(前回は「箱根駅伝」撮影ポイント攻略のお話でしたが
 今回は撮影機材のお話。機材も箱根仕様らしいんですよ)


部員 今回の撮影は一眼レフじゃないと難しいのでしょうか?
菅原さん そういうことはないと思います。
ぼくはまずはライカを。
これはぼくのカラダの一部みたいなものなので
首から常にぶらさげていようと思います。
しかも、これモノクロです。
 
  そしてメインで使うのはニコンのD3です。
このカメラ、とにかく重いんです。
 
  ぼくらプロのカメラマンは通常、カメラは2台もっていきます。
今回のような撮影だと1台には28-70mmのレンズをつけ
もう1台には80-200mmをつけるのですが、
箱根駅伝ではD32台持ちは無理!と判断しまして、
ライカとニコンD3の2台で箱根の山に望みます。
今回の企画のために新たにレンズも買いました。
これまでどちらかというと使うのを避けてきた
高倍率ズーム、28-300mm。
これ1台で広角から望遠まで全てまかなえます。
どうだ!伸びたり縮んだりすごいでしょ!
部員
菅原さん もともとズームレンズは写りも悪いので
敬遠していたのですが、
箱根駅伝のためにこのレンズを買って、
仕事で試してみました。
「順番が逆さまだ!」と
言われればそうかもしれませんが
部員
菅原さん クライアントというか発注した方には申し訳ないですが
仕事で試したところ、「このレンズばっちりです!」(笑)
駅伝マニアさん、どうですか?このレンズ。
駅伝マニアさん すごい!これ一本で全ての場面に対応できますね!
ぼくもカメラは一台でレンズも
基本的にニコンの70-300mmで対応します。
これが一番、軽くて機動性があるんです。
 
菅原さん 広角レンズは使う?
駅伝マニアさん ぼくは列の後ろから望遠レンズで狙う場合が多いので
ワイドを使う場面が少ないんです。
300mを使うのは肉眼では見えない先の状況を
望遠鏡代わりに使うためにも必要なんです。
菅原さん じゃあ。ぼくがワイドを撮ります。
もし、この機会に望遠ズームを考えているのだとしたら
タムロンのSP70-300mmF/4-5.6をおすすめします。
 
  これはぼくも仕事で使うレンズで
タムロンの60周年を記念して作ったモデルなんです。
ものすごくクオリティの高い手ぶれ補正もついてて
安ければ4万円弱くらいで買えるレンズ。
タムロンが60周年の感謝の気持ちをこめて
利益度外視で作ったところ大ヒットしました。
普通だと、そこで終わっちゃうんですが
タムロンのすごいところは、
記念モデルと全く同じものを
同じ値段で普通に売り出したんです。
このレンズは軽い上に、
この価格とは思えないくらいの写り方をします。
望遠で遠くを撮ろうとすると
三脚や一脚で固定しないと写真がブレてしまいがちですけど、
このレンズの手ぶれ補正はピタリととまります。
もし、望遠ズームの購入を考えているのであれば、
このレンズを検討してみるといいですよ。
 
駅伝マニアさん 軽視しがちなのがバッテリーですね。
どれだけいいカメラをもってても
どれだけいいレンズをつけてても
バッテリーが無くなったらどうしようもないですからね。
特に連写するとバッテリーの減りも早いですし。
菅原さん そして、山登りの箱根5区を
歩いて移動するために
カメラバックも新たに買いました。
 
駅伝マニアさん ぼくも両手が使えるように
菅原さんと同じLowepro
カメラバックを使っています。
機動性を重視すると、このカメラバックに行きつきますね。
 
菅原さん 両手が使えるといえば、
この企画のために手袋も新しいものを買いました。
ノースフェイスのスマートフォン対応手袋。
これ、昨年末、新宿ルミネ屋上で行われた
ムーンライダーズのルーフトップギグを撮影したときに
一緒にやってたビデオのディレクターが使ってて
「そりゃ、いい!」とすぐに買ったのですが、
この前、ノースフェイスの直営店にいったら
バージョンアップしてるんですよ。
なんと革のグリップが新たについてるんです。
そうすると、このままカメラを持って撮影してても滑らない!
 
部員 おおっ!
菅原さん これで箱根の山中からも手袋をしたまま
スマートフォンで写真をアップし放題!
スマホ対応手袋はいろいろ出てますが、
この手袋はよりカメラマン向きな
作りになっているのでおすすめします。
駅伝マニアさん それ、ぼく買いますよ!
菅原さん そしてメモリカードについて話しておきます。
これだけは絶対ケチらないこと。
これまでいろんな会社のカードを使ってきましたが、
Sandiskという会社があります。
この会社だけは一度もトラブルがないんです。
Sandiskの許せる限り転送速度の速いカード。
これを用意しておいてください。
 
  今回はスポーツを撮影するので
連射機能を使って撮影します。
その時に書き込み速度が速いほうが
数多くの枚数が撮影できるのです。
つまり、シャッタチャンスが増えるということでもありますよね。
入り口となるレンズと出口となるカード。
ここはお金をかけておいたほうがいいと思います。
sandiskは写真専門のメーカなんです。
よく家電メーカーが安いカードを作ってますが
それってどこで作っているかわからないですし、
特にRAWデータは容量が大きいですし、
とてもデリケートだからトラブルが起きやすい。
若干高いですけど、何回も使えますから
Sandiskのものを準備してみてください。

次はカメラの設定や撮影ポイントといった
より実践的な内容にすすみましょう。

(続きます。)



2012-12-30-SUN

 


取材・企画協力:日本写真学院 文藝春秋 Number編集部 東京観光写真倶楽部 PHaT PHOTO写真教室