作品をひと目みて「速い!」と思いました。
どこを探してもエンジンなど、動く仕組みは見当たりません。
それなのに、動きの度合いを表す”速さ”を感じるのが、とても不思議でした。
その作品は、渋谷PARCO2階にある、
NANZUKA 2Gにて開催中の展覧会
「中村哲也」
でみることができます。
中村哲也さんは、東京藝術大学院で漆芸を学び、
視覚的な情報が生物に与え得る情報をテーマに、
様々な造形作品を制作されてきました。
1988年から「スピード」と「改造」をテーマに
立体作品を制作されています。
会場の展示室は1つで、
シンプルなスペースに、7点の作品が展示されています。
作品数が限られているからこそ、
ひとつひとつの作品の魅力が際立っていました。
私は無意識にのうちに、
速さを感じる理由について考えを巡らせていました。
「フォルムがレーシングカーのようにもみえる?」
「描かれている模様は、
エンジンが火をふいてるようにも、
機体が風を受けているようにもみえるかも?」
次々と自分でも驚くほどの、
自由な発想が浮かんできてとても楽しくなりました。
私は、美術館やギャラリーがで過ごす時間が好きです。
それは、アート作品を通して
新しい経験や考え方を得られるからです。
自分の世界が一瞬で広がったような感覚がして、
他では味わえない喜びがあります。
今回の中村哲也さんの展示は、
まさにそんな喜びを与えてくれるものでした。
展示室に入った瞬間から作品に強く惹きつけられ、
夢中で鑑賞している自分がいました。
そして、”絶対に動かないものから感じる速さ”
という新しい感覚と出会いました。
とてもワクワクする楽しい時間に、
これからも、いろんなアート作品をたくさん、
見たいという気持ちがむくむくと湧いてきました。
会場には、ご紹介した”速さ”を感じる作品の他にも、
“有機的”、”生物的”なイメージが
連想される立体作品も展示されています。
こちらも、強く美しい素敵な作品でした。
中村哲也さんの作品は写真では伝わらない、
実物が放っている、空気感に魅力が詰まっていると思います。
ぜひこの機会に、実際の作品をご覧になってみてはいかがでしょう。