無印良品 銀座店で開催されている
「Life in Art Exhibition」に行ってきました。
「Life in Art」はインテリアブランドIDÉEが
2011年から行っている、
日常芸術をテーマにしたプロジェクトです。
地下1階から6階までの各フロアに、
商品に混ざってちりばめられるように
作品が展示されています。
27名のアーティストの方々の作品をめぐるのには、
想像以上のエネルギーを使いました。
まさに、アートで「おなかいっぱい」になれる展示です。
この展示のおもしろさは、
無印良品のショップ・カフェ・ホテルのロビーと
同じ空間に作品が展示されているところにあります。
大げさな仕切りもなく、
どこまでがお店で、どこからが作品なのか、
ときどきわからなくなったほどです。
たとえば、この下田昌克さんの「骨と牙」。
ホテルのロビーやラウンジと同じフロアの一角で、
自然と引き寄せられてしまうような
存在感を放っていました。
作品だけを切り取ると展示会場のようですが、
斜め後ろをふりかえればホテルのロビーなのです。
はじめは、展示マップを見ながら
宝さがしをするように、店内の作品をめぐっていきました。
展覧会で作品をみるときと同じ気持ちです。
夢中になって、次々に作品をみていたとき、
ふと、無印良品の商品が目に留まりました。
わたしの中で、アートと生活用品がつながった瞬間でした。
アートと生活が地続きだという感覚を知ったあとは、
それまでの宝さがしのような観方とはちがった
おもしろさがありました。
「自分の部屋になら、この絵をかざりたい」
「この絵はどんな部屋に似合うだろう」
鑑賞する対象としてではなく、
いっしょに暮らすかもしれないものとして
作品をみるようになっていました。
一瞬にして起こった変化に驚きつつも
とてもうれしいことでした。
地下1階と6階では、数名の作家さんたちの
インタビュー動画が流れていました。
そのなかで柚木沙弥郎さんがお話しなさっていたことが
印象的だったのでご紹介します。
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気に入る作品をひとつ見つけたら、
まずはそれを手に入れる。
そこから、物に対する愛情と
人間に対する愛情が生まれる。
そうして、生活の質があがる。
それをのぞみます。
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自分の部屋に、作家さんの絵を飾ること。
日常のなかで、作家さん手作りのものを使うこと。
あこがれつつも、まだ身の丈に合わないと
しりごみしていた気持ちを
後押ししてもらった気がしました。
いいなと思う作品と出会って、
その作品といっしょに生活できたら
今よりもっと、毎日の生活が
たのしくうれしくなりそうです。
展示のためだけに作られた空間ではない場所で
こんなふうアート作品にふれる機会は
なかなかないと思います。
わたしの生活には身近な無印良品の商品と
アート作品が交互に目に入る、その繰り返しの時間は
生活とアートを無意識のうちにつなげてくれました。
この展示には、続きがあるようです。
無印良品 銀座店の他にも、
東京都内の30ヶ所以上の場所が
サテライトギャラリーになっています。
すこし暑さがやわらいできたこの頃です。
毎日の生活の延長線上にあるアート作品を目指して、
お気に入りの作品に出会えることをたのしみにして、
東京の街を散策してみたいなと思っています。