糸井 |
ツイッターで、試合から逃げないという意味では、
有吉(弘行)さんもそうですよね。
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堀江 |
ああ、はい。
ツイッターのフォロワー数が多いですよね。
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糸井 |
何かいわれたときの受け方がすごく上手。
すばらしいですよ、そこの切れ味は。
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堀江 |
有吉さんのラジオを
刑務所で聴いてたんですけどおもしろかったです。
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糸井 |
刑務所ではラジオも聴けるんですね。
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堀江 |
ええ。
ぼくはでも、だいたいテレビを見てました。
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糸井 |
テレビもOKなんだ。
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堀江 |
決められた時間だけですけど。
平日は夜の6時から9時まで、とか。
あの期間は久しぶりにテレビを見ました。
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糸井 |
それまではあまり見なかった。
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堀江 |
見る暇がなかったんです。
だから、J-POPにも詳しくなりました。
大河ドラマと連続テレビ小説も。
『梅ちゃん先生』とか見てましたね。
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糸井 |
なんだかたのしそうな(笑)。
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堀江 |
たのしかったですよ、テレビは。
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糸井 |
すごいなぁ、やっぱりその、
いやなことを楽しみに変換する能力がすごい。
シャイなわりには拒否をしないですよね。
すべてをまずは、飲み込んじゃう。
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堀江 |
そうですね。
与えられた環境でいかにベストを尽くすかという。
最後には、いちばん嫌だった先輩の受刑者と
仲良くなってましたからね。
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糸井 |
はあー。
それもヒッチハイクの話と似てますよね。
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堀江 |
あ、ほんとですね。
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糸井 |
看守みたいなひととも仲良くなったんですか。
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堀江 |
いや、看守はやっぱり、
ぼくを相手にしてるんでみんな緊張してるんですよ。
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糸井 |
スターだから。
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堀江 |
何かあったらまずいっていう。
ある意味VIP待遇だったのかもしれません。
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糸井 |
事故があったらニュースですもんね。
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堀江 |
でも、ある意味VIPっていうのは、
たいへんなこともあるんです。
「おまえはとにかく特別なんだから、
偉そうに見えないよう腕組みするな、足を組むな」
最初にそうとう言われました、刑務官に。
で、ずっと言われたとおりにしていました。
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糸井 |
へえー。
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堀江 |
刑務所を出てからも、
ちょっと考えるようになったんですよ。
「いま腕組んでいいのかな?」って。
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糸井 |
じゃあ刑務官の人たちは、
ヒッチハイクの運転手さんとは違ったわけだ。
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堀江 |
そうですね。
‥‥でも、すこしはいるんです。
「なぁ、堀江さ」とか言ってくるひと。
「いま、どの株がいい?」
「俺、ライブドア株、持ってたんだよ」って。
「ちょっと儲けたんだよね」
みたいな話をしてくる刑務官も中にはいましたね。
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糸井 |
はー。
やっぱり不思議な場所なんだねぇ。
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堀江 |
『刑務所わず。』という本を出すんですけど、
それにそういうエピソードを
いろいろ書こうと思っているんです。
※対談のときは編集中でしたが、
『刑務所わず。』は現在発売中です。
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糸井 |
その看守さんたちに、
おせっかいはしなかったんですか。
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堀江 |
さすがにそれはなかったです(笑)。
ただ、受刑者にはしてました。
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糸井 |
(笑)どんなおせっかいを?
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堀江 |
ある年下の受刑者に、
「おまえはコミュニケーション能力が高いんだから、
リアルな世界でもぜったい成功できるんだから、
悪いことするのはもうやめろ」って。
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糸井 |
ああ、
そのひとは堀江さんに会えてよかったよね。
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堀江 |
ほんとうにできるやつなんですよ。
衛生係でいっしょだったやつです。
そもそも衛生係って、なれないですから。
優秀なやつしか配属されない、エリートなんです。
だからあいつは、
ちゃんとすれば成功するんです。
‥‥ということを、本人にいってましたね。
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糸井 |
へええーー。
エリートというのがあること自体も、
ぼくは知りませんでした。
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堀江 |
‥‥まあ、
エリートだから塀の中の人たちから、
いろいろと嫉まれるんですけど。
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糸井 |
そうか。
上手いことやりやがって、と。
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堀江 |
はい。
ぼくは差し入れの本とかも多かったから
それでも妬まれました。
あとはそう、
給与もあれですよ、
最短で昇進して月5,000円もらってましたから。
6,000円近くまでいってましたから。
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糸井 |
すごいことなんですね。
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堀江 |
すごいことです。
そしてそれも嫉まれるんですよ。
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糸井 |
先輩たちから。
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堀江 |
はい。
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糸井 |
なるほどなぁ。
妬んでくる先輩たちに対応したり、
後輩に本気でおせっかいを言ったり‥‥
そうとう真剣に相手をしないとバレますよね。
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堀江 |
そうなんですよ。
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糸井 |
そこが重要ですよね。
いなしたんじゃ、ダメですよね。
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堀江 |
ダメです。
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糸井 |
やっぱりヒッチハイクで学んだことは、
どこまでも堀江さんの役に立ってますね。
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堀江 |
そうですね(笑)。
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糸井 |
いまうかがった塀の中の話、おもしろかったです。
なんでだろう‥‥
人が社会を語る場合って、
だいたいは、その人にとっての周辺じゃないですか。
あるいは脳だけで知ってる話じゃないですか。
それは、やっぱり狭いですよね。
刑務所の経験をみんなに感じろとは言わないけど、
そういうリアリティは
ものごとを語るときに
つい欠けてしまう部分なんだと思います。
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堀江 |
ええ。
そのリアリティはぼくにとって
ある意味アドバンテージなのかもしれませんし。
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糸井 |
‥‥アドバンテージですか。
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堀江 |
壮絶な体験をしてきたんだろうな、
というのをみんなが想像してくれるわけですから。
ぼくにとって、終わった話だし。
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糸井 |
きちんと済ませたという自信にもなってますよね。
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堀江 |
1年9ヶ月を無事故で過ごしましたからね。
これは、簡単なようで難しいですから。
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糸井 |
いや、そうだと思いますよ。
(つづきます) |