怪・その19

「お墓に連れて行って」


これは今年21才になる二男が、
やっと歩きはじめた頃の話です。

主人の父も母も結婚する前に亡くなっていて、
そのどちらかの命日に、
子ども達と一緒にお墓参りに行きました。

まだ歩きはじめたばかりの二男は、
抱っこして連れて行った記憶があります。

それから何日か経ったある日のこと。

家の中で遊んでいたはずの、二男の姿が見えません。

家中を探し、庭や物置、車庫も探しましたが、
どこにもいません。

ご近所の方にも協力してもらい、探したところ、
墓場の方へ、
小さい子を連れた誰かが、
通っていったよ、
と教えてくれる人がありました

うちの二男が誰かに誘拐されたのかも?

と胸が締め付けられるような思いで
お墓に行ってみると、二男はひとり、
楽しそうに墓石の前に座り、笑っていました。

「〇〇!」と名前を呼ぶと、
真顔に戻り、
辺りをキョロキョロ見回した後、
急に泣き始めました。


主人の父も母も、主人の姉の子ども達を
たいへん可愛がっていたそうなので、
だからうちの二男も、と、 仏さんがお墓に抱いていって、
一緒に遊んでくれていたのかもしれません。

なぜなら、
墓地には20基以上のお墓があるのに、
二男が座っていたのは
うちのお墓の真ん前でしたし、
裸足だったのに、
足の裏が汚れていませんでしたから。

(i)

こわいね!
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