ほぼ日刊イトイ新聞
富士丸のとこに行きました。

第7回 富士丸は猫に負けるんです。


穴澤 昔飼ってた犬って
味噌汁にご飯、
じゃなかったですか?
糸井 残飯でね(笑)。
穴澤 むしゃむしゃ毎日、
なんか俺らが見ても
ちょっとうまそうな感じの
残飯をうまそうに食ってたし、
長生きもしたのに。
糸井 あれ、基本的には
長生きしてないんだそうです。
穴澤 あ、そうなんですか!
糸井

うん。やっぱり犬の余命は
どんどん伸びてって、
昔の倍ぐらいになってるそうです。
昔はやっぱり
栄養不足だったらしいです(笑)。

穴澤 (笑)

糸井 「昔の犬は」って言うけど、
ちゃんと調べると、
大体そんなに長く
生きてなかったでしょって言われると
‥‥確かにね。
穴澤 でも、うちの一番最後に飼ってた、
三河犬のテツのあとに飼ってた犬は、
15年ぐらい生きましたよ。
糸井 あ、そうですか(笑)!
穴澤 はい。本当に毎日
おばあちゃんが味噌汁とご飯。
富士丸とか、
ちゃんとしたのを考えてあげてるのに
下痢するじゃないですか。
あの犬は下痢なんか1回も
したことなかったです。
なんか気合が違いますよね、
昔の犬と。
糸井 寒さとかの対処も違いますよね。
だって、俺自身が
部屋に氷の張る部屋にいましたから。
穴澤 ああ、そうなんですか(笑)!
糸井 うん。昔の日本家屋だとか、
学校だとかって、
金魚鉢の金魚が
氷の下にいたんですから。
そこで俺らがはだしで
走り回ってたんだから。

穴澤 そうですよね。
やっぱり弱くなってるんでしょうね。
糸井 人も犬も、体内に上手に微生物が
安定していたんじゃないですかねえ。
穴澤 かもしれないですね。
寄生虫博士の藤田紘一郎さんの
本で読んだことがあるんですけど、
やっぱり昔の
ほどよく不潔な状態っていうのは
人を強くするって。
糸井 ですよねえ。
穴澤 だって、インドネシアとか行ったら、
いまだに花粉症なんかいないらしくて、
肌とかツルツルらしいんですよね。
糸井 だって、腸内の微生物が
人間1人1キロあるって
いうんでしょう?
穴澤 あ、そうなんですか?!
糸井 うん。で、牛の微生物は
もっとたくさんいて、
それが全部彼らの
蛋白源だっていうわけだから。
穴澤 しかも、その微生物がいないと
消化できないものとかありますもんね。
糸井 だから、コントロールできると
思ってることじたいが、
その次のコントロールのもとに
なっちゃって──。
穴澤さんは魚を飼ったことあります?
穴澤 少しだけあります。
糸井 僕、バス飼ったり
ナマズ飼ったりしてたんですよ。
穴澤 あ、ブラックバスね、はいはい。
糸井 面白いんですけど、
大体失敗するのは
水をコントロールしすぎるんです。
で、売る側は、
「あ、それだったらこれがいいですよ」
つって、変な薬とか
いろいろ売るんです。石とか。
大体全部使わないほうがいいですね。

穴澤 ああ、そうなんですか。
ブラックバスってあれですよね、
金魚とかやると
ガブーッとやるんですよね。
糸井 飼ったことあります?
穴澤 あります。釣って帰って入れて、
おばあちゃんが飼ってた金魚鉢が、
もう金魚がいなくなって、
水、カラだったんです。
それを使っていいものだと思って
水入れて、ブラックバス入れて、
餌用の金魚を買ってきて、
親父と二人でガブーッとやるのを
見てたんですよ。
で、次の朝起きたら、
バスがいなくなってたんです。
金魚だけになってて。
親父が「ごめん。おばあちゃんが
捨ててもうた」と言って(笑)。
バスを前のドブに捨てたと。
金魚を餌にするのが
残酷だというんだけど、
前のドブに捨てたバスは
どうなんだ?! って。
糸井 おばあちゃんには、
金魚のなかに
人間が入ってたんだね(笑)。
穴澤 そうなんですね、多分。
だから僕、その水が悪いとかいう前に
おばあちゃんに捨てられたので、
よく覚えてないんです。
糸井 けっこうナマズもそうだし、
いろんなものを見てたんだけど、
水を上手にコントロールしてるつもりが
全部バランス壊して、
微妙なところからダメになるんですね。
それはもう本当に、何もしないことの
すごさをつくづく感じますよ。
穴澤 ですよね。

糸井 だから、犬を飼うときも、
その水槽のことは覚えてますね、
何となく。
穴澤 ああ、あまり何かを‥‥。
糸井 しちゃダメなんだって。
穴澤 よく今サプリとか粒であげるのが
あるみたいですけど、
僕はそういうのは
できるだけあげないようにしてます。
納豆とか煮干とか
プレーンヨーグルトとか、
そういうのを食べさせて。
糸井 そういうの食べてるんだ。
穴澤 納豆食べないかと思いきや、
すごい大好きみたいです。
糸井 つまり、あげていいご飯っていうか
食物は決めてるってことですよね。
穴澤 そうですね。
肉はできるだけ少なくしますし。
糸井 納豆なんかをあげると、
例えば穴澤さんが食べてるときに
ほしがらないですか。
穴澤 ああ、ほしがらないです。
僕がご飯食べてるとき、
そこのものを取ろうとしたら
殺されるくらいに
思ってますから(笑)。
糸井 うちは教えなかったんだけど、
ほしがらないんです。
穴澤 それは頭がいいですね。

糸井 自分も知ってる肉とか
大好きなものがあると、
そばまでは来るんですけど、
ほしがらないで、
どうするかっていうと、
自分のおやつの場所に行って、
「くぅん」(笑)。
穴澤 (笑)そっちに入れてくれと。
糸井 で、そこで煮干を
もらってということですね。
じゃ、お互いに、いい犬(笑)。
(落ち着いているブイヨンと
 富士丸を見て)
両方がなんか安定したね。
富士丸はブイヨンが
もし近づいてきても、
眠いときには無視できるんですか。
穴澤 多分大丈夫だと思うんですけど。

糸井 猫とかについてもそうなんですか。
穴澤 猫は大丈夫なんですけど、
向こうが嫌いなんですね。
バーッとやられる。
よく襲われてます。
やめときゃいいのにワーッと行って、
シャーッとやられて(笑)。
糸井 羊の面倒見るのと同じように、
きっと猫も面倒見ようと
思うんじゃないですか。
「さあ、皆さん」なんて。
穴澤 ものすごい一人っ子の、
いや、末っ子っぽい
感じがするんですよね、見てると。
なんかもう甘えて。
糸井 とんでもないとこから
もらわれてくるときから
引っ込み思案だったみたいですね。
穴澤 そうなんです。全然ちっちゃい犬で、
気が弱くて。
糸井 カメラ向けると、富士丸は
ちゃんと自然にしてますか。
穴澤 そうですね。
(カメラを向ける)
富士丸 ‥‥(じっとカメラを見る)
糸井 あ、してる、してる。
カメラ目線してる。
ブイヨンはね、カメラを正面から
向けると、大体ね、避ける。
穴澤 ああ。怖いのかもしれないですね。
富士丸はもう慣らしてるので。
とくにこっち見たからといって
何かあげてることもないんですよ。
餌で釣ってるわけでもないんで。
糸井 そうですか、そうですか。
富士丸はやっぱり若々しいですね。

<続きます>
2007-02-16-FRI
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