- 糸井
- どうもはじめまして。
- 松本
- はじめまして。
よろしくお願いします。
- 糸井
- ぼくはこのマンガ、
ベテランの方が描いてるんじゃないかと
思ってたんです。
なので、はじめてお会いして、
いまちょっとびっくりしてます。
- 松本
- はい、ベテランではないです。
新人でもないですけど(笑)。
- 糸井
- このマンガ、
こんなふうに人気になるとは
思ってなかったでしょ?
- 松本
- 思ってなかったです。
本になるとも思ってなかったので、
1巻なんてまだ落描き感があります。
最初はサラッと描いてたので。
- 糸井
- 最初からツイッターに?
- 松本
- ほんとの最初はマンガじゃなく、
「犬かわいい」みたいなツイートをしたんです。
それにけっこう反響があって、
それならマンガにしてみようかなって。
- 糸井
- ああ、なるほど。
「マンガにしよう」の前があったんだ。
- 松本
- そうなんです。
最初は犬が毎日まったく飽きることなく生きてて、
そこがかわいいって、
文章でツイートしたんです。
- 糸井
- 犬、かわいいです(真剣)。
- 松本
- ですよね(笑)。
そうしたらそのツイートが、
びっくりするくらいリツイートされて。
- 糸井
- それまで松本さんのツイッターは
静かだったんですか?
- 松本
- はい、素朴な感じでしたね。
フォロアーも3000人くらいで。
「こんなごはん食べてます」みたいな
ツイートをしてました。
- 糸井
- 3000人もいたら、
たのしくやれてる感じですよね。
- 松本
- そうですね。
犬も猫もいないふつうのツイッターでした。
そこに2ページだけのマンガをアップしたら、
反響が思った以上にあって、
ちょっとつづけてみようかなって。
最初はすごく軽いきもちでした。
- 糸井
- さっき「最初はサラッと描いた」と
おっしゃってましたが、
ぼくらからしたら
トーンは最初からできてると思いましたよ。
本職のほうのマンガも、
こういう感じなんですか?
- 松本
- まあ、そうですね。
いや、もうすこしちゃんとしてるかな(笑)。
- 糸井
- (担当編集の安達さんに)
このマンガが「いける」というのは、
いつ頃気づかれたんですか。
- 安達
- 松本さんが1話目を描いたのは
2年くらい前のことなんですが、
「こういうマンガを描こう」という
打ち合わせをしたわけでもないので、
ぼくはなにもしてないんです(笑)。
ツイッターを見てたら、
急に有名人になってたという感じで。
- 糸井
- じゃあ、新しい作家が
もうひとり誕生したみたいな話だ。
- 安達
- ほんとそうですね。
- 糸井
- このマンガって、
いわばドキュメンタリーじゃないですか。
- 松本
- はい、ドキュメンタリーです。
- 糸井
- 出てくる犬も猫も、
マンガのネタになると思って生きてない。
それなのにこんなに
良くできてるのがすごいなぁ。
- 松本
- このマンガを描くようになってから、
犬や猫をより一層見るようにはなりました。
不思議と見れば見るほど、
どんどんかわいくなっていくんです。
- 糸井
- ああ、わかる。
好きなものは見たくなりますし、
見れば見るほど好きになる。
- 松本
- ずっと見ちゃいますね。
それに「ここが好き」みたいな話を、
ツイッターで人に伝えられるのがたのしくて。
例えば「丸まって寝ている犬の
おなかに顔をうずめるのが好き」って言ったら、
みんなも「やるやる」って言ってくれる。
- 糸井
- とくにこのマンガは、
犬と猫の両方が登場するおかげで、
お互いの特徴がより際立ちますよね。
- 松本
- 性格もたまたま対照的だったんです。
- 糸井
- すごいちがいですよね。
猫の悪役ぶりのなかにも、
ちょっとホロリとさせる部分もあるし、
マンガのなかで松本さんが猫のことを
冷静に分析しようとするんだけど、
猫はそれを上回ることをやってのけたりする。
- 松本
- ほんとに。
- 糸井
- 「猫はうわてだなぁ」ということを、
これだけいっぱい描いた人って、
あんまりいなかったんじゃないかな。
- 松本
- ああ、なるほど。
「猫かわいい」というのは、
けっこうあるかもしれないけど‥‥。
- 糸井
- そうそう。
- 松本
- 私、猫にいっつもやられているんです。
おとなしくていい子なんですけど、
なぜかすっごく先輩感があって。
- 糸井
- マンガのなかで
「犬を手下につかってるんじゃないか」
というエピソードがあったでしょ?
ちょっと怪しいおやつは犬に
毒見させてるんじゃないかって。
あれ、おかしかったなぁ(笑)。
- 松本
- はい(笑)。
- 糸井
- 家に来たのは、猫が先?
- 松本
- 猫が先です。
- 糸井
- あとから来たこの犬が、
猫にかまれたり、引っかかれたり、
そういうことはなかったんですか。
- 松本
- しょっちょうあります。
ちっちゃい傷はいっつもできてます。
- 糸井
- やっぱり(笑)。
でも、犬は忘れっぽいからさ、
それでもまた行くじゃないですか。
その学ばないところもかわいいんだけど。
- 松本
- そうなんですよね。
犬は学ばないし、手加減を知らないから、
すぐに猫のところに遊びに行って、
ある一線を越えるたびに、
猫に「ビシッ!」っと。
- 糸井
- 一発でね(笑)。
- 松本
- 猫ってほんと強いんですよね。
犬は叩かれてもすぐに忘れるから、
また同じように猫のところに行っては、
同じように叩かれてます。
でも、毎日すごくたのしそうです(笑)。
2019-07-12-FRI