小学生のとき、はじめて
筆などを使わず、指で
絵を描いたときのことを思い出していました。
絵の具のひんやり、ヌルっとした感触、
色が混ざっていることを、
皮膚から感じました。
絵の具と自分、1対1で向き合っていることが
とても楽しかったのです。
Yamaguchi Meguruさんの作品を
鑑賞しているときの気持ちは、
なんだか、小学生のときに感じたそれと
どこか、似ているようでした。
代表的なのは、「ブラシストローク(筆跡)」
を用いた作品です。
独自に生み出した「カット&ペースト」
という手法で制作されています。
筆跡を切り取り、
それらがダイナミックに組み合わされています。
Yamaguchi Meguruさんが
約5年前、HEAPS Magazineさんの
インタビューで、
なぜ「ブラシストローク」に焦点を置くのか
と尋ねられ、
『ルネサンス時代に筆が生み出されて以来、
時代も国境も越えて、
人々を魅了し続けているものだという。
つまり「普遍的にカッコイイってことです」』
と答えていらしたのが、
ずっと印象に残っていました。
当時は、実際に作品をみたことがなかったのですが、
今回のはじめて展示をみて納得しました。
「ブラシストローク」ってすごく!
「カッコイイ」です!
キャンバスという枠組みを超えて
ブラシストロークだけが、
空間に存在しているような作品たちが並んでいます。
そんな光景を、はじめてみました。
気がつくと、
近づいたり、離れたり、横から見たり、
自分がもつ視覚の機能を
総動員して作品を鑑賞していました。
そして、独特な色彩がさらに、
「カッコイイ」
を大きなものにしていました。
”絵の具、筆、絵画っていいなぁ”
という考えが自然と浮かんできて、
心に染みました。
この展覧会のタイトルは
「YOUR OLD FRIENDS」です。
古くからの友人としての”絵画”の存在と
今日まで絵を描き続けてきた、
自分の生き様を表す言葉として
”君は古くからの友人”
という意味を持つこの言葉をつけられたそうです。
会場にはYamaguchi Meguruさんの
ニューヨークの制作スタジオも再現されています。
道具や備品などは、実際に使われているものだそうです。
制作の臨場感も感じられます。
スタジオに遊びに来ているような、この雰囲気を
ぜひ、みなさんにも体感していただきたいです!