作品の素材となっているのは、
古くなり行き場を失ったおもちゃたち。
近づいて、ひとつひとつをよくみてみると、
すすけたほっぺで笑うお顔に、
ほんのり寂しさを感じました。
しかし、展示室を奥に進むにつれて、
その印象はガラッと変わりました。
シャンデリア・アーティストのキムソンヘさんは
在日朝鮮人として生まれ、
幼少期からどこか
不自由さを感じながら育ってきたそうです。
ある日ふとした瞬間に
おもちゃたちの姿が、
自らを写し出しているように感じ、
それらを素材とした、
「シャンデリア」の作品を制作し続けています。
2020年に活動15周年を迎えたことを記念して
渋谷PARCO4階
PARCO MUSEUM TOKYO さんで
『天国』をテーマにした、最新展が開催されています。
キムソンヘさんにとって、
「シャンデリア」は
”人々が集まる明るい場所としての光”
なのだそうです。
また、「天国」は
”死後の世界を意味するものではなく、
天国のように上も下もなく、
怒りや傷つけ合うことのない世界”
と考えられているそうです。
会場では、
生まれた国や材質が異なるおもちゃたちが、
絶妙なバランスで組み合わされ、
美しい空間をつくっていました。
はじめはなんだか、
寂しそうに思えたおもちゃたちですが
シャンデリアになったおもちゃたちは、
とても幸せそうに笑っているようでした。
外国の教育テレビに登場する
キャラクターのぬいぐるみと、
日本の特撮ヒーローのフィギュア
何もかもがバラバラなおもちゃたちですが、
一つでも足りなければ、
この作品の心地よさと美しさは、
生まれないのだろうと思います。
キムソンヘさんの、
「互いの違いを受け入れて許すこと。
生まれ持った才能を
皆とシェアできる豊かな心を持ち、
理想の世界を彩れますように。」
という願いが、
作品を通してしっかりと伝わって来ました。
生きていく上でとても大切なことなのに、
日常の中で忘れていました。
豊かな心を育てて
たくさんの人と出会い、
伸びやかに笑い合いながら
生きていこうと心に決めました!
さいごに。
会期中に来場者の皆さんから
遊ばなくなったおもちゃを募り、
キムソンヘさんご本人が、
会場内の特設スペースにて公開制作を行うそうです。
私のお家で眠っているおもちゃたちも、
自由で幸せそうな天国で
笑ってほしいので会場に持って行こうと思っています!