2019年11月22日、約3年の工事期間を経て
渋谷PARCOがリニューアルオープンします。
その4Fと8Fにほぼ日が入ることになりました。
実はPARCOと糸井重里って
古くから、とても深いつながりがあるんです。
もしかするとPARCOがなかったら
ほぼ日は生まれなかったかも?
リニューアルオープン前の渋谷PARCOに、
糸井重里がお邪魔してきました。
ご一緒してくださったのは
スチャダラパーのBoseさんと、夢眠ねむさんです。
前半は、渋谷PARCOの見学レポートを。
後半はPARCOのことを
たっぷり語り合う座談会です。
「PARCOとほぼ日って似てるなあ」なんて、
そんな気になるかもしれない、
全7回をお楽しみください。
渋谷PARCOの見学を終えた
Boseさん、夢眠ねむさん、糸井重里は、
ほぼ日オフィスに移動しました。
PARCOで宣伝を担当されている藤井浩人さんが加わり、
ここから座談会のはじまりです。
- 糸井
- 藤井さん、よろしくお願いします。
きょうはポスターなどを
持ってきてくださったそうで。
- 藤井
- よろしくお願いします。
そうですね、
お話のきっかけになりそうなものを
いくつかお持ちしました。
▲PARCOプロモーション部・藤井浩人さん
- Bose
- もうすでに、いろいろ机に広がってますね。
- 藤井
- 私は10年くらい
PARCOの宣伝関連の部署にいまして、
「シブカル祭。」の担当もしてましたので‥‥
※
シブカル祭。‥‥
若手女子クリエーターの
発表の場を提供する
PARCOが企画するカルチャーイベント。
- ねむ
- あ、「シブカル祭。」。
わたし参加させていただいたことがあります。
- 藤井
- はい。
- ねむ
- あっ、これです。
- 糸井
- どれどれ? おおー。
- 藤井
- でんぱ組.incさんには、
「シブカル祭。」1年目の
公園通りのステージに出ていただきましたよね。
- ねむ
- そうでした。
何度も出演させていただいて‥‥。
そうだ、ロゴスギャラリーで、
半田ごてでサイリウム(光る棒)を
作るワークショップをしましたよね。
あとはポスターを描かせていただいたり、
DJも。
- 糸井
- もう、あなたはほんとうに、
なんでもできる人なんですね。
- Bose
- トークもできる。
困ったら夢眠ねむを呼べばいいんです。
- 糸井
- 今日ね、それがよくわかった。
- ねむ
- いえいえ、そんな。
- 藤井
- まず最初のところからお見せしますと、
これが
池袋PARCOがオープンしたときの広告です。
- ねむ
- わたし昔から、
このポスターかっこいいって思ってました。
- Bose
- いいですよね。
- 糸井
- これ、アートディレクターは?
- 藤井
- 草刈順さんですね。
- 糸井
- なるほど。
西武のロゴも草刈さんですよね。
※草刈順‥‥
西武百貨店、阪神百貨店、緑屋などの
ロゴをデザインした
デザイナー/アートディレクター。
- 藤井
- PARCOのブランディングにあたって、
パルコ創業者の増田通二さんが、
石岡瑛子さん、小池一子さん、
山口はるみさんという、
3人のクリエイターにお声がけしたんです。
- 糸井
- そのスタッフィングは、
おみごとですよ。
※石岡瑛子‥‥
パルコなどの広告デザインほか、
マイルス・デイヴィスのアルバムジャケット、
ハリウッド映画の美術や衣装デザインも
多数担当したデザイナー/アートディレクター。
※小池一子‥‥
パルコなどの広告を担当したコピーライター。
無印良品のブランド立ち上げにも参加した。
※山口はるみ‥‥
小池一子、石岡瑛子と共に
パルコの広告を多数制作したイラストレーター。
- 藤井
- 女性が自立して社会進出をしていく、
ちょうどその頃、
女性クリエイターが
PARCOのブランディングをしたんですね。
- Bose
- それは何年頃の話ですか?
- 藤井
- 池袋PARCOがオープンした年ですから、
1969年頃ですね。
- Bose
- そっか、PARCOとぼく、同い年なんだ。
- 糸井
- ああ、もうそんなに前のことなんだね。
- 藤井
- 石岡瑛子さんが
アートディレクターを務められたのは、
このあたりの広告とか。
- 糸井
- いいねぇ‥‥。
このころ俺は
PARCOみたいな会社の広告をやれないから
うらやましいなと思ってたんですよ。
- ねむ
- 石岡瑛子さんは、
すごい存在だったんですね。
- Bose
- この広告が出たころって、
糸井さんはまだ若手ですか?
- 糸井
- 若手、若手。
ぼくよりちょっと上の世代の人たちが
石岡瑛子に呼ばれて仕事すると
「いいなぁ、俺のほうがうまく書けるのに」
なんて思ってた。
- ねむ
- だけど、その石岡瑛子さんと、
糸井さんも一緒に広告を作られたんですよね?
- 糸井
- うん。
でも呼ばれたら呼ばれたで大変だった(笑)。
真夜中に「ちょっと見てほしいんだけど」
って石岡さんに呼ばれて行くと、
制作プロダクションの人も
みんな起きて待ってる。
で、壁一面にコピーを書いた紙を
バーッと貼って、
「どれがいいと思う?」って。
- Bose
- それはなかなか(笑)。
- ねむ
- なかなか(笑)。
- 糸井
- そうやって石岡さんは
納得するまで悩んで、
最後に「わかった!」と言って、
朝日の中を帰っていく。
- ねむ
- 大変‥‥すごい時代だなあ。
- 藤井
- それで、これは広告ではないんですけど、
2011年に作った
『PARCOの本』っていう
PARCO社員向けの冊子です。
- Bose
- 社内の人向けの。
- 藤井
- はい。
この本で、糸井さんにインタビューを
させていただいたんですが、
覚えていらっしゃいますか?
- 糸井
- インタビュー‥‥。
それはもちろん、もちろんおぼえてます。
- Bose
- 十分あやしい(笑)。
- 藤井
- ええと‥‥このページです。
- ねむ
- 糸井さんだ。
- 藤井
- 「“儲かるからやる”のではなく、
“やりたいからやる”。
すると自然に“やりたい”人が
向こうからやってくる」。
この言葉はいまだに社員の語り草です。
- Bose
- すばらしい。
- 糸井
- この考え方は、ほぼ日がそうだから。
- ねむ
- そうか。
たしかにほぼ日さんってそうですよね。
- 藤井
- ぼく、これを若い頃に読んで感銘を受けたんです。
- Bose
- 受けますよね。
- ねむ
- 受けますよ。
- 糸井
- いやぁ、俺は自分でも知らないあいだに
いいことしてるなぁ(笑)。
- ねむ
- みんな、この言葉を心にとどめてるんですね。
やりたいから、やる。
(座談会は、つづきます)
2019-11-13-WED
渋谷PARCOにできる2つのスペース、
「ほぼ日曜日」と「ほぼ日カルチャん」について、
くわしくはこちらをご覧ください。
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN