糸井 |
最近ぼくは「インターネット以後」の人に
固めて会うようになったんですよ。
自分もインターネットの仕事をしてるはずなのに
そのつもりがぜんぜんなかったんです。
ちょっと食わず嫌いだったのかもしれない。
お会いしてみたら、やっぱりおもしろかったです。
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堀江 |
よかったです。
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糸井 |
いま堀江さんが、
いちばんたのしみにやってることってなんですか?
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堀江 |
ロケットですかねぇ。
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糸井 |
‥‥あの、ロケットの話ってほんとなんですか?
あれだけはおれ、わかんないんですよ。
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堀江 |
えっ、そうですか?
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糸井 |
ロケットって‥‥。
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堀江 |
ぼくはやっぱり、
このちいさな星にへばりついてるのが、
なんかいやで。
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糸井 |
‥‥ほんっと通じないんです。
なんなんでしょう、これは。
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堀江 |
行ってみればわかるんじゃないですか?
宇宙がもっと身近な存在になると
いろいろイメージしやすくなると思うんですよ。
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糸井 |
うーーん。
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堀江 |
たとえばインターネットも
ぼくが最初に触ったのは17~18年前なんですけど、
そのころにぼくはもう、
いまみたいな世の中になるという
イメージができてたんです。
だからこそ、みんなにすすめていました。
でもイメージが湧かない人は
「そんなもん必要ない」って感じでしたよね。
それと似てるんじゃないかなと思っていて。
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糸井 |
インターネットはね。
うん。
でも宇宙ってのは‥‥。
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堀江 |
宇宙が誰しも行ける場所になったら、
おもしろいことを考えるひとも
たくさん出てくるだろうし、
みんなが活躍する場が広がると思うんですよ。
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糸井 |
‥‥行きたい人は行けばいいとは思うんですよ。
でも、「自分はいいや」って。
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堀江 |
いいんです、いいんです。
それは「富士山に登りたいか、登りたくないか」
みたいな話じゃないですか。
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糸井 |
はい。
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堀江 |
宇宙が富士山だったとしたら、
ぼくも別に登りたくはないんですよ。
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糸井 |
あ、そうなんですか?
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堀江 |
やっぱり面倒くさいですし、
せいぜい1回くらい行っておけば十分なんです。
行きたい行きたくないは別にして、
宇宙という富士山が
「行ける場所である」ことが重要なんですよ。
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糸井 |
ああー。
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堀江 |
人間が当たり前に行ける場所にするためのこと、
がやりたいんですよ。
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糸井 |
それがやりたいんだ。
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堀江 |
それがやりたいんですよ。
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糸井 |
なるほどねー。
「行けない場所」がそこにある、
という状態がいやなんですね。
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堀江 |
たとえば宇宙から丸い地球を見たら、
ものすごく感動するだろうし、
イマジネーションも刺激されると思うんです。
いまはまだほとんどの人がその体験をしてないから、
伝わってないんですよね。
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糸井 |
そうか‥‥。
無理やり自分の体験に引き寄せるなら、
海でクジラを見たときの感動かな。
ものすごくうれしかったから。
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堀江 |
そうそう、そうなんです。
体験してみたらきっと感動するはずなんですよ。
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糸井 |
なんかこう‥‥
「地図のサイズを変えてみたい」
というおせっかいなんですね。
‥‥でも、
ロケットをつくるとなったら、
それこそ「国家予算」みたいな話になるでしょう。
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堀江 |
それだと持続する可能性がなくなるので。
ぼくらみたいな民間が、
量産をしなきゃいけないと思ってるんです。
ぼくらのロケットは高性能である必要はなくって、
とにかく宇宙に行けさえすればいい。
スペースシャトルがフェラーリだとしたら、
ぼくらがつくるのは宇宙のスーパーカブ。
しかもスマホに入ってるセンサーのような、
そういう「どこででも手に入る部品」でつくる。
それだったら格安のコストで行けるはずだ、
という仮説の上で進めてるんですね。
そうやって事業化に成功すれば、
継続性も出てくるんだと思うんです。
スペースシャトルみたいなものは、
国がストップをかけたらもうおしまいですから。
もちろん、失敗や紆余曲折はあると思いますけど。
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糸井 |
それはもう、けっこう進んでるんですか?
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堀江 |
来年くらいには、
高度100キロに行って戻ってくるくらいの
ロケットはできると思います。
有人ロケットはもうすこし先ですね。
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糸井 |
うーーん‥‥
聞いてるとその気になってくるんだから、
やっぱり本気でやってるんですよね。
そうかぁ。
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堀江 |
いや、ほんとに事業化を考えていますから。
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糸井 |
その計画のおもしろさは、
ぼくらがやっている
「100のツリーハウス」と同じかもしれないですね。
そう考えると理解できます。
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堀江 |
100のツリーハウスですか。
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糸井 |
ぼくら、東北に100個のツリーハウスを
つくろうとしてるんですよ。
そうすれば観光地になるだろうと思って。
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堀江 |
へえー、同じ地域に100個つくるんですか?
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糸井 |
そのつもりだけど、
最終的には範囲が広がってもいいし。
オリエンテーリングみたいに
あちこち回るのも楽しいかもしれないし。
あるいは企業がツリーハウスをつくって、
メディアとして宣伝に使ってくれてもいいだろうし。
ツリーハウスが集まっている場所で
コンサートをやってもいいし。
どっちにしろ、
東北と東京を行ったり来たりすることを
やめないのが大切だと思ってて。
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堀江 |
ぼくの宇宙と、近い考えですよね。
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糸井 |
そうかもしれない。
「行き来できる、ワクワクする場所をつくる」
という意味では。
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堀江 |
「ロケットをつくりたい」っていうと、
スポンサー企業さんもそうだし、
マンガ家さんとか、作家さんとか、
もちろんエンジニアの方々とか、
たくさんのひとがワクワクして集まって、
周りがどんどん盛り上がっていくんですよね。
そこがおもしろい。
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糸井 |
いいですねぇ。
堀江さんのおせっかいは、いよいよ宇宙まで(笑)。
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堀江 |
そうですね、がんばります(笑)。
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糸井 |
ありがとうございました。
ほんとうにおもしろかったです。
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堀江 |
こちらこそたのしかったです。
本を読んでいただいてありがとうございました。
(対談を終わります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!) |