糸井 |
堀江さんの本を読みながら、
「人って、似てるところと
似てないところがあるんだなぁ」って思って。
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堀江 |
ええ。
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糸井 |
読む前は自分と堀江さんの似てるところなんて
想像もつかなかったんだけど、
読んでいくといっぱい似てるんですよ。
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堀江 |
あ、そうでしたか。
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糸井 |
とくに「おせっかい」については、
ぼくにもまったく同じところがあります。
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堀江 |
糸井さんも。
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糸井 |
おせっかいですね。
そこは堀江さんに似てると思います。
で、堀江さんと似てないところは、
ぼくは逃げるんですよ。
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堀江 |
逃げる。
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糸井 |
『ゼロ』に書いてましたけど、
堀江さんはいやいやながらも小学校の6年間、
柔道の道場に通った人ですよね。
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堀江 |
はい。親に言われて。
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糸井 |
ぼくはそういうことから逃げてきた人なんです。
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堀江 |
それって、ぼくには無理だったんですよ。
親が確実に許さなかったんで。
逃げるという選択肢はありませんでした。
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糸井 |
そこがやっぱり、いちばんの違いですよね。
ぼくは、ぜんぶ逃げようとするんです。
「その逃げ足がぼくを鍛えた」
と思ってるくらいで。
いちばん大きかったのは、
学生運動から逃げたことでしたね。
「こっちに行ったら変になる」と気づいてからは、
もう、必死で逃げましたから。
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堀江 |
糸井さんって学生運動の世代なんですか?
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糸井 |
はい。ぼく65歳ですから。
25歳違うんですよ、堀江さんと。
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堀江 |
学生運動の世代ですかぁ。
うちの母親と同じくらいですかね。
母は1950年生まれなんですけど。
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糸井 |
ぼくはそれより2つ上です。
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堀江 |
ああー、同じぐらいですね。
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糸井 |
ですから、なんていうんでしょう‥‥
「ひとは、ほんとにいやなことはしない」
という根本的な人間観が、ぼくにはあるんです。
命令やルールだけで
生きているひとなんかいない、と。
いやなことからものすごく逃げ回って、
いやなことをしない人生を送ってきたぼくだから、
そういうふうに思うんです。
ところが、どうやら堀江さんはぜんぶ逃げなかった。
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堀江 |
いやなこと、できますね。
なんか、目の前にある「いやなこと」を
「いやじゃないこと」に変えていく努力をします。
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糸井 |
そうなんですよね。
本を読んで知りました。
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堀江 |
「どうしてもいやなことをしなきゃいけない」
っていう場面‥‥
それこそ刑務所に入るようなシチュエーションは
だれにでも起こりえるわけで、
そこでは「いやなことを楽しむ」能力が
必要じゃないかと思うんですよ。
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糸井 |
要するに変換する能力ってことですよね。
思えばそれを、みごとにぜんぶやってましたよね。
だってライブドアが騒動になって、
想定内だ想定外だっていってたときも、
「いやなこと言うなぁ」という質問にも
正面から答えて、「試合」をしてたじゃないですか。
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堀江 |
はい。
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糸井 |
あれはぼく、できない。
ぼくだったら逃げちゃうもの。
ツイッターでもすぐにブロックしちゃうし。
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堀江 |
ぼくはブロックしたことないんですよ。
そこはまさにノイズだと思っていて。
ノイズを取り入れたいし、ノイズがおもしろいんで。
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糸井 |
すごいなぁ、才能ですね。
試合でしょ? いわば。
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堀江 |
異種格闘技戦みたいなところはありますね。
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糸井 |
そこがおもしろいんだよなぁ。
だからこそ、
ホリエモンのファンって多かったんだと思う。
戦線を縮小しなかったから。
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堀江 |
戦線、縮小しなかったですね。
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糸井 |
今朝も家で、
「きょうホリエモンと会うんだ」っていったんですよ。
そしたらかみさんが、
「へぇー」って興味深そうにしてるんです。
その反応がおもしろかったから、
「そんなふうに反応すること、あんまりないよね」
っていったら、
「だって、きょうはこの人に会うんだなんて、
ふだんはいわないじゃない」って返されました。
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堀江 |
へえー。
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糸井 |
そのとき、
「あ、ホリエモンってスターなんだ」
と気づいたんですよ。
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堀江 |
スター、ですか?
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糸井 |
うん。それは堀江さんが逃げなかったから。
逃げた人はスターじゃないもん。
『ゼロ』に書いてありましたけど、
拘置所に届けられたライブドアの社員たちからの
応援メッセージの話は、すばらしいですよね。
かつての仲間たちから
悪い声が聞こえてこないって、すごいと思いました。
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堀江 |
ああ‥‥はい。
ぼくのことを恨みたくなる社員がいても
仕方ないと思っていたのに、
みんなが熱いメッセージを色紙に書いてくれて。
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糸井 |
申し訳ないけどあの騒動のときは、
仲間内から悪くいわれるんだろうなと、
ぼくは漠然と思ってました。
ところが、社員たちはみな信じて応援していた。
やっぱりスターですよ。
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堀江 |
あれは‥‥うれしかったですね。
慕われています、ウザイくらいに(笑)。
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糸井 |
おせっかいなことをたくさんしたのに!(笑)
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堀江 |
そうですよね、
相当なおせっかいをしたのに(笑)。
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糸井 |
ぼくがおせっかいみたいなことをしてた相手に
みうらじゅんがいるんですけど。
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堀江 |
はい、みうらさん。
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糸井 |
ぼくが彼にしてたおせっかいは本気じゃないんです。
「本人はいやかもしれないな」
というからかいがちょっとまじってますから。
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堀江 |
ああー、その意味では、
ぼくはかなり本気でおせっかいをしてますね。
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糸井 |
堀江さん、みうらじゅんには?
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堀江 |
15年くらい前にお会いしたことがあるんですよ。
みうらさんにいわれたこと、いまでも覚えてます。
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糸井 |
なにをいってたの?
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堀江 |
「インターネットにアクセスするっていうけど、
おれ、インターネットに
あくせくするだと思ってたんだよね。
なんでみんな、あくせくしてんだろう?」って。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
ぼくが知ってるみうらの実話に
こんなのがあります。
はじめてファクシミリが入ってきたとき、
みうらは電話口で一所懸命、声を出していた。
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堀江 |
え?
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糸井 |
「もしもーし、みうらですー」って。
その声が電話の向こうで紙になって出るんだと
本気で思ってたの(笑)。
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一同 |
(爆笑) |
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(つづきます) |