ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。
2008-07-08-TUE
アドリアーノよ、ロナウジーニョよ!

インテルとACミランが、
山ほど問題のあるブラジル人ふたりの足に
運命をゆだねようとしています。

ミラノ、リオ・デ・ジャネイロ、バルセロナなどの
ディスコで夜を過ごし、
60年代にフェデリコ・フェリーニが
素晴らしい映画で表現した
「甘い生活」を地でいく彼らの名は、
アドリアーノとロナウジーニョです。

もはや「元チャンピオン」と言って良いほど
享楽の日々を過ごしている
アドリアーノとロナウジーニョに、
インテルとACミランは
来シーズンを賭けようとしているのです。
今期優勝のインテルは地位を確立させるために、
そして5位に終わったACミランは再起するために。

franco

アドリアーノ、ミラノに帰る。

アドリアーノは、その自堕落ぶりが原因で、
昨年の12月にブラジルに送り返されていました。
太って、しばしば酔っぱらっていたアドリアーノは、
生活を根本的に変える必要があったのです。
さもなくば、彼のキャリアは
終わりを迎えていたでしょう。

彼はサンパウロで、
サッカー選手らしさを取り戻し、
ブラジル代表のドゥンガ監督に
招集されるまでになっています。
そして、
たぶん彼のことを良く思っていなかった
マンチーニ監督がインテルを去った今、
アドリアーノは、新監督のモウリーニョが
彼のコンディションをより良い方向に
導いてくれたらと、期待しています。

ミラノに帰って来たアドリアーノは、
すぐさま、おなじみのセリフを語り始めました。
つまり、マッシモ・モラッティは彼にとって
会長というより父親に近い存在だとか、
インテルは彼の全てだ、
など、など、など‥‥。

そのフレーズは、
過去に何回も繰り返されました。
でも彼はもう26歳です。
遊び気分や軽率さを
若気の至りと言える季節は、
とうに過ぎています。
彼の発言にも、軽く聞き流すことはできない
決定的な重みがともなうのは、当然です。

komidashi

ACミラン、ロナウジーニョを希望?

もう一方のACミランは、
ロナウドとの苦くネガティヴな経験の後、
こんどはロナウジーニョに焦点を定めています。

ベルルスコーニ会長にとって、
ロナウジーニョの名前や勝利の数々が
過去のものかも知れないことは、かまわないのです。
とにかく彼はロナウジーニョに
魅せられているのですから、
数年前のレベルにACミランを戻すには
ロナウジーニョが必要だというわけです。
実際のところは、
バルセロナは彼を売りに出しましたが、
買い手は未だに定まっておりません。

成績が落ち、大きな競争力が望まれるACミランは、
このブラジル人チャンピオンが様々な場所で言っている、
お気に入りのチームはACミランだという言葉に、
期待を寄せています。

もしも両選手がミラノの街に揃ったとしても、
彼らが夜の主役に返り咲くなどは、
もってのほかでしょうね。

アドリアーノとロナウジーニョのテクニックについては
何も議論すべき点はありません。
技術にせよ想像力にせよ、彼らは
偉大なチャンピオンのすべてを備えています。
ですから、彼らが早く就寝し、
ビールをミネラルウォーターに持ち替えれば、
来期のセリエAにおいて、
インテルもACミランも
偉大なチャンピオンという主役を
得ることになるでしょう。

しかし、もし彼らが悪い習慣に舞い戻るなら、
ふたりとも身を滅ぼすことでしょう。
彼らが本気で、本来の偉大なチャンピオンらしさを
取り戻したいのなら、
彼ら自身が実現するしかありません。

ミラノの両雄、黒青チームと黒赤チームは、
彼らに期待しています。
それに答えるも裏切るも、
結果は彼ら自身にかかっています。


訳者のひとこと

今回の記事には関係ありませんが、
フランコさんのヴァカンス報告が
次週あたりから始まる予定です。
どうぞ、お楽しみに!!

翻訳/イラスト=酒井うらら



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