平安時代の貴族社会では
『詩歌管弦(しいかかんげん)』といって、
漢詩や和歌を詠むことに加えて
楽器を演奏することも重要な素養だったそうです。
確かに、和歌には、独特の音と韻と間があり
それは、詠むものでありながら、
言葉をつかって奏でるもののようでもあります。
和歌が、思いを綴った歌ならば、
「音を奏でること」も
人と人とを心で繋ぐ大切な役目を担っていたんだなと思います。
また、当時の楽器や、演奏の際に着用した装飾品も
技巧が凝らされていて見事です。
正倉院に収蔵されている琵琶や琴には
贅沢に螺鈿が施され、
なんと、琵琶のばちにまで
草花や鳥の文様が装飾されています。
現代では、装飾を施したばちで琵琶を演奏することは
ほとんどないそうです。
どんな音色なのでしょうか。
贅沢にすることを諦めなかった当時の作り手たち、
かっこいいです‥‥。
『信西古楽図』には
楽器の演奏者、舞楽を舞う人などが描かれているほか、
現代ではもう見ることのない楽器も描かれていて、
伝承しつづける上で重要な資料であることが伺えます。
楽器を作る人、演奏する人、聴いて楽しむ人、
それらすべての、雅楽を楽しんだ人々の記録が
一堂に集められて展示される機会になるはずでした。
残念ながら中止となってしまいましたが、
この雅楽の歴史が、
今の舞台や演奏などの芸能の文化に繋がっているんだと思うと
文化を伝承することがどんなに大事なのかと思わされます。
いつかまた開催された際には、
その貴重な品々を目の前で堪能したいです。