)

こわいね!
Fearbookのランキングを見る
2019-08-13-TUE