ほぼ日カルチャん

MY FAVORITE (OLD) THINGS

ミュージアム

0032

時間の旅と、欧州への空間の旅と、つくり手への旅と...。

イトイ

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ぼくは、1月の2日に行ったものだから、
渋谷パルコ8階の「ほぼ日曜日」は、お休みで、
4日(今日ですね)からはじまる三國万里子さんの
「MY FAVORITE(OLD) THINGS」展示の準備をしていました。

いやぁ、眼福とも言うべき時代ものの服があります。
蜘蛛が編んだのではないかと思えるほどの
繊細な手仕事の美しさを見せてくれる羊毛のショール。
「どうしてそこまでするんですか」と、驚きながら
尋ねたくなるような、色と形の遊戯のような刺繍。
百年ほど昔の人の手が動いた軌跡が、
その人がイメージしたこころの踊りの余韻が、
たしかにそこにはあったのです。
これは見応えのある展示になりそうだぞ。

役に立たない関係者感いっぱいで、
ぼくはその様子を見ていたのですが、
責任者であり役に立たない感の化身である山下さんが、
近くに寄ってきて解説をしてくれるのでした。
「19世紀後期のイギリスで、機械化が進んでいく時代に
その反動のように手仕事のよろこびを取り戻そう
という考え方で〈アーツ・アンド・クラフト運動〉という
運動があったらしいんですよね。
ここらへんのショールとかは、その運動のなかで
生まれたものらしいんですよね」と、得々と語る。
「そうかい。おれも、それ読んでたなぁ、ほぼ日で。
大量生産品のあふれるいまの時代に似ているよね。
若い美術大生なんかも、見に来るといいねー」
そこに三國さんご本人が登場して、
「そうなんです。若い人に観てほしい。
ただ、若い人には買えるお値段じゃないんですよね」
と少し残念そうに言ったのでした。
「いやぁ、買えないものをじっくり見たり、
すっごく詳しくなったりするって若い時代の特権ですよ。
三國さんだって、そういう時間がたっぷりあったでしょ?
買えないものがあることって、すごく大事な気がする」
もちろん、ぼくもそうだったから、力説してしまった。
じぶんのものにはなってくれない、すばらしいもの。
それが与えてくれるものって、すっごく大きいんです。

いいものをたくさん見てきた年長の方も、お若い方も、
渋谷パルコ8階で、ぜひ、じっくりご覧くだいね。

※2020年1月4日今日ダーリン」より。

基本情報

MY FAVORITE (OLD) THINGS

期間:2020年1月4日(土) 〜 1月19日(日)
場所:渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」
時間:10:00~21:00
入場料:無料

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