試合に敗れて、悔いが残ります、と |
聖光学院対白河 |
こうしてほとんど毎日のように |
もうひとつ、断片を。 |
試合は東日大昌平が初回に3点を先制し、 |
たぶん、選手たちは |
満塁。そして、あと1点でコールドゲーム。 |
これはあくまでもぼくの想像であり、 |
もうひとつだけ、断片を重ねる。 |
さて、そこで、ぼくは総合的にこう感じる。 |
10対0のコールドゲーム。 |
7月24日、福島県のベスト8が出そろった。 |
整列を待つ、ほんのわずかな時間、 |
それが、後悔がないということかもしれない、 |
つまり、考えてみるとおかしなことだけれど、 |
一回表、積極的に打っていく白河打線。 |
最速は145キロといわれている歳内くん。 |
聖光学院、7番川合くんがツーベースヒット。 |
歳内くんがバントで送って1アウト3塁。 |
その後、フォアボールとデッドボールで、 |
それでも、笑顔がある。 |
好打者、遠藤くんの当たりは、サードへ! |
サード捕って、ホームには投げられない。 |
この間にもうひとりランナーが返り、 |
なおも、ワンアウト二三塁。 |
遠藤くんが返って、4点目! |
気づけばこの回、相手のミスを逃さず、 |
しかし、白河ナインの笑顔は健在。 |
先頭の根元くん、 |
ここで、鈴木智くんが、レフト前へヒット! |
根元くん、三塁を回る! |
ホームイン! 1点返した! |
俄然、盛り上がる白河ベンチ。 |
歳内投手から1点とったぞ! |
この機にたたみかける白河高校、 |
しかし、ここは歳内くんも踏ん張って、三振! |
でも、おもしろい展開だ。 |
4回裏、聖光学院無得点。 |
5回裏、聖光学院、遠藤くんが出塁。 |
センターへ十分な犠牲フライ。 |
その直後、ただの送りバントではなく |
6回表、根元くんがまたしてもヒットで出塁。 |
送球がそれる間に、三塁へ! |
しかし、歳内くんがふんばる。 |
小松くん、辺見くんと連続三振! |
鈴木智くんのとき、 |
そして、鈴木智くんも三振! |
そして6回裏、2本のヒットで |
マウンドに集まる白河ナイン。 |
ここで一打出ると、試合が決まりかねない。 |
聖光学院、四番福田くん、打った! |
白河高校、なんとか無失点で切り抜けた。 |
その後、白河高校、ヒットでランナーを出すが、 |
7回裏、エラーで出塁した中村くんが3塁へ。 |
白河高校、この試合、3度目の伝令。 |
スクイズーーー!! |
聖光学院、スクイズで7点目! |
さあ、どうにかしたい白河高校。 |
しかし、歳内くんが立ちはだかる。 |
三振! |
連続三振! ツーアウト! |
ツーアウトランナーなしから、 |
辺見くんもヒットで続く! |
沸く、白河ベンチ! |
しかし、続く鈴木智くんの当たりは |
ツーアウトながら‥‥。 |
満塁のチャンスが転がり込んできた。 |
聖光学院は、マウンドにまだ行かない。 |
腕を振って、投げ込む! |
三振! 8回表、白河高校、無得点! |
残す攻撃は、あと1回。 |
8回裏、聖光学院の攻撃は、三者凡退。 |
座って円陣を組み、 |
もう、笑顔はない。行くしかない。 |
ものすごい気合い。 |
見つめるナイン。 |
おそらく、「勝つ!」という信念のもとに集中し、 |
打った! 右中間を深々と破る! |
白河ベンチが息を吹き返す。 |
そして、だからこそ、こみ上げる気持ちもある。 |
応援席からも、声が響く。 |
センターフライ! |
あとはもう‥‥。 |
信じるしかない。 |
歳内くん、表情は変わらず。 |
ツーアウト、ワンボール、 |
聖光学院、ベスト4進出。 |
ある種の達成感とともに、 |
ベンチのすぐ横のカメラ席からは、 |
7対1、聖光学院の勝利。 |
応援席へ深々と頭を下げると、 |
試合前の笑顔と同じぶんだけ、 |
そして、ベンチ裏まで彼らを追って、 |
彼らは、ただ、泣いているわけにはいかないのだ。 |
泣きながら、讃え合いながら、 |
そんなことは、やっぱり想像していなかった。 |
ものごとには、近づいたぶんだけ、 |
そのころ、歳内くんは、 |