行ってきました「すみだ北斎美術館」。
2016年11月オープンなので、
開館して4年半という比較的あたらしい美術館です。
完成したことは知っていたのですが、
なかなか機会がなく
今回がはじめての来館でした。
しりあがり寿さんの企画展があると聞きつけ、
その内覧会にお邪魔しました。
「しりあがりサン北斎サン
ークスッと笑えるSHOW TIME!ー」の展示会場へ。
※お邪魔したのは開催前の4月19日でした。
4月20日にこの企画展は始まりましたが、
緊急事態宣言発出のため
4月25日から臨時休館に。
1か月以上閉じていた
「すみだ北斎美術館」が、
6月1日から再開となりました。
会期は7月10日まで延長となったそうです。
※展示の前後期も以下のように変更。
前期|6/1(火)~6/20(日)
後期|6/22(火)~7/10(土)
JR総武線の両国駅から
のんびり歩いて約10分。
両国のわりと閑静な家並みの向こうから、
ぬーっと、
ぴかぴかのアルミパネルの建物が現われました。
なかなかのインパクトです。
「この中に北斎のコレクションが
たっぷり所蔵されているんだ」
そう思うだけで軽く心拍数があがります。
さらにこの度は加えて、
尊敬するしりあがり寿さんの企画展です。
「どんなパロディでたのしませてくれるんだろう」
心拍数はどんどんあがり、
のんびりしていた足取りが小走りになりました。
建物に、到着。
体温を計ってもらい、
しっかりと手指を消毒して、
まずは第1展示室へ。
最初に目にした展示は、
「ちょっとお可笑しなほぼ三十六景」でした。
北斎サンの「冨嶽三十六景」をもとにした
しりあがりサンのパロディ作品が
ずらりと並んでいます。
ああ‥‥もう、のっけからおもしろい。
たとえばこちらはあまりにも有名な
北斎サンの作品、
「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」です。
このとなりに展示されているのが、
しりあがりサンの作品、
「ちょっとお可笑しなほぼ三十六景
銭湯でこども大暴れ」。
こちらです。
たしかに、銭湯でこどもが暴れています(笑)。
‥‥たまりません。
こちらも北斎サンの名作、
「冨嶽三十六景 凱風快晴」、通称「赤富士」。
そのとなりには、しりあがりサンの
「ちょっとお可笑しなほぼ三十六景 青富士」。
ほかにも「太陽から見た富士山」とか、
「スマホで拡大」とか。
連続でクスクス笑いながら、
不思議な感動もわきあがってきます。
北斎サンが描いたのは1831年頃とありました。
つまり、およそ190年の時を超え、
ふたつの作品が目の前に並んでいるわけです。
この事実を目の前にして、
脳がくらくらする感じ。
しかもこれを主催しているのは、
公の美術館です。
「ブラボー! すみだ北斎美術館!」です。
ところで先程から当然のように
「しりあがりサン」「北斎サン」と
たいへん気やすい表記をしていますが、
この企画展じたいがそういうタイトルで、
作品の解説などでも
「しりあがりサン」「北斎サン」が
採用されていますので、
それにならっている次第です。
この「サン」には、
人名につけて敬意を表す「さん」と、
ほめ讃える「賛・讃」という、
ふたつの意味が込められているのだとか。
なるほど。
しりあがりサンと、北斎サン。
200年以上の年月を隔ててはいるけれど、
「オモシロイでよろこばせたい」
が共通している両者への、
大きなリスペクトを感じます。
会場には、
まだまだたくさんの展示がありました。
ん? この職人さんが手にしているのは?
拡大してみましょう。
これは、ポテトチップスですね。
昨年2020年は北斎生誕260年でした。
これを記念して、カルビー株式会社から
『すみだ北斎美術館監修
ポテトチップス うすしお味』が
限定販売されました。
そのパッケージが、
しりあがりサンによる
「冨嶽三十六景 尾州不二見原」の
パロディ作品だったのです。
このときの原画に加えて、
しりあがりサンの「ポテトチップス六景」
という新作も展示されていました。
ポテトチップスができるまでを
浮世絵のパロディで表現した組作です。
6作を続けてみると、
ポテトチップスができる工程がわかります。
これは、スライスしたお芋を揚げるところ。
ご紹介が長くなってますが、
もうちょっとお見せしたい!
「東海道五十三次」のパロディも
圧巻でした。
スマホでおしゃべり、とか。
口ひげで、ピアノで、女王で、
「♫ ままぁ~~」とくれば、あの曲!
中国の疫病除けの神とされる鐘馗を、
北斎サンが描いた「朱描鍾馗図」と
しりあがりサンの「コロナ退散」が
堂々と並んでいます。
こちらが、北斎サン。
こちらが、しりあがりサン。
マスクをしています。
広い分野の才能と
好奇心にあふれた北斎さんが
もしも現代に生きていたら‥‥
マンガ、ファッション、アニメなども
かならず手がけていたに違いない。
そんなテーマの作品も多数でした。
北斎サンの『椿説弓張月』続編の中に
石が砕けて
中から妖術師が出てくる場面があります。
砕け散る石を表現する効果線は
まさに漫画の手法。
これをパロディにした
しりあがりサンの作品がこれです。
作品名は、「いきなりビーム」。
こればっかりは、
会場でひとり、声を出して笑いました。
あとは、
「北斎をまとう」という
ファッションショーのコーナーまであったんですよ。
どうですか。
すばらしいでしょう。
全長約640cmの肉筆巻物、
北斎サンの「隅田川両岸景色図鑑」をもとにした、
しりあがりサンによる
「長T distance Tシャツ」も大迫力。
さらに、
ハイクオリティのアニメーションも
たっぷりたのしめました。
この作品がまた、
夢に出てきそうで、すばらしくて‥‥。
まだまだ、
しりあがりサンと北斎サンの作品は、
まだまだあります。
どうぞ会場でたっぷりおたのしみください。
ずっと爆笑という感じではありませんが、
ひとつの作品を見るたびに、
気持ちがフニャッとなるような‥‥
あの可笑しみをなんと言いましょう‥‥
と考えていたら、
展示会の概要にあったこの一文を読んで
「あ、まさしくこれだわ」と思いました。
「常識を裏から膝カックンする、
いたずら心と遊び心満載の、
思わずクスッと笑える展覧会です。」
両国まで、ぜひ、
きもちよく「膝カックン」されに
行ってきてくださ~い!