ほぼ日カルチャん

動物の絵 日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり

ミュージアム

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かわいいだけじゃない‥‥でもやっぱりかわいい!

せいじ

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みなさま、こんにちは。
パルコスタッフのせいじです。

府中市美術館で開催中の
「動物の絵 日本とヨーロッパ
ふしぎ・かわいい・へそまがり」に
行ってまいりましたので、
感想をお伝えします。

洋の東西や時代を問わず、
動物が描かれた絵を集めたこの展覧会。
面白い作品ばかりで、
「なんだこれ?」「かわいい!」と、
リアクションが追いつきませんでした。

どの作品も確かにかわいい‥‥。
でもそれだけではない。
人は誰しも動物を見るとき、
「愛らしい」と思う以外に、
さまざまなことを感じるものです。
この展覧会に登場する動物たちも、
かわいいだけではありませんでした。

なかでも興味深かったのは、
ガブリエル・フォン・マックス「骸骨の前の猿」。

01.ガブリエル・フォン・マックス《骸骨の前の猿》 個人蔵

「動物と人間は、共通の祖先から進化した」
と考えるのが、ダーウィンの進化論です。
それまでのヨーロッパでは、
全ての存在は神様によって作られていて、
理性がある人間は他の動物とちがうと
信じられていましたから、
進化論は激しい議論を呼びました。

そんな論争から数十年が経って描かれたのが、
この作品です。

絵の中では、猿が人間の骨格標本と向かい合っています。
ペンと紙の置かれたテーブルに手を置き、
真剣に骸骨を見つめる猿は、まるで人間のよう。

当時の人々は、この絵を前にして、
何を語り合っていたのでしょう‥‥。
動物絵画から、人間のありさまが見えてきます。

はたまた、私たち人間は、
動物に対していろいろなイメージを抱いています。

たとえば、縁起が良いとしたり、
神の使いとしてありがたがったり、といったように。

そんな様子がわかる作品が、
「春日鹿曼荼羅」です。

画面下の鳥居をひとたびくぐれば、そこはもう神域。
群青の霞が重くたれこめ、
神の使いである鹿が、
今まさに雲に乗って飛んできました。
鹿が背負う榊の枝の先には、
春日におわす五柱の神様が、
仏の姿で現れています。

やわらかな後光に照らされた鹿の、
なんと凛々しいこと‥‥!
癖のない鹿の表情や、
均一な太さの実直な線から、
作者の真摯な信仰心がうかがえます。

と、ここまでいろんなことを言いましたけれど、
やはり、動物はかわいいものです。
本展の最後に待ち構えるのは、
かわいらしい子犬の絵が集まった、
「子犬の部屋」‥‥!

03.長沢蘆雪《菊花子犬図》個人蔵

特に、円山応挙・長澤蘆雪の
師弟コンビが描く子犬たちは必見です。
うしろ脚を横に出す、
といった繊細なしぐさを逃さず描く目線の鋭さ。
そしてなにより、
まるっこいフォルムとつぶらな瞳のかわいいこと‥‥!

猫派な私ですが、犬派へ心が傾いてしまいそうです。

他にも、個性的にデフォルメされた動物たちや、
将軍・徳川家光の「ヘタウマ」絵画など、
おすすめしたいことはまだまだあるのですが‥‥。

続きはぜひ、展覧会場でお楽しみください!

(本展は11月28日までの開催です。
ご紹介した「春日鹿曼荼羅」は、11月14日までの展示です)

基本情報

動物の絵 日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり

会期 2021年 9月18日[土]– 11月28日[日]
前期:9月18日[土]– 10月24日[日]
後期:10月26日[火]– 11月28日[日]
*作品の展示替えが行われます。
休館日:月曜日
開館時間: 10:00〜17:00(入場は16:30まで)
観覧料: 一般1000円、高校生・大学生500円、小・中学生200円

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