ほぼ日カルチャん

おいしい浮世絵展

ミュージアム

0086-3

とことん「食」な編集がたのしい!

あやこ

0086-3

開幕が延期されていた
「おいしい浮世絵展」に行ってきました。
「食」という限られたテーマで
どんな浮世絵が見られるんだろうと
わくわくしながら会場に入りました。

まず序盤の「歌舞伎」コーナーで
壁一面に拡大されていた
歌川豊国の「中村座内外の図」に
この展覧会のたのしみ方を
教えてもらったような気がしました。

舞台上ではお芝居の真っ最中ですが、
いくつもお椀をのせた
お盆を運ぶ係の人がいたり、
客席を見ると料理のお皿や
お酒があちらこちらに見えたり、
歌舞伎といっしょに食をたのしむ人々が
ユーモラスに描かれています。

絵本「ミッケ!」のあそびのように
「食」という意識で
浮世絵を隅々まで見てみると、
たくさんの発見があることに気づくのです。

そして、この展覧会の大半をしめるのが
料理や食材ごとにわけて並ぶ浮世絵です。
作者でも、年代でもなく、
描かれる「食べもの」で分けられている! という
展示がとてもたのしく、
編集のおもしろさを感じました。

「すし」 「鰻」 「天ぷら」
「魚(魚河岸)」 「蕎麦」 「豆腐」
「初鰹」 「貝」 「海苔」 「鍋」
「醤油」 「果物」 「酒」。

こうやってテーマを並べただけでも
それぞれどんな浮世絵があるか
たのしみになりませんか。
それをつくる人、食べる人、売る人、
描かれる食の日常もさまざまでした。

▲お寿司は現在の握りよりずいぶん大きい。

▲どこに食べ物が?と思ったら‥‥。

▲すいか!橋から落っこちたのでしょうか‥‥?

もうひとつ、
わたしがおもしろい! と思ったのは
浮世絵の「名店ガイド」、
『東都高名會席盡(とうとこうめいかいせきづくし)』です。

ぱっと見は歌舞伎の役者絵と思いきや、
上部に描かれたコマ絵は
お店の店構えと名物料理!
それだけでなく、店名や料理の名前を
歌舞伎の演目や役名にひっかけたり
語呂合わせをしたりと
組み合わせられています。

▲役名は「髭の意休(いきゅう)」で店名は「万休(まんきゅう)」。

ひとつひとつじっくり読み解きたくなる
粋な遊び心がたまりません。

わたしは口コミサイトや
お店のwebページを見て
おいしいものの情報を集めることが多いですが、
江戸時代の人はこの浮世絵を見て
お店に足を運んだのでしょうか。
グルメ情報が人をひきつけるのは
いまもむかしも変わらないんですね。

‥‥さらに、おなかが空いたなあと思いながら
会場を出たら、そのとなりのカフェで
まさにいま浮世絵で見た料理の
再現メニューを食べられるというおたのしみも!
気になっていた片手では持てないくらいの
大きいお寿司もありました。

入口から出口まで、
とことん「食」をテーマに編集された展覧会でした。
いまは日時指定の予約制なので
ゆったりと見られるはずです。
ぜひ「おいしい浮世絵」を味わってください。

基本情報

おいしい浮世絵展

会期:2020年7月15日(水)〜9月13日(日)

※日時指定入館券が必要です。
くわしくはこちらのご案内をご覧ください。
※当初の開催予定は4月17日〜6月7日でしたが
新型コロナウイルス感染拡大のため
開幕が延期されました。

会場:森アーツセンターギャラリー
(六本木ヒルズ森タワー52階)
開館時間:10:00〜20:00
※7月21日.7月28日.7月30日
8月28日は17時閉館
※入館は閉館の30分前まで。

公式サイトはこちら