※PLAY! MUSEUMは6月1日(火)より
営業を再開します。
立川にある「PLAY! MUSEUM」で開催中の
「みみをすますように 酒井駒子」展、
わたしはこれまでに訪れた展覧会のなかで
ベストワンかもしれません。
もともと大好きな作家さんで
開催が発表されてから心待ちにしていましたし、
個人的な好みももちろんあると思います。
ただ、ひとつわたしの事実として
金曜日の内覧会におじゃましてから
1日空けて、
日曜日にもう一度行きました。
あまりに心を掴まれて、
もういちど自分の時間を
この展覧会場で過ごしたいと思ったからです。
なかなかないことです。
ほんとうにいいですから、
とにかく行ってみてください。
‥‥とだけ書きたくなりますが、
もうすこし具体的にご紹介してみます。
入口から中をのぞいた時の
気持ちの高まりは、
旅先で乗り物から降りたときの感情に似ていました。
さあ、どこから見ていこう。
どこになにがあるんだろう。
入場前には、
すてきな紙のファイルを渡されながら
こんなアナウンスもありました。
「会場内のどこか4箇所に、
絵本のことばの紙が置いてあります。
拾い集めながらご覧ください。」
この「ことばひろい」にもわくわくしながら
会場を歩いていきます。
今回の展示のおおきな特徴は、
フレームの額縁に入って壁にかかっている原画が
ひとつもないことです。
そして、広がった展示室のなかに
鑑賞の順路はありません。
杉材に囲まれた空間を見まわし、
散らばる原画とことばをたどって
森のなかを散歩するようにまわります。
たまに「あそこ見落としちゃった」と
行き来したりもしながら
それぞれに作品との出合いをたのしみます。
さまざまな高さの台は切り株のようで、
いくつかならぶ柱は木の幹のようです。
高さの低いテーブルや小さな椅子は
おままごとをしていた頃を思い出します。
しゃがんだり、覗き込んだり、座ったり。
顔ごと、からだごと、
作品との距離を近づけて見ていくので
自然に気持ちも寄っていくような感覚でした。
そして、なにより、
250点もの原画がほんとうにすばらしいです。
絵本のページでみていたときも
添えられたことばと合わせて
すてきだなあと思っていましたが、
ほんもの原画ひとつひとつが発する力にやられて
まいってしまうくらいでした。
なにかをいとおしく感じるときに
たまらず涙が出そうになることがあります。
酒井駒子さんの原画を前にして、
ずっとそんな気持ちでした。
ぎゅっと抱きしめたくなる
宝もののような時間でした。
展示を見にいってほしい、とおすすめするのですから
その魅力をもっとことばにしようと思ったのですが、
どうにも伝えきれません。
あの展示室で、おなじ時間を過ごした人となら
いろいろお話できるんだと思います。
『ゆきが やんだら』
『こりゃ まてまて』
『ロンパーちゃんとふうせん』
『くまとやまねこ』‥‥。
それぞれの作品について、
いくらでも話したいことがあります。
なかでも、『よるくま』には長居しました。
きっと、体験した方には伝わるはずですが、
まっさらなおどろきとともに
味わってほしいのでここまでにします。
ぜひ、「ほぼ日カルチャん」で
感想をおしゃべりしましょう。
ここからはちょっと息をととのえて、
展覧会場を出てからの
おたのしみについてです。
オリジナルグッズコーナーには
約100種類(!)のポストカードに目移りしたり
ちいさな小箱やブローチを
きゃあきゃあ言いながら選びました。
展覧会図録は、1冊のすてきな画集でした。
そしてミュージアム内のカフェでは
コラボレーションメニューが提供されています。
『金曜日の砂糖ちゃん』のグラタンライスに、
これは『よるくま』カレー。
たまらないかわいさですし、
味もしっかりおいしくて大満足でした。
立川の「PLAY!」のあるGREEN SPRINGSは
いまの時期、とっても気持ちがいいです。
芝生は青々としていて、
きらきらしたちいさな池には小魚が泳いでいて、
子どもみたいに心がはしゃぐ場所です。
そんな場所で開かれている
酒井駒子さんの原画展、
あらためてもう一度、心からおすすめします。
みなさまも、ぜひ。