ほぼ日には、見習い乗組員として働いていた
「フェザード・シジュ」という名の
おかしな銀色の宇宙鳥がいました。
その鳥が、ある日活動を止めてしまいました。
Twitterの更新も滞り、
「体調が悪くなったのではないか」などと
心配の声もいただきました。はたして何が起こったのか。
これはそれを解明しご報告するコンテンツです。
宇宙鳥のフェザード・シジュは、
エレベーター型の宇宙船に乗って
清掃の制服を着たシジュ星の使者に
連れ去られてしまいました。
「ゆるゆるキャラ」としてのシジュのデビューに
ご尽力くださったみうらじゅんさんに、
ことの次第を説明することにしました。
- みうら
- つまりは。
- ほぼ日
- はい。
- みうら
- なんで、ゴミとされたかですよね。
- ほぼ日
- はい‥‥。遡って考えれば、
いろんな問題があったと思います。
- みうら
- そこんとこ、ちょっと聞いとかないと。
- ほぼ日
- ほぼ日は、ビルの9階と10階を借りております。
- みうら
- ですよね、ええ。
- ほぼ日
- ドアの内側はもちろん我が社のスペースなのですが、
エレベーターホールは
ビル全体の共用スペースのため、
ビルの方がお掃除してくださるんです。
- みうら
- エレベーターホールは、
ゴミ置き場ではないですよね?
- ほぼ日
- ゴミ置き場ではないのですが、
ものを置くべき場所でもありません。
- みうら
- つまりは自分の荷物を公道に出してしまった。
それが第1トラップですね。
- ほぼ日
- 次に、ヤマト運輸さんです。
このたび、クロネコヤマトさんの
配送システムが変わりました。
- みうら
- そうだ、変わりましたね。
- ほぼ日
- そのためシジュちゃんの荷物サイズが
ヤマト便の規定に合わなくなり、
福島出張の際には、別の宅配会社に
集荷を依頼することになりました。
- みうら
- そこが第2トラップですね。
- ほぼ日
- シジュちゃんはダンボールに入って、
出張の準備をしていました。
いつもなら電話してすぐ集荷に来てくださるところ、
新規の会社のドライバーの方は、
「会社に大きな荷物を預かるスペースがないので、
配送日の前日に取りにいきます」
とおっしゃいました。
しかしその「前日」は、私が
夏休みを取っていた日だったんです。
- みうら
- 魂が。
- ほぼ日
- はい、ええ、もういいでしょう、私が魂です。
魂が夏休みを取りました。
- みうら
- 3つの偶然が重なったんですね。
- ほぼ日
- はい。
そんな事情から、夏休みに入る前にパッキングして、
伝票を貼ってエレベーターホールに
出しておきました。
弊社には荷出し用のスペースもあるのですが、
シジュダンボールはそこに
入らない大きさなので、しかたなかったのです。
しかも、私は見慣れていたため
気がつかなかったのですが、
そのダンボールはボロボロでした。
- みうら
- ああ、ダンボールが古かったんですね。
それはかなり大きな問題です。
- ほぼ日
- 出張で何度か往復していたこともあり、
ボコボコになっていたので
「買い換えなきゃね」と言っていた矢先でした。
- みうら
- それは、たとえば
「くまモン」が出張するときには
到底使わないダンボール、
ってことですね。
- ほぼ日
- そうです。くまモンは使わないだろうし、
しかも中を見たところで、
シジュちゃん本体もゴミにしか見えませんでした。
- みうら
- でも、シジュちゃんは銀色のドーム型だから、
パッと見ただけで、
ゴミじゃない別なものだとわかりそうですよ。
- ほぼ日
- シジュちゃん本体は風呂敷で包んであったんですが、
風呂敷の隙間から見える本体が、裏返しになってて。
- みうら
- あ‥‥内臓がむき出しになってたってことですね。
- ほぼ日
- シジュ星の清掃服の方も、
何回も中身を確認なさっていたんですが、
ゴミだな、と。
- みうら
- そう結論づけたのは当然、ということなんですね。
ほんとうだったらまずは
「こんなところにダンボールを置くな!」と
おっしゃるところですね。
- ほぼ日
- はい、でも「どう見てもゴミ」状態だったので、
勤勉できれい好きな清掃の方であればなおのこと、
それはもうすごく丁寧に
ダンボールを小さくたたまれて‥‥。
- みうら
- 眉毛か目さえ見えていれば‥‥。
- ほぼ日
- 翌日出社して、
「あ、もう宅配便さんが持ってってくれたんだ」
と夏休み明けの私は思いました。
- みうら
- 当然、そう思いますよね。
- ほぼ日
- そのまま数日ふつうに過ごし、
福島のイベントの現場に
「届いてますか?」とのんきに電話しました。
「え? 着いてませんよ」と言われて
愕然としました。
- みうら
- ええ、なりますよね。
もうすわ、入ろうとしてるところですもんね。
- ほぼ日
- そうなんです。
それで社内中、みんなで探しました。
誰かが荷物が放置されていると勘違いして
片づけたかもしれないと思ったのです。
「これじゃ出張に間に合わない」
社内中全員で探して、
「ない!」「ない!」となって、
さらに宅配会社に電話して「ない!」
- みうら
- ちょっと待ってください、
宅配業者の方は、引き取りに来た荷物がなくて
不思議に思わなかったんですか?
- ほぼ日
- 宅配便の方は、荷物が約束どおり置いてないので
問い合わせをしてくださいました。
しかし私がタイミング悪く会議中で、受付の人に
「すでに引き取ってくださったと思いますよ」
と早合点してことづけてしまいました。
宅配便の方も、
「じゃあやっぱりヤマト便で送ったのかな?」
と納得なさった、という経緯がそこにありました。
- みうら
- そうか‥‥。
- ほぼ日
- シジュちゃんがどこにも見あたらないので、
「こうなったら防犯カメラを見るしかない」
ということになりました。
みんなで見たところ、それは衝撃の映像でした。
うちの総務が即座に
「ねんのためゴミ置き場を確認してきます!」と
白い影になって瞬間移動したのですが、
すでに数日経っていたので、
言わずもがな、その姿はありませんでした。
さかのぼれば、最初にシジュちゃんを見て、
「ダンボールでしか送れないところを
改善したほうがいいよ」
とみうらさんがおっしゃってくださっていたことを
すぐに実行していればよかったです。
- みうら
- しかし‥‥よくここまで全部、
裏づけが取れましたね。
- ほぼ日
- そうですね。
- みうら
- ふつうだったら、七不思議のひとつとして
語られるところですよ。
「ひょっとしてシジュちゃんがひとりで
福島に行ったんじゃないか?」
という疑問すら浮かばないくらい、
はっきりしてますよね。
- ほぼ日
- はい。
なにもかもはっきりしています。
これからシジュはどうすればいいのでしょうか。
帰ってくる? 帰ってこない?
お話は明日に続きます。
2018-03-30-FRI