糸井 |
こうやってお話をうかがっていると
ついつい、忘れちゃうんだけど‥‥。
原さんが失敗することだって、
とうぜん、あるわけですよね? |
|
原 |
そりゃ、ありますよ。 |
糸井 |
そうなんですよね‥‥
成功ばかりじゃないんですよね。
当たり前かもしれないけど。 |
原 |
少なくとも、
成功した会社の5倍は、失敗してます。 |
糸井 |
そんなに。 |
原 |
まだ誰も手がけていない、
世界最新の技術に取り組むわけですから、
ことごとく成功してたら、
そっちのほうが、おかしいでしょう。 |
糸井 |
はぁ‥‥そうですよね。 |
原 |
ですから、失敗例だけあげつらえばね、
あの原ってヤツは
偉そうなことばかり言っているけど、
失敗ばっかりじゃないか、なんて思う人も
いるかもしれませんね。 |
|
糸井 |
うん。 |
原 |
まぁ、他人にどう見られようと
関係ないですから。 |
糸井 |
そうなんでしょうね、きっと。 |
原 |
でもね、このオフィスのとなりに
コンピュータ・セキュリティの会社が
入ってるんですけど、
これはね、最近でも成功した例。
7年くらい前につくったんですけど、
おととしだったかな、
成長率・利益率が全米でトップになったんです。 |
糸井 |
全米で? |
原 |
今ではもう、従業員も1000人以上、
情報セキュリティーの分野では、
世界のITにとって
なくてはならない会社になりました。
急成長するもんだから、数カ所にわかれていた
日本の拠点を、
ぜんぶ、ここのとなりにまとめたんですよ。 |
糸井 |
へぇー‥‥。 |
原 |
売上高でいうと200億くらいの会社なので、
まだまだ規模は小さいけど、
伸び率で見ると、毎年、倍々になってきました。
あっという間に
何千人、何万人の会社になるんじゃないかな。
7年前に会社を立ち上げたころは、
10人ばかりの小さな会社だったのがウソみたい。 |
|
糸井 |
失敗も、いろいろあるんだろうけど、
そんな会社を、
たくさんつくってきたんだよなぁ‥‥。 |
原 |
でね、ちょっとね、おもしろい話があるんです。 |
糸井 |
ん、聞きたいです。 |
原 |
このビルにはね、IT関連では
世界有数の某会社も入ってるんですけど‥‥。 |
糸井 |
ええ。 |
原 |
その某会社がね、さっきのわれわれの会社に
すごく、危機感を感じてるみたいなんですよ。 |
糸井 |
ほう‥‥。 |
原 |
グーグルが短期間であれだけ急成長したように、
小さなベンチャーがあっという間に力をつけて
大企業を飲み込んじゃうなんてこと、
ザラにありますからね、アメリカという国では。 |
糸井 |
うん、うん。 |
原 |
だから、すごく警戒してるらしくて。
たとえば、自分のところの優秀な社員が
われわれの会社の人間と
エレベーターかなんかに乗り合わせたら
引き抜かれちゃうんじゃないか‥‥なんて。 |
糸井 |
なるほど‥‥。 |
原 |
そこで、われわれの会社がこのビルに入るとき、
オーナーに「あんな会社、入れてくれるな」と。 |
糸井 |
え、本当ですか!? |
原 |
本当。 |
糸井 |
うわー。 |
原 |
そんな会社を入れたら、絶対に困ると。 |
糸井 |
すごい話(笑)。 |
|
原 |
‥‥おもしろいでしょ?(笑) |
糸井 |
おもしろいというか‥‥いろいろ、すごいわ(笑)。 |
原 |
で、そんな騒動があったもんだから、
このビルのオーナーに言われたんですよ。 |
糸井 |
ええ。 |
原 |
「原さんのとこの会社、
何やってんだかよくわかんなかったけど、
ようやくわかった」って。
「あの世界的企業がイヤがるような会社を
いっぱいつくってるんだね」って。 |
糸井 |
でも、そのとおりなんでしょう? |
原 |
うん、その会社は今のIT時代のリーダーですけど、
未来のIT時代をになう
われわれの会社の技術には、勝てないでしょうね。 |
糸井 |
それ、言いきるのは、すごいですよね。 |
原 |
だって、技術って「一目瞭然」なんですよ。
優劣から、勝ち負けから、なにからね。
はじめからビジョンを持って
将来にかけて設計しているから。 |
糸井 |
ははぁ、なるほど‥‥。
いやぁ、今日の話もたまんなかったなぁ。
ありがとうございました、今日も。 |
|
原 |
いえいえ、こちらこそ。 |
糸井 |
インフルエンザにかかったって話から、
ここまで来たかと思うと、いやー‥‥。 |
原 |
あ、そうそう、そういえば、
このあいだ、バングラデシュに行って、
固定電話の会社の買収が完了しました。 |
糸井 |
えっと、それは、例の「XVD」をつかった
遠隔教育・医療のプロジェクトのために? |
|
原 |
そう。 |
糸井 |
着実に、進んでるみたいですね。 |
原 |
うん、スピルリナの件と公益資本主義の件でも、
こんど10月9日に、
東京で大きな会議を開こうと、思ってるんです。
ワールド・アライアンス・フォーラムといって、
1985年から23年間、
ずっと毎年続けているフォーラムがあるのです。 |
糸井 |
次、日本に戻るのはいつですか? |
原 |
えーと、来月の半ばくらいかな?
帰ってきたら、
ぜひ、いちばんにお会いしたいですね。 |
糸井 |
ええ、もちろん。 |
原 |
そのときにはまた、バングラデシュの件や
スピルリナの会議のことも、
いろいろ新しい報告ができるかもしれません。 |
糸井 |
おみやげ話、楽しみにしてます。 |
原 |
わたしも、楽しみ。 |
糸井 |
インフルエンザ、お大事に。 |
原 |
ああ、それはどうも、ありがとう(笑)。 |
|
|
<第2部 終わります>
|