箱根駅伝ってご存知ですか?
「もちろん知ってるよ!」
というかたもいらっしゃると思いますが、
「知ってるけど‥‥」というくらいの興味のかた、
「ん? よく知らないなぁ」というかたも、
きっとおおぜいいらっしゃると思います。
箱根駅伝は正式名称を
「東京箱根間往復大学駅伝競走」といい、
お正月の2日と3日にわけて、
東京・箱根をリレーで往復し、
関東地区の大学チャンピオンを決める“地方大会”。
最初は関東ローカルだったテレビ放映も、
じょじょに日本全国に拡大し、
いまや国民的行事になりつつある、
人気の大会に成長しました。
この箱根駅伝を、テレビではなく、沿道で観戦したい!
そして、そのすべてを記録したい!
そう考えた、中年陸上部(の、西本)は、
写真家の菅原一剛さんと、雑誌「Number」に相談。
この、大げさなようなそうでもないような、
でも成功したらかなり面白いことになるんじゃない?
というプロジェクトがスタートしたのでした。
「箱根駅伝の全区間、全大学、全選手を
 総勢50人のカメラマンで撮りつくす」。
‥‥やってみたいと思います!

 
箱根駅伝を撮ろう! 2012-12-29-SAT
箱根駅伝には機動性重視の装備で。 2012-12-30-SUN
30日に撮影区間エントリーをします。 今日の更新
 





(前回の機材編に続いて、今回はカメラの設定のお話。
 スポーツ写真ならではの設定があるそうです。)


菅原さん 特に東京観光写真倶楽部のメンバーは
あまり使ったことがなかったと思いますが
カメラにはシャッター優先モードというものがあります。
スポーツ写真のような動いているものを
撮影するにはこのモードを使うと
被写体がぶれずに止めて写すことができます。
駅伝マニアさんはいつもどれくらいで設定してますか?
駅伝マニアさん ランナーを撮る場合は250分の1で設定すれば
だいたいのランナーは止めて写すことができます。
箱根駅伝を撮る前にジョギングしている人や
公園で遊んでいる子どもなどを撮ってみて
自分のカメラにあったシャッタースピードを
いろいろ試してみてください
 
菅原さん 箱根駅伝の日はだいたい晴天が多いのですが
ホワイトバランスや露出についてもお話しておきましょう。
昔はフィルムには電灯の下で撮るためのものと
自然光の下で撮るためのものの2種類がありました。
デジタルカメラにはオートホワイトバランス
という機能がついているのですが
ぼくはオートホワイトバランス機能をつかわずに
室内でも屋内でも自然光で撮る
太陽マークに設定しています。
そうしたほうが自然な写真が撮れると思います。
そして、デジタルカメラの最大の特徴でもあり
嫌なところでもあるんですが、
明るく撮ろうとする性質があります。
それはccdとかの特性でもあるんですけど
みなさんも撮ってみたら、
「あれ、ずいぶん明るいな」と思ったことがあるでしょう。
露出補正機能というのが
カメラにはついているので
ちょっと暗めに調整してみてください。
データ的にも明るすぎて白飛びしまった場合は
救いようがないのですが、
暗い場合はなんとかなることが多い。
デフォルトでメモリ1つ分の三分の一か
メモリ2つ分の三分の二くらい暗くして
撮ったほうがきれいなものが撮れると思います
ぼくはマニュアルで撮るつもりですが
駅伝マニアさんは
フォーカスはどうしてますか?
駅伝マニアさん オートで1点追従しているものを使ってます。
フォーカスについてポイントがあるとするならば
先頭選手を撮る時が要注意です。
選手より先に中継車がやってくるのですが、
実はその真後ろに先頭の選手が走ってます。
つまり、「中継車が来た!」と思ったら
選手がもう通りすぎているんです。
中継車と選手の距離を確かめるために
実際の映像を観てみましょうか。
 
部員 ほんとだ。かなり近い。
駅伝マニアさん その間、0.5秒くらい。
何も知らないで撮ろうとすると
おそらく大半の人が撮り逃してしまうでしょう。
1位の選手を撮り逃すとショックはでかい(笑)
ですので、中継車にピントをあわせながら
選手を待つといいですよ。
そして、選手の後を監督が乗った車
たぶん、今度もプリウスが走ってくると思うのですが、
車中の監督の表情も撮影ポイントのひとつです。
監督の表情でその大学が戦略どおりに
走れているかどうかうかがいしれますし。
監督が往年の名選手であることが多いのも
箱根駅伝の特徴です。
ほぼ日 神奈川大学の大後監督とかは
声をかけると沿道に手を振ってくれますしね(笑)
菅原さん それはいいことを聞いた。
撮影ポイントについては
ぼくもコースを一通り車で走ってロケハンして
「ここは!」というポイントを見つけようと思います。
 
駅伝マニアさん せっかくみつけたポイントも
選手到着の30分前は誰もいないんですけど、
気づいたら人に囲まれていて
観客が振り続ける
読売新聞と報知新聞の旗に隠れて
選手が撮れないということもよくあります。
あと、電柱の横にスペースを確保すると、
自分の前に人が来ないというテクニックも(笑)。
ポジション取りでいえば、
選手は左車線を走ってくるので
右カーブに撮影ポイントを陣取ると
直線で陣取るよりも
関係車両が曲がっていってくれるので
選手が真正面から撮りやすくなりますね。
ただ、今回の企画では
先頭争いや報道的な写真については
Numberのカメラマンが
きっちりおさえてくれると思うので
選手だけを撮るのではなく、
景色をきちんと入れた写真のほうが面白いし、
そういう写真をぼくもみたいです。
ほぼ日 駅伝マニアさんの箱根駅伝の写真を
見せてもらうと、選手だけでなく、
いろんなものを撮っているんですね。
沿道の観客が出しているプラカードや
中継ヘリコプターだとか(笑)
たぶん、待ってたところにヘリコプターの爆音がして
「そろそろ選手が来るぞ!」
と興奮してたんでしょうけど(笑)
菅原さん その面白さについては
これまで40回以上撮影旅行をやってきた
東京観光写真倶楽部のみなさんはわかっていると思います。
たぶん、たくさん変なものを撮ってくると思う。
セレクトするぼくは大変なんだけど(笑)
そして、みなさん12月30日にもう一度集まりましょう。
なぜ、30日かというと、
12月29日が箱根駅伝の区間エントリーの日なんです。
つまり、どの選手がどの区間を走るというのが
前日に判明いたします。
我々も、どの区間を撮影するかを決める
区間エントリーを決めることにしましょう。
それでは30日にまた集まりましょうね。
 
  (箱根駅伝当日のレポートは年明けにお伝えしますね。
 みなさんもぜひ、沿道で撮影してみてください。
 目の前で決定的瞬間が撮れるかもしれませんよ!)

2012-12-31-MON  


 

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取材・企画協力:日本写真学院 文藝春秋 Number編集部 東京観光写真倶楽部 PHaT PHOTO写真教室