糸井 | さて、2014年。 去年、お話をうかがったときは、 「連覇」を目標に掲げてらっしゃいましたが、 あと一歩のところで逃してしまいました。 今年は、どういう気持ちで臨むんでしょう。 |
原 | おっしゃったように、 去年は連覇できなかったということで 課題の残った年でした。 でも、課題を残した年っていうのは、 つぎの年を迎えるのがたのしみなんですよ。 |
糸井 | ああー、そうか。 |
原 | 逆に、完璧な結果を残したつぎの年のほうが、 モチベーションを維持するのが難しい。 やっぱり、なにかやり残したときっていうのは、 悔しさはあるけれども、 必ず、つぎにつながりますよね。 また、抱えている課題というものこそが、 自分たちの成長の糧となる。 |
糸井 | ちょっとうかがった話では、 昨年、日本シリーズの連覇を 逃したこともあって、 今年は、ペナントを戦う長期の戦いと、 ポストシーズンでの短期の戦いと、 両方強いチームになりたい、と。 |
原 | そうですね。 まぁ、144試合という長丁場の ペナントレースでは結果を出すけれども、 短期決戦では、なかなか結果を 出しづらい選手というのがいます。 とくにこの2年間、日本シリーズという舞台を 連続で経験したことによって、 短期決戦に向いている選手、向いてない選手、 というのが、はっきりしてきた。 |
糸井 | はい、はい。 |
原 | だから、それを踏まえた |
糸井 | ああー、なるほど。 |
原 | むしろ、そこへ向けた準備そのものが、 ペナントレースなんだよ、 というくらいにとらえたいですね。 |
糸井 | そのあたりのことは、 監督の考えだけではなく、 チームの方針として もう、スタッフのみなさんと すでにお話し合いをしているんですか。 |
原 | もちろんです。 スタッフ会議のなかで、今年の指針として、 最後に付け加えた1項目ですね。 やっぱり短期決戦に強いチームをつくると。 ペナントレースはもちろんだけれども、 短期決戦で力が出せるチームをつくることが 今季のひとつの指針だ、ということを言いました。 |
糸井 | 一年を通して戦うペナントレースに関しては、 去年もものすごく工夫されていて、 主力選手を思い切って休ませるとか、 新しい人を集中的に使ったりとか、 非常に方針のはっきりしたことを 思い切りよくやってらっしゃいましたよね。 |
原 | ま、去年は、そういうチーム構成だったから ああいった方針になったと思います。 2013年のチームというのは、 2012年のチームとはガラッと変わって、 非常に若返ったチームになりました。 そこで、打順に関しても、ローテーションも、 かなり動かしましたよね。 |
糸井 | はい。今年も同じような傾向に? |
原 | 今年はさらに動かすかもしれません。 また、それに耐えうる 選手層があると感じています。 層の厚さ、バランスでいえば、 ジャイアンツの80年の歴史のなかでも、 トップレベルではないかと思います。 |
糸井 | おおー、そうですか。 |
原 | 選手の質の高さというか、 バランスのよさという意味においては。 しかし、やはり、だからといって、 そのチームが勝つ保証はないですよね。 開幕してからも、たぶん夏ぐらいまでは、 なかなか、ベストオーダーというのは 定まらないと思います。 それは、悪いことではなくて、 可能性を持った選手たちが多いからだと思います。 |
糸井 | いいですね。 |
原 | ですから、まずは、 チーム内でのレベルの高い競争。 それに勝ち抜いてレギュラーとして試合に出る人は、 必ず、いい成績を残すと思います。 そういう選手をひとりひとり見極めながら、 チームをつくっていこうと。 だからもう、今年のレギュラーに関しては まったくの白紙です。 |
糸井 | それは、ほんとうになにも考えてない? |
原 | 白紙なんです。 どういうオーダー組もうか、白紙です。 |
糸井 | まあ、阿部選手みたいな人は別にして。 |
原 | いえ、慎之助も、何番を打つのかというと それはこれから決めることですから。 一昨年は四番、去年はおもに三番。 今年はどうなるんだといったら、 また、いろんな可能性がありますから。 |
糸井 | そうかー。 |
原 | じゃあ、一番バッターは誰か。 長野、勇人、あるいは、片岡。 で、二番は? ってなると、 また、候補はたくさんいるわけです。 今年入ってきた外国人のアンダーソン、 これも、おもしろい選手です。 彼がクリーンナップの一角を担ったら、 もしかしたて、勇人が七番、八番? みたいなことだってありうるわけです。 |
糸井 | なるほど、なるほど。 |
原 | というときにね、 ぼくはあえて、無理に考えるのをやめようと。 で、時が経つことによって、 その選手たちの力が見えてきますから、 その時点で、固めていきたい。 |
糸井 | ほんとうに誰も確定していないんですね。 思えば、去年もそういう 動かし方をしてましたよね。 |
原 | たとえば、シーズン終盤に 四番を打っていた村田は、 九番にいたときもありましたから。 |
糸井 | そうでした(笑)。 |
原 | でも、やっぱりね、そういうことも いまに生きてるんだと思うんですよ。 その、九番にしたから よくなったとは言いませんけど、 彼は7月からはもう、 打率も4割近くまで上がって、 誰もが認める四番バッターになりました。 |
糸井 | そうですね。 夏から終盤にかけての安定感は見事でした。 |
原 | とてつもない四番バッターですよね。 打てることはもちろん、あれだけ守れて、 ときに犠牲バントもできる。 そういうことができる 四番バッターというのはね、 歴代の巨人のなかでも なかなか希有な存在じゃないでしょうか。 |
糸井 | そんな人が調子次第では 九番を打つこともありうる。 いやあ、おもしろいチームですね。 |
2014-04-03-THU | ||