BOOK
男子も女子も団子も花も。
「婦人公論・井戸端会議」を
読みませう。

第1回 今日も朝から20種類!?

第2回 サンマの煮干しに導かれて

明けても暮れてもラーメン
第3回
ウニラーメンと音の出る焼きそば
糸井 カップ麺でも、
最近は評判のラーメン店の味を再現する、
いわゆる「有名店シリーズ」が
たくさん出ていますね。
小山 私たちとセブン‐イレブンさんとで
共同開発した「名店仕込み」シリーズが
最初でした。
おいしいだけでなく、それぞれに
「ご当店」の背景があって、
イメージが広がる。
そういう切り口で成功しました。
その「ご当店」ブームをさらに一歩進めて、
私はインターネットのバーチャル空間に
架空のラーメン店を作ってしまいました。
「幻の名店」と名づけて。
糸井 「幻の名店 ほむら」だ。
物語がちゃんとあって、
おやじさんのキャラがいいんだよね。
小山 「ほむら」は中国で修行した
おやじさんの店ですが、
次は小粋な兄さんが切り盛りする店を
と考えてます。
私ね、意外と
ロールプレイングゲームが好きでして、
今回は町中がラーメン、お金までラーメン、
何してもラーメンという、
ラーメンだらけの街を作ろうと思ってます。
山田 大好きです、そういうの。
僕自身もお客さまに
「いやぁ、おもしろそうじゃん」
って言っていただけること、
何か新鮮なものがないか、を
いつも考えてますから。
基本はラーメンですけど、
僕がプロデューサー的な役割をしながら、
違うジャンルの方たちと
コラボレーションして
できることはないかとか。
糸井 「こんな不思議なものを作って失敗した」
というのもあるでしょ。
山田 世に出さなかったものは山ほどあります。
たとえばラーメンとウニの組み合わせ。
あったかいスープの上に生のウニをのせたら、
これが生臭くて食べられなかった(笑)。
でも、「なんだ、これ」と思っても、
負けたくない性格なので、
絶対に失敗のままでは終わらせない。
じゃあ、生臭くなくするためには
どうすればいいんだろうと考えるだけです。
糸井 失敗したのではなくて、
「まだ途中なんだ」と。
山田 そうです。今はまだできないだけ。
糸井 小山さんも、
そういうものは無数にあるでしょうね。
小山 音がするカップ焼きそばを
作ったことがあります。
ジュジュジュバチバチと
焼く音を出してしまえというので、
炭酸ガスを封じ込めた
砂糖の結晶を入れまして。
お湯をかけると、熱で糖分が溶けて、
炭酸ガスが出る時に音がする。
糸井 口に入れるとパチパチ音がする
お菓子がありましたよね。
小山 「絶対にいけるぞ!」と思いましたが、
あまり売れなくて(笑)、今は終売してます。
山田 もう、ですか。
小山 ええ。コンビニエンスストアでは、
売上げが“茶筒型”と言って、
1ヵ月から2ヵ月くらいの間に
一気に商品が出て一気になくなるんですよ。
コスト管理も徹底していて、
たとえば1週間に10食しか売れないものは
すぐカットだとか
厳密に決められているので、
それ以下だと、ポンと切られてしまう。
長続きするような切り口で開発しても、
年間で残る商品は2つか3つくらいですね。
即席麺を買う男女比で言えば、
7対3か8対2で男性のほうが多い。
年齢層では20代、30代が多いですけれども、
3年くらい前から40代が2倍くらい
上がってきました。
糸井 おっ、それは大きいなあ。
小山 高価格麺が登場してきた時から
グンと上がってるんですよ。
40代は、私もそうですけど、
チキンラーメン、カップヌードル世代です。
即席麺からちょっと遠ざかっていた
その人たちが、
高価格麺で戻ってこられた形になっています。
今後、高齢化社会にもなってきますので、
そうすると年齢の範囲は
もっと広がるんじゃないかと推測しています。
山田 さきほど出た「具多」も高価格麺ですね。
小山 あれは具に驚きがある
というコンセプトで出しました。
山田 驚いたのは、具の袋だけを別にお湯で温めて、
あとでカップに入れるんですよ。
普通のカップ麺より、もうひと手間かかる。
小山 即席麺じゃない、
と憤慨なさる向きもありますが(笑)、
外に出なければ食べられないようなものが、
家でそんなに難しくなく
食べられることは評価されていますね。
糸井 ほら、家で手軽だから
インスタントコーヒーを入れる一方で、
僕ら、エソプレッソ入れてミルク温めてと、
面倒なこともやっている。
あれと同じ現象じゃないかな。
小山 ニーズも二極分化していると思いますね。
カップヌードルのように簡単で安価なものと、
できるだけ本物に近く、
ちょっと手間をかけても
満足していただけるものとに。
そうすると、こちらもさらに
切磋琢磨できますので、
即席麺の世界はより広がっていきます。
糸井 僕自身の中にも、
いわゆるスローフードがいいと思う部分と、
一方でインスタントのこういうものがほしい
というのと、両方があるもの。
小山 1日の中でも朝、昼、晩、
それから間食だとか、
それぞれ違った
食べ方をしていると思うんですよ。
私なんか、休日のお昼はほとんど即席麺です。
山田 家でも?!
小山 家でもです。だけど夜は料理するとか。
今、単身赴任中で、
ゆうべは大根の煮っころがしを作って、
一人で食べてました。
家族のもとに帰ると、
子どもに「フランス料理作ったる」と、
朝から素材を買い出しに行って料理したりね。
山田 料理は僕もよくしますよ。
ほとんど外食で、
家で食べる機会はあまりないですが、
1ヵ月に1回でも2回でも
女房と2人でごはんを食べる時には、
基本的に僕が作りますから。
糸井 お二人とも、ほんとに「食」でいっぱいでね。
山田 食べることが生きがいですから。
  (つづく)

第4回 1分でも早く食べたい!

2004-02-15-SUN

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