ほぼ日には、見習い乗組員として働いていた
「フェザード・シジュ」という名の
おかしな銀色の宇宙鳥がいました。
その鳥が、ある日活動を止めてしまいました。
Twitterの更新も滞り、
「体調が悪くなったのではないか」などと
心配の声もいただきました。はたして何が起こったのか。
これはそれを解明しご報告するコンテンツです。
「働き方改革」の話から、
シジュの入っていた箱の話にうつりますが、
そこにもまた、ほぼ日の組織にかかわる
大きな問題が隠れていたのでした。
みうらじゅんさんのお話です。
- ほぼ日
- 数少ないシジュファンのみなさんは
「シジュちゃんの魂の人が怪我でもしたのかな」
と思ってくださっているようです。
- みうら
- あぁ、やさしいですね。
しかし、Twitterを見れば、
シジュちゃんをフォローしている人たちは
少なくないですよ。
そんなみなさんに、
今後は魂になっていただくのはどうでしょう。
ネットゆえに、フォロワーさんは
いろんな場所ににいらっしゃるはずです。
各県、いけるじゃないですか。
ほぼ全国でしょう?
- ほぼ日
- ほぼほぼ全国です。
- みうら
- 福岡のイベントだということになれば、
福岡の人にチャチャっとお願いして、なってもらう。
そうすると、労働問題も解決します。
- ほぼ日
- バルーンタイプだったら、
スーツケースで送ることができますし。
- みうら
- 各地で活躍してくれますよ。
‥‥でもね、以前も祭日なのに、
魂さんは、シジュちゃんをやってましたね。
うちのイベントにも来てくれた。
あれは時間外労働ですよね?
つまり「好きだからできる」ってことなんじゃ
ありませんか?
ここで魂に問われるのは、
「ほかの人にシジュちゃんを
まかせていいんですか?」
ということなんです。
- ほぼ日
- うーん、自覚がほぼほぼ足りてなかったです。
- みうら
- ほぼほぼ足りてないでしょう?
自覚ということでいえば、
福島に送ろうとしていたときの宅配便の伝票に、
「シジュちゃん」と書いてましたか?
- ほぼ日
- いいえ。
- みうら
- 何が入っているかも書いてなかったの?
- ほぼ日
- 「人形」と書いたかと思います。
- みうら
- ここだ。
荷物の内容を書く欄に、
なぜ「シジュちゃん」と、
堂々と書けないか、ですね。
- ほぼ日
- ガチャピンだったら「ガチャピン」、
ミッキーも「ミッキー」と書きますね。
- みうら
- それ以前に、彼らには専用の箱があるでしょう。
- ほぼ日
- うーん‥‥、つまりこれからは、
「捨てられないようにする」ということを
視野に入れなくてはなりませんね。
- みうら
- いいところに気づきましたね。
ぼくはそもそも、大事なものを捨てられないように、
スクラップをはじめたんですよ。
- ほぼ日
- はぁ、そうなんですか。
- みうら
- それはもう早かったです、
小学1年生からはじめましたからね。
大事なものというのはたいがい、
放っておけば、親に
大晦日の大掃除のときに捨てられるもんなんです。
- ほぼ日
- ‥‥そうですね。
- みうら
- ある人にとってはすごい宝物でも、
ほとんどの人からはクズ同然です。
何かにファイルするなど、
残すための手法が必ずあるんですよ。
それなのにシジュちゃんは、
引っ越しと同じダンボールに入れたままという段階で
失格でしょう。
今回のことを、もし小1の俺に教えたら、
カチンと来てるところですよ。
- ほぼ日
- あぁー。
- みうら
- 「それは捨てられるよ」って、
声変わりしてない声で言ったと思います。
- ほぼ日
- みうらさんはこれまで
ダンボールに物を入れることは
なかったんですか?
- みうら
- ダンボールに物は入れてます。
でも、中に何が入っているかを
かなりでかくマジックで書くようにしています。
なぜなら即座に捨てられるからです。
ところがシジュちゃんは、
「捨てられるんじゃないか」
という危惧がなく、それどころか
「まさか捨てないだろう」という
おごりがあったんじゃないでしょうか。
- ほぼ日
- そうですね、おごりが。
- みうら
- おごり高ぶりが出ています。
それをシジュちゃんはわかっていた。
「ぼくが人身御供になるよ」
- ほぼ日
- いけないですね。
- みうら
- 涙出そうな話じゃないですか。
たぶんほぼ日は大きくなって、人数も増えて、
このところ、何回も引っ越してるでしょ?
そのときもたぶん、そのおんぼろの
ダンボールで運ばれてたと思うんですよ。
- ほぼ日
- そうです。
- みうら
- 古い事務所から新しい事務所に
運ばれた道中、ダンボールの中で
「このままじゃだめだ」
と言っていたのかもしれません。
- ほぼ日
- ‥‥じつは引っ越した当初、
倉庫の中のシジュちゃんは
いちばん取り出しやすいところに
置いてありました。
でも、役に立たない、業績が上がってない、
ということで、
置き場所がどんどん奥になりました。
その結果、とても取り出しにくくなり、
魂である私が人に頼まないと出せないから、
夏休みに入る前に、数日間の余裕をもって
ダンボールをおもてに出すことになったんです。
- みうら
- そこだ。
- ほぼ日
- 取り出しやすい場所にあったなら、
当日でもよかった。
- みうら
- それだ。奥から出したからだ。
「ぼくの置いてあった場所じゃないでジュ!」
と言ってたんだね。
役に立たないというその考えはよくない。
シジュ星のテーマは、
みんなとなかよくしたいということなんでしょ?
- ほぼ日
- ‥‥そうです。
- みうら
- 業績なんて言いはじめたら、
なかよくならなくなりますよ。
うちの倉庫は平等です。
エロスクラップだっていやげ物だって、
平等に置いてあります。
ダンボールに入れられるものというのは、つまり、
「平等」ということなんじゃないでしょうか。
だから、ダンボールなんじゃないですか。
中身を見えないようにして、
平等であることを示す箱なのに、
わざわざ奥に置くのは、それはだめ、それはだめだ。
もともとはそこが原因ですよ。
- ほぼ日
- えっ、どこですか?
- みうら
- 倉庫ですよ。
- ほぼ日
- 倉庫?
- みうら
- これは、人間が作ったそのシステムに、
泣く泣く奥にやられたダンボールの悲話ですね。
- ほぼ日
- ダンボールですか?
- みうら
- ダンボールもです。
- ほぼ日
- たしかに‥‥奥から出し入れするので、
あちこちぶつけてボロボロになったとも言えます。
- みうら
- シジュちゃんからしたら、
そのダンボールは家なのだと思います。
「今後はもっと大きくしたいジュ」
と思ってただろうし、
ほかの業績別の箱とはわけが違う。
奥にいたら換気も悪いだろうし、
人の汗が付着してるから、
そのうちカビが発生します。
ほんとうならいちばん手前に
置かなくちゃだめだったんだ。
- ほぼ日
- はい、そうですね。
- みうら
- 平等が、ほぼ日じゃないですか。
- ほぼ日
- そうですね。
みうらじゅんさんのお話、
明日が最終回です。
2018-04-02-MON