糸井 ブライアンさんが、
ベンチャー企業に投資する会社にいたことは、
Hubspotという会社を立ち上げるうえで
すごく大事な経験だったんでしょうね。
ブライアン ええ、ほんとうに重要でした。
糸井 つまり、元投資側にいた人間として、
自信のある起業だった?
ブライアン うーん‥‥どうでしょうね。
ただ、まったくリスクが
なかったわけではありません。
実際、Hubspotをはじめるときは、
会社を自分ではじめることと、
他の人がはじめる会社に入るっていう
ふたつの選択肢があって、結果的に、
リスクの高いほうを選んだんです。
糸井 そのとき起業に向けて
ブライアンさんの背中を押したのは、
どういう要因だったんでしょうか。
ブライアン やはり、パートナーに恵まれていたことです。
今日は、具合が悪くて休んでいるんですが、
ダーミッシュという技術の面を
担当しているパートナーがいて、
マーケティングと営業を担当する
私との組み合わせがほんとによかったんです。
糸井 そして、会社を起ち上げてすぐに、
同じような考えを持っている
デイヴィッドさんとも出会えて。
デイヴィッド そうです。
糸井 うれしかったろうねぇ。
ブライアン はい。実際、すごく仲よくなりました。
このまま、この波に乗って、
少なくとも20年は、この会社を続けていきたい。
糸井 ‥‥20年。
ブライアン はい。すぐに売るとかではなくて。
糸井 なるほど。
いまは、すごくいい状態なんですね。
ブライアン すごく、たのしいです。
糸井 仕事以外にたのしみは持ってますか?
ブライアン スポーツを観るの大好きです。
レッドソックス、セルティックス、
パトリオッツも大好き。
ギターも弾くし、家族と過ごすのも楽しい。
そしてなにより、グレイトフル・デッド(笑)。
糸井 ああ(笑)。
仕事じゃないことをしてる時間は、
全体の何分の1ぐらいですか?
ブライアン だいたい会社で働いているのは、
週60時間ぐらいですね。
1日12時間。
もうこれは、会社始めたときから、
ずっとこのペースです。
糸井さんは、どのくらいですか?
糸井 どのくらいだろう‥‥。
日本に帰ったら、意識してみますね(笑)。
ぼくの場合、はっきりわからないんですよ。
仕事だか趣味だかわからないようなこともあるし。
ブライアン ああ、私もおんなじです。
デイヴィッド ぼくもそうですね。
好きでやってることは仕事じゃないっていうか、
もうね、仕事したくない(笑)。
ブライアン (笑)
糸井 お金をたっぷり稼いだら、
いまぼくがやってることをやりたい(笑)。
ブライアン ぼくも(笑)。
デイヴィッド うん(笑)。
糸井 ええと、今度日本で出ることになってる本、
『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』
についても語ったほうがいいのかな‥‥。
でも、なんていうのかな、
グレイトフル・デッドで結びついた
ブライアンとデイヴィッドの話が
こんなにおもしろいんだから、
これ以上の紹介はないよね。
一同 (笑)
糸井 思えば、ある日ぼくが
グレイトフル・デッドを検索しなければ、
おふたりにこうして会うことも
なかったわけですね。
ブライアン 糸井さんは、なぜ、
グレイトフル・デッドを知ってるんですか?
糸井 ぼくらの世代って、
ヒッピージェネレーションだから、
グレイトフル・デッドはいちおう聴いてたんです。
好きとか嫌いとかっていうよりも、
当たり前に聴いていた感じかな。
ブライアン ああ、なるほど。
糸井 あと、もっとずっと前に、
ぼくはジェリー・ガルシアが出演した
デパートの広告を手がけたことがあって。
(1993年・パルコ)
デイヴィッド 見たことある。
座って、こう、しゃべってるやつですよね。
1993年ごろかな‥‥。
あれのコピーを書いたんですか?
糸井 そうそうそう、あれ、ぼく。
ただ、ぼくが提案したわけじゃないんですよ。
ジェリー・ガルシアに
出てもらえることになったんですけど、
広告にしてもらえませんかって
呼ばれて、関わったんです。
つまり、グレイトフル・デッドを
広告に使いたいって思う人が
1993年の日本にふつうにいたんですよ。
思えば、ちょっとすごいですよね。
ブライアン そうですね(笑)。
糸井 だから、やっぱり、
たくさんの人を集めているっていうだけで、
ものすごい仕事なんですよね。
グレイトフル・デッドは
それをぼくたちに教えてくれたというか、
ああいう人たちがいるっていうことが、
自分の自信になったんです。
ブライアン おもしろい。
糸井 おもしろいですよね。
だって、思えば、1993年から、
この出会いははじまってるとさえ、いえる。
デイヴィッド そうですね。
糸井 いやー、なんだか
めちゃくちゃな展開だったけど、
とりあえず、ぼくはとってもたのしかった。
どうもありがとうございました。
ブライアン こちらこそ!
糸井 ぼくが「変わってる」って言われたのは、
ちょっと、ショックだったな(笑)。
デイヴィッド ユニーク、ユニーク(笑)。
ブライアン 3人で写真を撮りましょうか。
いや、ずいぶん長く話しました。
外に出ましょう。
糸井 はいはい。
(これで3人の話は終わりです。
 最後まで読んでいただき、
 どうもありがとうございました)


2011-07-28-THU