怪・その41

「小屋の家族」

父や兄、そして甥っ子まで
霊感が強いのです。

不思議体験満載なのに、
そういう世界をまったく信じていない、父の話です。

父がまだ若く、結婚前の頃。

釣りの好きな父は、仕事を終えてから、
夕方、海釣りに出掛けていました。

車を駐車する場所を探していたところ、
浜辺の近くに小屋を見つけ、
その小屋の隣に駐車しました。

車から降りて小屋の扉をノックし、
扉を開けると、
家族らしい人々が何人か座っており、
漁に使ったのだろう網を、
みなで繕っていたそうです。

とても賑やかだったそうで、
父が
「この小屋の隣に
車を停めさせてもらっていいですか?」
と言うと、みなニコニコして
「どーぞ、いいですよ」
と答えてくれたそうです。

扉を閉めて、父は早速、
海へ向かおうとしましたが、
戻る時間を言い忘れたので、

すぐ、小屋の扉を、また開けたそうです。

扉を閉めてからまた扉を開けた時間は、
ほんの数秒だったそうです。

しかし、

そこには先程の家族らしい人々の姿はなく、
ただ、繕いが終わった網が綺麗に干してあり、
シーンと静かな景色だったそうです。

未だに不思議だと言っています。

(t)

こわいね!
Fearbookのランキングを見る
2019-09-03-TUE