東京国立博物館で開催中の特別展
「桃山ー天下人の100年」に
行ってきました(見学日:10月25日)。
とても魅力的な展示だったので、
少しご紹介させてください。
桃山期は、
とにかくかっこいい時代だと思っています。
絵画から茶の湯まで、
革新のすべてがロックでかっこいい…!
そんな時代を、
余すところなく味わい尽くせる展覧会でした。
群雄割拠の展示品たちの中で、
私の一押しはやはり「洛中洛外図屛風(上杉家本)」です。
洛中洛外図とは、
京都の街並みを俯瞰するように描いた絵画のこと。
その一つである上杉家本は、
桃山期を代表する絵師、
狩野永徳23歳の作とされています。
その魅力は、23歳の作とは思えないほどに
微に入り細を穿つ描き込みにあります。
縦159.2 × 横361.8 cmの屛風に、
2485人にも及ぶ人物が
生き生きと描き込まれているのです…!
お祭りの山車を持ち上げて
騒ぐ若者たちがいれば、
店先で客を呼び込む看板娘の姿も。
あそこに見えるのは、お偉い殿様でしょうか…?
細かい部分を見ていくと、
一向に飽きが訪れません。
しかし、時間が限られる展示会場では、
清水寺や渡月橋など、
みなさまの知っている京都の名所を探すのも、
楽しい見かたの一つかもしれません。
しかもこの屛風、来歴もまたかっこいい。
もとはといえば、
室町幕府13代将軍・足利義輝が
上杉謙信への贈り物として
永徳に注文した作品でしたが、
制作の最中に義輝は急襲され死亡。
その後完成した屛風を手に入れた信長は、
自身の手で屛風を謙信に贈った、
という説が現在では支持されています。
約束を果たす、という意思が
信長にどれほどあったかはわかりませんが、
そんな展開をちょっと期待してしまいます。
戦国のロマンをその身に纏った、
格別な一双です。
しかし、この上杉家本ですが、
前期展示(11/1まで)のみの出品らしく、
今から会場に行っても、会うことはできません。
その代わり、後期にはそれに匹敵する出来ばえの、
「洛中洛外図屛風(舟木家本)」が待っています!
奇想の絵師・岩佐又兵衛が腕を振るった、
これまた描き込みが凄まじい屛風です。
上杉家本と比べて、
人々の熱気がよりダイレクトに
伝わってくる作品だと思います。
ああ、語っていたら、
後期展示にもまた行きたくなってきました…!
ここまでは、私の「推し」である
「洛中洛外図屛風」をご紹介してきましたが、
もちろん「桃山展」、これだけではありません。
狩野永徳筆「檜図屛風」や、
長谷川等伯筆「楓図壁貼付」などのド派手な絵画から、
金や螺鈿(らでん)の輝きがまぶしい工芸品、
そして茶道具や甲冑まで、
とにかくかっこいいもの尽くしの
約230件(展示替えあり)!
いやはや、息切れするほどの濃密さでした。
みなさまも、
「天下人の100年」を彩った逸品たちに、
会いに行ってはいかがでしょうか。