石原プロヂューサー×ほぼ日
最終回【誰かに作らされたような気がするんです。】
ほぼ日 しずちゃん、とても、よかったです。
 
石原 しずちゃんはね、普通の子だからよかった。
どこにでもいるお嬢さんなんです。
モー娘。になりたかった女の子ですからね。
タヒチアンの練習中におへそが見えると、
Tシャツを必死で下げちゃうような
可愛らしい子なんです。
ああいう彼女の持ってるものが、
映画に出ていたと思うんです。
演技経験とかは、関係ない。
プロから見たら
つっこみどころ満載の映画なんだろうけれど、
魂を込めているから、
そういうことがぶっ飛んでしまう。
よく観ると、振りを間違えていたり、
反対に回っているとか
いろいろあるんですけどね。
ほぼ日 わたし(冨田)は
フラをやっているんですが、
本番って、踊るとき、ああなるんです。
どんなに練習してても。
そこらへんも全てが本気なんですよね。
石原 フラダンスをやっていらっしゃる方に
そう言っていただけるのはうれしいです。
‥‥わたしたちは、作り手だから、
不安だらけなんです。
ほぼ日 いえ、号泣しましたし、
フラを始めたときの気持ちを
思い出しました。
見終わったときに、
すぐに、フラをやってる仲間に
観たほうがいいよってメールして。
きっとそういう人がいっぱいいたんですよね。
石原 スパリゾートハワイアンズの
フラガールの応募が
すごく増えたということを伺いました。
熊本の高校生から
フラガールになるには
どうしたらいいんでしょうか
という問い合わせがあったとか。
ほぼ日 スパリゾートハワイアンズ、
むかしの常磐ハワイアンセンターですね。
こちらとのタッグもしっかり組んで、
やってらしたように思えました。
石原 常磐ハワイアンセンターの
創業物語ですからね、
ものすごいタイアップをしてくださって。
地方を活性化するために
映画やテレビを呼びたいっていう動きが
最近ありますけれど、
そういう意味で『フラガール』は
地方自治体との協力が
すごくうまくいった例ですよね。
ある日市役所に行くと、市役所のかた全員が
「GO! フラガール」ってバッジを
つけてくださっていたりとか。
常磐線に乗ると、駅、駅に全部
『フラガール』ののぼりが立っていたり、
すべて、こちらから
お願いしたことではないんですよ。
 
ほぼ日 ええー!
でもわかる気がします。
ほこらしい思いで、参加したいんですよね。
うちの町が! って。
石原 ポジティブな映画だからでしょうね。
平テアトルといういわきの駅前の映画館は
7ヶ月間も上映してくださったんです。
そのくらい地元の方々にも
愛されていたんです。
うれしいことですね。
フラダンスにしても、
製作をはじめたころは
まだサブカルのように
思われていた頃でしたけれど、
やがてブームになっていきました。
ブームだから企画したのではなくてね、
企画しているうちに、
フラダンスブームが来たというのは、
わたしにしても不思議なことなんです。
ほぼ日 いろんなラッキーがあるんですね。
石原 ‥‥これって、不思議なんですけれど、
誰かに作らされたような気がするんですよ。
ほぼ日 へえ!
石原 この映画を撮ろうと思ったきっかけが、
「運命のダダダダーン!」っていう
クイズ番組だったんです。
世界中のびっくり話を
クイズで答えるっていうものだったんですが
わたし、ふだん
テレビってあまり見ないんですよ。
7時とか、8時とか
サラリーマンのかたが帰る時間には
家に帰れないですし。
その日がたまたま、
1年に1回だけ早く帰った日で。
7時頃からお風呂に入って、
ビールを開けて、
ふだんバラエティーは見ないのに、
ほんとうに偶然見たんですね。
そこで、炭鉱娘たちがフラガールになった、
という、スパリゾートハワイアンズの
創業物語を知ったんです。
それで企画がはじまった。
 
ほぼ日 そこから諦めずに
公開に至ったんですね。
石原 諦めることって、いっぱいあるんです。
本は作ったけれど、
やっぱり映画にならないなって
捨てる映画もいっぱいあるんです。
ほぼ日 ええー!
石原 企画したから全部映画になるとは限らない。
だけど、これだけは
誰かに「諦めないで! 諦めないで!」
って言われてる感じがして。
‥‥不思議なんですよね。
ここまでがんばれたのって
なんなんだろうって思います。
誰かに作らされたような感覚っていうのは
そういうことなんです。
ほぼ日 石原さんのお話を聞いていたら、
もういちど観たくなってきました。
石原 どうもありがとうございます。
ぜひ観てください。
ほぼ日 きょうはどうもありがとうございました!
  (石原プロデューサーのお話はこれで終わりです。
 明日以降も李監督のお話をおたのしみに!)
2007-05-29-TUE