- 糸井
- 去年までブイヨンのカレンダーを
ほぼ日で販売してたんです。
でも、それってよく考えたら、
ただノロケてるだけなんじゃないかと
思うこともありました。
だって、自分ちの犬の写真ですから(笑)。
- 松本
- ああ、はい(笑)。
- 糸井
- それを買ってくれる人がいるというのは、
ほんとにありがたいことで。
- 松本
- そこは私もまったく同じです。
「うちのコ、かわいいんです。
聞いてくださいよ」ということをマンガに描いて、
それを読んでくれる人がいる。
- 糸井
- すごいことだよね、それ。
- 松本
- ほんとにありがたいですね。
- 糸井
- でも、松本さんの場合、
犬や猫のことを描くだけじゃなくて、
犬や猫を見ている「人のきもち」を
ちゃんと描いてると思いますよ。
- 松本
- ああ、そうかもしれないですね。
みんなに「そうそう」って
言ってもらえることが多いので。
- 糸井
- ちょっとややこしい言い方をすれば、
それは作者を表現しているわけだから、
それはやっぱり「作品」ですよね。
- 松本
- そうですね。
私のメガネを通して見る
「うちのかわいい犬と猫」ですからね。
- 糸井
- でもさ、よくネタに尽きないよね。
1回マンガに描いたエピソードは、
ちゃんと毎回チェックするんですか?
- 松本
- 描いたネタは覚えちゃってます。
「このネタは前とかぶるかも」
ということはけっこうありますけど。
- 糸井
- でも、同じネタだとしても
「つづきもの」にできますよね。
- 松本
- できます。
- 糸井
- 最高だね、このシリーズ(笑)。
- 松本
- はい(笑)。
ネタはすぐ尽きると思ったんですが、
いまのところ尽きないです。
マンガを描くようになってから、
ますます犬と猫が
かわいくってしょうがないので。
- 糸井
- このコらに元気がなくなっても、
きっとこのマンガはつづけられるよね。
- 松本
- そう思います。
たぶん、バカなおじいちゃんに
なると思うんですけど。
- 糸井
- ぼくの先代犬は、
皮膚病になっちゃったんです。
- 松本
- あぁ、そうでしたか。
- 糸井
- 珍しい皮膚病になって、
治るあてがないって言われちゃって。
だから最後のほうは、
写真を出すのもむずかしくなっちゃってね。
- 松本
- あぁ‥‥。
- 糸井
- ぼくは良かったんだけど、
見る人が「気の毒に」とか思うだろうし、
それまでのハツラツとした姿を
写真で表現できなくなっちゃったんです。
そこはけっこう悩んだなー。
- 松本
- そうですよね。
- 糸井
- それで写真の枚数がだんだん減って、
服を着てる姿とか、ある角度での写真とか、
そういうのが多くなっていって。
そのとき「絵だといいなあ」と思った。
写真じゃなければ「皮膚病です」も言えちゃうし。
- 松本
- 絵だと見せたくないところは
見せなくて済みますからね。
やっぱり動物には野生の部分があるわけで。
ほんとはそんなにかわいいや、
キレイばっかりじゃないですから。
- 糸井
- でも、松本さん、
うんこはけっこう描きますよね。
- 松本
- うんこはたのしくてしょうがないので(笑)。
- 糸井
- 犬のうんこ、かわいいですよね。
- 松本
- 健康なツヤツヤしたうんこを見ると、
うれしくなります。
- 糸井
- なるね。あと、拾いやすいし。
- 松本
- 拾いやすい(笑)。
散歩のときも、
道端に犬のうんこが放置されてると、
ちょっと腹がたったりするんだけど、
それが健康的なうんこだと
「元気そうで良かった」って思います。
- 糸井
- うんこが健康のバロメーターというのは、
犬を飼ってるとものすごく思いますね。
- 松本
- 前の犬はけっこう不調が多くて、
よく心配してたんです。
でも、いまのコはもう毎日元気。
いいうんこばっかり見てます(笑)。
- 糸井
- それ、うちも同じ。
前はゆるいのがあったんだけど、
いまの犬はいいですねー。
もうね、ボール生産機みたい。
- 松本
- あははは。
- 糸井
- ある種のかたさと、程よい量と。
- 松本
- エサの影響も大きいですよね。
エサを変えると、うんこも変わる。
- 糸井
- おたくはいろんなものを
食べさせるほうですか。
- 松本
- 私はけっこう食べさせちゃいます。
お母さんは「ダメ」って言うんですけど。
- 糸井
- お母さん、しっかりしてますね。
- 松本
- 私はいろんなものを食べさせて、
犬の好き嫌いを見るのが好きなんです。
「ああ、前の犬はニンジンが好きやったのに、
このコは好きじゃないんやわ」とか
「ブロッコリーの芯が好きだから、
取っておこうかな」とか。
それをお母さんに言うと
「アホじゃない?」って言われます(笑)。
- 糸井
- ぼくも松本さんと同じ。
そのきもち、わかります。
- 松本
- ですよね(笑)。
うちの猫はパンがすごく好きなんです。
なんでパンが好きかというと、
まだ仔猫だったときに、
私がおなかに猫を乗せたまま
パンをよく食べていたんです。
そのとき猫に小さくちぎったパンを、
チョビチョビ食べさせていて‥‥。
- 糸井
- あぁ、幸せだね。
- 松本
- そうなんです。
そのときの幸せな思い出といっしょに、
パンが大好きになっちゃったみたいで。
だから、うちの猫、
パンだけは異常に狙うんです。
- 糸井
- テーブルの上の食べ物も狙う?
- 松本
- 猫はもう、いつだって狙ってますね。
鍋の中も狙ってるくらいなんで。
- 糸井
- 猫、すごいなー(笑)。
2019-07-15-MON