ヒッチハイクで、「ほぼ日」の田口が北に向かいます。
道中、おすすめのスポットが
ありましたらどうぞご紹介ください。
記事の下のほうにメール宛先がございます。
よろしくお願いいたします。
では、私たちのヒッチハイクの先生である
平了団長にお話をうかがいます。
今回が、事前学習の最後です。
団長、お金はどのくらい持っていったらいいのでしょうか。
▲平了団長です。
「最初の頃、ぼくは
『1円も持たずに』というのをやっていました」
ひーーー!!
無一文でヒッチハイク!
どうなるんですか?
「どうにかなるんですよ。
ぼくは子どもの頃から
自分の誕生日に何かチャレンジしようとしていて、
いちど、誕生日に、
『友達と3人でお金を持たずに3日旅する』
というのを決行しました。
お金を持たずに3日いると、
さすがに人間、強くなります」
ご‥‥ごはんはどうしたんですか?
「試食コーナーとか。
あとは何だろう‥‥試食コーナー(笑)」
試食コーナーだけで!
「ほんとうに無一文です。
車もひろえなくて、
ときには40km以上歩いたりして、
飲みものもなくて、
人んちの水道を見つけては
勝手に飲んだりしました。
さすがに『死ぬな』と思いました。
ですからもう『売ろう』ということになって‥‥」
何をですか?
「Tシャツを」
すごい! 着てるやつを?
「はい。リサイクルショップで。
そうしたら300円だ、と」
ひぃええええ。
▲団長、想像を超えています。
「Tシャツが売れて、
めっちゃくちゃうれしかったです。
ひとり100円ずつな、といって配りました。
そうしたら、ほかのふたりが
『いやいや、あれは了ちゃんのTシャツだから!』
と言って受け取ろうとしないんです。
でも『いいんだ』と、渡しました。
『100円で何が買えるか考えながら歩こう』と、
旅を続けました。
100円‥‥何でも買えるな‥‥
パンでもおかしでも買える‥‥
そう思っただけで、力がみなぎってくるんです。
でも、プリンは買えないな、
プリンなんての、食べたいな、と笑いました。
100円のすごさを、そのとき思い知りました。
そうしているうちに、ぼくの誕生日が来ました。
友だちのひとりが「トイレ行ってくる」といって
コンビニに行きました。
なかなか帰ってこない。
そいつは、プリンを手に帰ってきました。
そして『お誕生日おめでとう』と言って、
ぼくにそのプリンをくれました。
ちょっと待てよ、と。
プリンは100円では買えません。
そいつらは、ふたりの100円ずつを出し合って、
ぼくにプリンを買ってきてくれたんです。
まともに食べられませんでした」
食べられませんね‥‥。
▲すごい、すばらしい、誕生日です。
「そのプリンの味は、いまでも思い出します。
そいつらは、手元に何十円しか残ってなくて、
ガムとか買って、何とか過ごしてました。
ぼくはもう、そんなことをしてもらって、
手元に残った自分の100円は使えない。
だから、ここにあるんです」
え?
▲ここ。
うわぁ!
「ほんとうに、ほんとうに、
困ったときに、使わせてもらおうと思って、
いつもここにあります」
それ‥‥知ってますよ、
いつも見てました、
団長がずっとしてるネックレス。
「はい、ずっとしてる」
100円だったのかぁ!
▲100円玉のネックレス。
▲スコップ団のときから、見知っていたネックレスでした。
「そういう種類のことが、
今回、田口さんと行くヒッチハイクでも、
起こると思います」
うーん。すごい。
なんだか、怖くなってきました。
そういえば、車に乗るときって
怖くないんですか?
「ぜんぜん。
だって、向こうのほうが怖いでしょう。
何者かわかんねぇ奴を乗せるんだもの」
そりゃそうだ。
じゃあ、お金は、結局どうしましょう。
1円も持たずに、やります?
「1円‥‥は持ったほうがいいね」
いいですよね。
人んちの水道を飲むわけにいかないから。
▲1円は持ちましょう。
「北のほうで、どんな試食コーナーが
あるかがポイントですね。
10月末だと東北は寒いし、
あったかいものも飲みたくなるでしょう。
じゃ、500円はどう?」
1日ワンコインですか。
いいですね。
途中で宿泊することになったら、
宿には泊まってもいい、ということにしていいですか?
「いいでしょう。
‥‥ていうか、そんなに何日もかけるの?」
はい。じつは、
ある用事があって、
目的地は気仙沼と決まっているんです。
「あ、じゃあ北上する感じですね」
はい。
帰りは田口ひとりでヒッチハイクして帰ります。
「なるほど。いいですね。
じゃあ、ぼくは仙台でさよならできますね」
読者のみなさんからも、
立ち寄り場所をうかがって、
寄っていくのはどうでしょう。
「あ、それはいいですね。
スタンプラリー的に、何個行けるか、やりましょう。
100個くらいあってもいいと思う」
▲100個‥‥(は無理だと思います)。
「スタートは、ここ?」
はい、ここ青山です。
もしかして、初日で
気仙沼に着いたりできますでしょうか。
「それは、運しだいです」
団長もお忙しいですし、
リミットの日数を決めておきましょう。
このヒッチハイクの旅、行って帰ってくるまで
リミットは3日間、はいかがでしょう。
「3日間で気仙沼に、
『着かねぇ、着かねぇ』となっても
それはそれですね」
はい。それはそれで。
「わかりました、よろしくお願いします」
よろしくお願いいたします。
当日、楽しみにしています。
▲このふたりで、ヒッチハイクしながら
北に向かいます。よろしくお願いいたします。
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