ほぼ日刊イトイ新聞
富士丸のとこに行きました。

第3回 富士丸の世界はお花畑?


穴澤 お昼寝とかあまりしないタイプですか。
糸井 しますよー。
大体今頃の時間は寝てます、1人で。
穴澤 今日は落ち着かないみたいですね。

糸井 人がいたらもう、しないですね。
穴澤 あ、そうですか。富士丸は‥‥、
取材中でも寝るんで、いっつも。
糸井 それすごいですよね!
穴澤 自分の話じゃないなと思うと
寝だしますね。
糸井 うわはははは。
穴澤 今日は、でも、どうだろう。
一応警戒するのかな。
糸井 富士丸くんは
動きが大きい犬の動きですね。
カッコいいよ。
「テレビで見るよりカッコいい」!

穴澤 ブイヨンちゃんは筋肉質ですねえ。
走ったら速そう。
糸井 脂肪率かなり少ないでしょうね、
だから寒がりです、ものすごく。
穴澤 ああ、でしょうね。
富士丸ってこの前、
フレンチブルドッグと普通に
走りっこして負けてましたからね。
遅っ! と思って(笑)。
こんなにでかいのに。
糸井 足長いのにね。
長くてもたついちゃうんですかね。
穴澤 なんか勝とうと思ってないみたい。
世の中はお花畑みたいな(笑)。
頭の中はお花畑。
糸井 ああ。お遊戯なんだね。
穴澤 そうなんです。
糸井 ブイヨンは今、そこの
リノリウムの階段ですべって
すっかりビビッてました。
富士丸 (ゆっくり部屋を歩く)
ブイヨン (突然、富士丸に吠えかかる)
ワン、ワン、ワン、ワン!
穴澤 ああ、そうか。
富士丸が、自分の仲間の人に
近づくと、
守ろうとするんでしょうね。
ブイヨン ワン、ワン、ワン、ワン!
糸井 そうだ。本当にそうだった、今。
ブイヨンってそういうやつだったんだ。
穴澤 守ってるんですね。
糸井 うん。
ブイヨン ワン、ワン、ワン、ワン!
糸井 富士丸くんは、じゃ、
お父さんのところにいなさい。
富士丸 (穴澤さんの側に移動)
穴澤 はいはいはいはい。
糸井 これでいいだろ、ブイヨン。

穴澤 これでいいね、はい。
ブイヨン (おとなしくしている富士丸に近づき
 鼻をすりよせる)
穴澤 「さっきはごめん」なの?
それ(笑)。
糸井 「申し訳ない」。
そんならいいんだ。
ブイヨンって本当に番犬だったのかな。
穴澤 うん、そういう感じですね。
糸井 おまえ、その野生の知性は(笑)。
いい子というか、
仕事するやつだったんだ。
穴澤 そうですね。犬としてまっとうな。

糸井 「富士丸な日々」にブイヨンが出たら、
みんな驚くだろうねえ。
本当にね、そのイタズラをしてみたくて
しょうがなかったんですよ(笑)。
「気まぐれカメら」に
富士丸が出てもビックリするよね。
ブログを介して、
穴澤さんと富士丸が
知られていくっていうことって、
まるっきりいやなことでもないんだし、
友達もできるし、
けれどもう1個また
不自由なこともあるし、みたいな。
そんな目に、昔の人は、
遭わないですよね。
穴澤 作り手側の意識は
あまり出してないんですが‥‥
糸井 そうですよね。
アホな父ちゃんですよね。
穴澤 アホな父ちゃんです。
気を付けているのは、
あまりネガティブなことを
書かないとか。
「Aというのがあんま好きじゃない」
って言うんだったら、
「俺、B大好き」って言います。
糸井 その意味で「ほぼ日」の読者と
重なるんでしょうね。
穴澤 そうですよね。
「あの人嫌いだ」なんて
くだらないことですもんね。
糸井 そう。言って
どうなるものでもない(笑)。
遅刻するやつがいるって
間に合った人に文句言ってるみたいな、
そういう話になっちゃうんですよね。
穴澤 そうです、そうです。
だから、糸井さんの本も読んで、
すごく共感したんですよ。
糸井 読んだんですか(笑)。
穴澤 「ほぼ日」ができるまでの
歴史を読んで、
いやー大変だったんだろうなって。
ブイヨン ウー、ウー‥‥
(ソファの奥から、おもちゃを発見)
穴澤 見つけてきた、見つけてきた。
糸井 ブイヨン、どうしてそういう‥‥
穴澤 富士丸、いいじゃん、
別に自分のあげたって。

糸井 犬種としての違いが出てますね。
穴澤 そうかもしれないですね。
糸井 ブイヨンは完全に猟犬。
富士丸くんはコリーの血が
入ってますよね。
コリーは牧羊犬だから、
人の面倒を見るのは仕事ですよね。
穴澤 いや、何もしないですよ(笑)。
本当に仕事っぽいことは何もしない。
糸井 でも、穏やかじゃないですか。
穴澤 そうですね。
糸井 実際、大変なことしてますよね(笑)。
穴澤 この部屋(1DK)ですからねえ。
でも、今はもう本当に楽なんですよ。
何もしなくなったんで。
昔は、これだけでかいと
破壊力が尋常じゃない。
いくらダメだと言っても
やっぱり留守番が一番最後までダメで、
持ってた赤いソファベッドを
破壊されましたからね。小1時間で。
糸井 穴澤さんがいないときに?
穴澤 そうなんです。
いるときは家具を壊すなんて
絶対しないんですけど、
留守番がとにかく子犬のときから
ダメで。で、ゲートを置いて
入れたりしてたんですけど、
なんかもう大丈夫かなって
思うときとかに、
ちょっとテストしたくなって、
ゲートを使わずに出かけたんです。
30分出かけて大丈夫、
1時間出かけて大丈夫、
ってやってたら、
1時間半ぐらい家を空けて帰ってきたら
ソファがブワーってやられてて、
やっぱりダメだー(笑)って。
怒ってももう仕方ないと思いつつ
メチャクチャ怒りましたけど。
糸井 ダメですよね。
終わってることですからねえ。
穴澤 いや、それは
そうでもないんですよ。
糸井 大事ですか?
穴澤 よく現行犯じゃないと
叱っちゃダメだって
言うらしいですけど、
経験上そんなことはなくて。
糸井 あ、そうですか!
穴澤 例えば破ってるものがあったら、
そこにこうやって持ってって、
「これをおまえが!」って
言いながら叱ります。
しかも、もう明らかに
反省してますからね、帰ってきたとき。
反省顔で「あ、何かやったな」と思って
探したら、案の定やってたりとか。
わかってるんで。
糸井 そうかそうか。時差があっても!
ブイヨンもそうです。
おしっこしてあったりしたとこを
発見して、「これは何かな」って
言うだけでハウスに入っちゃいますね。
穴澤 そうですよね。もうビビッて。
糸井 隠れるんですよね。
穴澤 「あっ」って言うと、
「えー」みたいな感じになります。
糸井 うん、そうだそうだ。
何なんでしょうね、ありゃ(笑)。
穴澤 世間でいわれるよりも絶対、
暮らしてみると全然もっと
頭いいんだろうなと思いますよね。

<続きます>
2007-02-12-MON
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