#1
日本で得たもの
- 糸井
- ようこそいらっしゃいました。
- デイヴィッド
- すてきなオフィスですねぇ。
- ブライアン
- いいにおいがしますね。
木のにおい‥‥。
- デイヴィッド
- 螺旋階段もすばらしい。
- 糸井
- みんなでカラオケ大会をやるときは、
あの螺旋階段で歌うんです。
- ブライアン
- (笑)
- 糸井
- うそですよ(笑)。
さて、まずは、日本にいらっしゃった目的を。
- ブライアン
- はい。私たちハブスポットの
東京支社がオープンしたんです。
- 一同
- (拍手)
- 糸井
- おめでとうございます。
そこで働くのは、日本人?
- ブライアン
- 日本人です。
東京に支社をつくるために、
私たちは12人の日本人を雇いました。
そしてその12人の社員をボストンの本社に送って
‥‥洗脳しました。
- 一同
- (笑)
- ブライアン
- 特別に「Unusual」なトレーニングでね(笑)。
東京支社はその12人が中心になっています。
- 糸井
- いま、世界の何ヵ国くらいに支社があるんですか?
- ブライアン
- 5ヵ国です。日本が5番目。
糸井さんがボストンに来られたのは、
6年前でしたっけ?
- 糸井
- はい、そうです。
- ブライアン
- そのころ、ハブスポット社員の数は300人でした。
いま社員は1500人になりました。
- 糸井
- はーー。成長しましたね。
- ブライアン
- 株式公開もしました。
- 糸井
- すばらしいことです。
この6年の間、日本に来たことは?
- ブライアン
- いいえ、ありません。久しぶりです。
ご存じのように、私はハブスポットをつくる前、
1990年代に日本で働いてましたから、
とても懐かしいです。
私が日本のなにが好きか、わかりますか?
- 糸井
- ええとね、知ってますよ、
まず、お相撲でしょ。
- ブライアン
- そうそう(笑)。
あと、食べ物。それから、日本のひとたち。
もうひとつ、わかりますか?
- 糸井
- うーん、なんだろう‥‥。
- ブライアン
- トイレです!
- 一同
- (笑)
- 糸井
- ああー、トイレね(笑)。
ウォシュレット。
- ブライアン
- スゴイ、トイレデスネ!
- 一同
- (笑)
- デイヴィッド
- 私も日本のトイレが大好きです。
あたためてある便座が好きです。
- 糸井
- ははははは。
- ブライアン
- デイヴィッドの家のトイレはすばらしいよ。
- デイヴィッド
- いま家を増改築してるんですけど、
TOTOのトイレを3つオーダーしました。
そのうちふたつはウォシュレット付です。
イトイさん、いつでもうちに来てください。
トイレを使いに来てください。
- 一同
- (笑)
- 糸井
- ハブスポットにはウォシュレットはないの?
- ブライアン
- ないです。Too expensive.
- 糸井
- そうなんだ(笑)。
- ブライアン
- タカイ、デスネー。
- 糸井
- 日本では小さい会社でも
だいたいウォシュレットがついてますよ。
- ブライアン
- いや、日本はすばらしいです。
アメリカだと、Googleの本社はさすがに
ウォシュレットつきのトイレを使っています。
ですから、アメリカで
ウォシュレットつきのトイレがあるのは、
Googleとデイヴィッドの家だけです。
- 一同
- (笑)
- 糸井
- お二方とも、かつて日本で働いた経験があって、
その共通点もあって、いまもハブスポットで
一緒に仕事をしているわけですが、
日本から得たもので、いまも自分に
活きているものって、なにかありますか?
- ブライアン
- もちろん、あります。
- デイヴィッド
- (横に座る渡辺さんを示しながら)
私は「こちら」を見つけました。
(I found this one.)
- 渡辺
- (渡辺由佳里さん:
デイヴィッドさんの奥さんであり、
エッセイスト、翻訳家。
この日は、ほぼ日の篠田とともに
通訳を務めてくださいました。)
‥‥(苦笑)。
- 糸井
- ああ(笑)。
渡辺由佳里さんとデイヴィッドは
日本で出会ったんですよね。
- デイヴィッド
- ハイ、すばらしい日本のプロダクトです。
- 渡辺
- (苦笑)
- ブライアン
- スバラシイ、ダネ!
- 糸井
- l know, I know(笑).
- デイヴィッド
- もちろん彼女だけではなく(笑)。
当時、私は26歳で、ウォールストリートの
会社で働いてたんですけど、
社内で小さな仕事ばかりを受け持ってました。
そんなとき、東京に支社を開くことになり、
私は手を挙げて日本にやって来たんです。
そのときに感じたのは、
ここに自分の知らない大きな世界があって、
自分はこれまでやったことのない
大きなことができる、ということでした。
私は自分の可能性に気づいたんです。
そして、仕事だけではなく、人生においても、
自分自身で計画していくことを学びました。
ですから、私の人生にとって
日本というのは非常に大切な存在です。
- ブライアン
- デイヴィッドは、基本的に日本人なんですよ。
- 糸井
- (笑)
- ブライアン
- ふつうアメリカだと夕食に6時に招くと、
たいていの人は6時半に来る。
ところがデイヴィッドは6時1分前に来る!
おまけに、いつもおみやげを持って来る。
もう、完全に日本人ですヨ。
- 糸井
- ははははは。
ブライアンはどうですか?
- ブライアン
- 私は1993年に日本で働きはじめました。
そのころはインターネットもなかったので、
家に帰るといつも日本語のテレビを見てました。
しかし‥‥ハァ‥‥非常に難しい。
なに言ってるか、わからない。
- 糸井
- わかんないよねぇ(笑)。
- ブライアン
- でも、相撲はわかった!
これは、とてもわかりやすい!
- 一同
- (笑)
- ブライアン
- 一番最初に見た取り組みを憶えています。
実演しましょう!
- 糸井
- おお(笑)。
- ブライアン
- みなさん、相撲、お好きですか?
ええと、ここが土俵だとして‥‥。
(取り組みを実演中)
-
- こちらに小さい力士。
‥‥テラオ。
- 糸井
- 「寺尾」(笑)!
- ブライアン
- もう一方に、大きな力士!
コニシキ! 小錦vs寺尾です!
私、観ていて、思いました。
‥‥寺尾は死ぬんじゃないかと。
- 一同
- (笑)
- ブライアン
- 勝負がはじまりました。
(実演中。
見合って、見合って‥‥仕切り直し)
- 一同
- おーーー(笑)。
- 糸井
- うまいね(笑)。
- ブライアン
- (実演中。塩を撒く、寺尾)
ゲンキ、ダス!
- 糸井
- さあ、時間、いっぱい!
- ブライアン
- (はっけよいのこった! 白熱の取り組み!)
- 糸井
- おおおーー、寺尾!
‥‥勝ったぁ!
- 一同
- (寺尾の勝利に拍手)
- ブライアン
- 私は、寺尾の勝利を観て、
感動しました。
- 糸井
- つまり、まさか勝つとは
思ってなかったんですね。
- ブライアン
- ぜんぜん想像もしてなかった。
それで、インスパイアされたんです。
- 糸井
- 「寺尾」に。
- ブライアン
- はい。ハブスポットも同じです。
インターネットの力で、
小さいものが、小錦のような大きなものに勝つ。
ハブスポットは、その援助をしている(笑)。
- 糸井
- なるほど(笑)。