ほぼ日カルチャん

ボストン美術館展 芸術×力

ミュージアム

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妄想で見るだけでも、わくわくの展示。

せいじ

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私の手元に、神保町の古本市で買った
江戸時代の本が二冊並んでいます。
まだ始めたての、私のささやかなコレクション。
このコレクションの使い道について、ふと考えてみます。
友人に見せたり、
詳しい人にその価値を聞いてみたり、
やっぱり自分で開いて眺めてみたり‥‥。
そんな感じでしょうか。なかなか楽しい行為です。

私の薄いお財布が許してくれるコレクションでさえ、
毎日をちょっとだけ楽しくしてくれる力があります。
それが王様のようなえらい人のコレクションともなれば‥‥
見せる友人の人数は段違い。
見る人々を楽しくする効果も
とんでもなく大きなものになるのだと思います。

「ボストン美術館展 芸術×力」は、
アメリカ・ボストン美術館から、
古今東西の権力者たちが手にしていた
美術品が集まる展覧会です。
4/16から東京都美術館で開催される予定でしたが、
新型ウイルスの影響により、
残念ながら中止となってしまいました。
作品に間近でお目にかかることが
できなくなってしまったのは無念ですが、
展覧会公式サイトで
一部の作品を画像で見ることができます。

こうした情報を手がかりに、
実際に開催されていたらどんな展覧会だったのか、
想像を膨らませてみようと思います。

さあ、会場に入ります‥‥。

《ラメセス2世像上半身部分》 エジプト (ブバスティス出土)、新王国、第19王朝、ラメセス2世治世時、紀元前1279-紀元前1213年 Museum of Fine Arts, Boston, Egypt Exploration Fund by subscription

最初のチャプターで目を引くのは、
赤みがかった岩に彫られた、男の上半身。
古代エジプトの王、ラムセス2世の像です。
もとは高さ3mほどの全身像だったと
考えられているそうで、
どっしりとした面構えとあいまって
彼の威厳が伝わってくるようです。すばらしい‥‥。

さて、展覧会を半分ほど進んできました。
会場のスポットライトに照らされて
緑色に光るものが目に飛び込んできます。
あれは、アメリカの大富豪、
マージョリー・メリウェザー・ポストのために
仕立てられた宝石のブローチ。
十七世紀のインドで彫られた植物文様が、
宝石のきらびやかな輝きにエレガントさを加えています。

オスカー・ハイマン社(アメリカ、1912年設立)、マーカス社のために製作 《マージョリー・メリウェザー・ポストのブローチ》 アメリカ、1929年 Museum of Fine Arts, Boston, William Francis Warden Fund, Marshall H. Gould Fund, Frank B. Bemis Fund, Mary S. and Edward Jackson Holmes Fund, John H. and Ernestine A. Payne Fund, Otis Norcross Fund, Helen and Alice Colburn Fund, William E. Nickerson Fund, Arthur Tracy Cabot Fund, Edwin E. Jack Fund, Frederick Brown Fund, Elizabeth Marie Paramino Fund in memory of John F. Paramino, Boston Sculptor, Morris and Louise Rosenthal Fund, Harriet Otis Cruft Fund, H.E. Bolles Fund, Seth K. Sweetser Fund, Helen B. Sweeney Fund, Ernest Kahn Fund, Arthur Mason Knapp Fund, John Wheelock Elliot and John Morse Elliot Fund, Susan Cornelia Warren Fund, Mary L. Smith Fund, Samuel Putnam Avery Fund, Alice M. Bartlett Fund, Benjamin Pierce Cheney Donation, Frank M. and Mary T.B. Ferrin Fund, and Joyce Arnold Rusoff Fund Reproduced with permission.

そして、ボストン美術館といえば日本美術の殿堂。
今回も日本の名品が海を渡ってやってきました。
中でも私の一押しは『吉備大臣入唐絵巻』。
それがいま、目の前に‥‥。

《吉備大臣入唐絵巻》(部分) 平安時代後期-鎌倉時代初期、12世紀末 Museum of Fine Arts, Boston, William Sturgis Bigelow Collection, by exchange

12世紀末(平安時代後期~鎌倉時代初期)に
描かれた絵巻であり、
日本にあれば国宝間違いなしの逸品です。
唐に渡った吉備真備が、
先に唐で亡くなった阿倍仲麻呂の霊に助けられて
難題を解決していくという
痛快なストーリーが描かれています。
画面のポップさがまた面白い。
二人が空を飛ぶシーンには
漫画みたいなおかしさがあります。
古い美術といえば縁遠い印象を持ちがちですが、
こんなふうに「単純に面白い」絵巻もあるのです。
幻の国宝、すばらしい‥‥。

《吉備大臣入唐絵巻》(部分) 平安時代後期-鎌倉時代初期、12世紀末 Museum of Fine Arts, Boston, William Sturgis Bigelow Collection, by exchange

と、妄想が止まらなくなるので、このあたりで。
考えるだけでわくわくしてくる、
ボストン美術館の傑作たち。
またいつか、海を越えて日本にやってきてくれる日を、
首を長くしてお待ちしております。

All photographs © Museum of Fine Arts, Boston

基本情報

ボストン美術館展 芸術×力

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【おしらせ】
「日米両国の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、
作品輸送の目途が立たないことから、
展覧会の中止を決定いたしました」と
東京都美術館のTwitterを通して発表がありました。
残念でなりませんが、
公式サイトのおしらせとあわせて
ご確認ください。

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会場:東京都美術館 企画展示室
会期:2020年4月16日(木)~7月5日(日)