※2020年2月末に新型コロナウイルスの影響で
会期途中で中止となった展覧会が
ただいまアンコール開催中です。
ソール・ライターという写真家の名前を知ったのは
2017年でした。
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催された日本初の彼の回顧展に行った友人が
すこし興奮した様子で教えてくれたことがきっかけです。
その回顧展は、写真展としては考えられないような異例の集客で
当時大きな話題となったのを覚えています。
でも、残念ながらわたしは行けませんでした。
そのソール・ライターの2度目の写真展が
いまふたたびBunkamuraで開催されています。
最初の写真展がなんであれほどまでに人を惹きつけたのか。
彼の写真に、日本人の心に響くなにかがあると言われれば
なるほどそうだな、とも思えてくるのですが
彼の写真を見れば見るほど、そういう説明が向かないように感じます。
彼の目を通して見えている世界を見せてもらう。
そこに身を委ねてみたらいい。そう思います。
ガラス越しだったり、雨や雪が降りしきっていたり、半分が影に覆われていたりと、
写されるものはなにかぼんやりしていて、
だからこそ温かさがあり、
そして彼が見つめる人も生きものも、一緒に写り込むさみしさも含めとても魅力的です。
彼が対象を見つめる眼差しに
静かでやさしい愛を感じずにはいられません。
自分の目の前にも同じようにあるはずの世界が
彼の目を通すとこんなに美しかったんだと気がついて
少し大げさに言えば、世界を信じてもいいような気持ちになる。
そんな展覧会です。