その1いただきます!
- 天海
-
糸井さんお久しぶりです、
すみません、ご無沙汰してしまいまして。
- 糸井
-
こちらこそ。ずっと何となく──、
よく言うセリフだけど、テレビで見続けているから、
そんなにご無沙汰している感じがしないね。
- 天海
- 嬉しいです。
- 糸井
- 飯島さんと天海さんは知り合いなの?
- 天海
- はい、お仕事をご一緒させていただいて。
- 飯島
-
天海さんが出演なさったCMで、
料理を作らせていただきました。
- 天海
-
美味しいものを食べながら、
さらにいろいろいただき物まで。
- 糸井
- 何をあげたの?
- 飯島
- うめ酢です。
- 天海
-
今、お弁当と外食の生活なんです。
スタジオで撮影なので。
だから、ご飯にうめ酢をかけて
美味しくいただいているんです。
- 糸井
- ご飯にうめ酢をかけるんだ!
- 天海
-
美味しいんですよ、
梅ぼしご飯みたいになるから。
スプレーに入れて、シュッシュって。
- 糸井
- そんな寂しい食生活をしてるの?
- 天海
-
そうなんですよ!
ああ、グサッと来ました。
そうなんですよ~。
- 糸井
- 忙しい時期なんですか?
- 天海
-
『緊急取調室』というドラマを撮っていまして、
ずっと撮影の毎日なんです。
- 糸井
- 天海さんてさ、仕事を休む時がないね。
- 天海
-
じつは最長で半年休んだことあります。
2年前ぐらいですかね。
マネージャーさんが一所懸命あけてくれて。
ちょっと楽しかったです、ダラダラして。
- 糸井
- そういう時は、外国に行ったり‥‥。
- 天海
-
行けばよかったんですけど、全然行かなかった。
ふだん会えない友達に会ったり、
家族と温泉に行ったりしてました。
わりと出不精なんです。
- 糸井
-
僕は、最後に天海さんに会ったのは、
かみさんが一緒で、
中華料理を食べた時ですよね。
- 天海
- はい、いただきました。
- 糸井
-
あれは、今でもうちの家族の間で
忘れられない思い出ですよ。
ずっと天海さんが話をしてくれるんだけど、
「あれは面白かったね」って。
「天海さんって、ネタの宝庫だね」って。
- 天海
- そうなんです、ネタの宝庫です。
- 糸井
-
その力量はバラエティで活きてます。
本当に面白いんだもん。
- 天海
-
ほんとですか? 恥ずかしいなぁ。
それより、私、聞きたかったんですけど、
糸井さんって、どんな子どもだったんですか?
こんな人がどうやってできるのかと思って。
- 糸井
-
幼稚園はまずはおばあちゃん子で、
「手がかからないね」って言われる子どもでした。
マンガを読んだり、
近所の子どもが遊ぶところにまぜてもらって、
ちっちゃい子として参加してる時代があって。
でも、お医者さんごっこもしてましたよ。
- 天海
- アハハハ。
- 糸井
-
小学校に行くと、表で元気よく遊んで、
喘息で倒れこむっていう‥‥。
- 天海
- かわいそうに。
- 糸井
-
僕が倒れてむせてる時に、
みんながちょっと待っててくれるのを、
「待っててくれなくていいから!」みたいな。
- 天海
- 気を遣う子だったんですね。
- 糸井
-
それで収まると、一緒にまた遊ぶみたいな、
でも先生にはものすごく怒られてました。
友達と一緒にやる悪いことに、
僕は全部入ってましたから。
あと、怒りやすいんじゃないかな。
学級委員とか生徒会長みたいなことやってるのに、
怒られる人なんですよ。
天海さんはどんな子だったの?
- 天海
- 私、わりとおとなしめな子でした。
- 糸井
- え? 天海さんが、おとなしめだったの?
- 天海
-
2歳上の兄貴がいたので、
兄貴のおマメみたいな感じで、
兄貴のお友達に遊んでもらったりとか、
忍者ごっこしたりしてました。赤影ごっこ。
- 糸井
- 『仮面の忍者 赤影』ね。
- 天海
- 必ず、青影をやらせられる。
- 糸井
- 大人しいけど、忍者ごっこはするんだ。
- 天海
- やられるばっかりでしたけど。
- 糸井
-
体は動くんでしょ。
歌や踊りの人なんだから。
- 天海
-
いや、それはね、宝塚出身でもですね、
得意不得意があるんですよ。
- 糸井
-
え? 天海祐希っていう人は、
それが得意じゃない人として語られるの?
- 天海
-
好きだったけれども、自分では
「あんまりうまくない」っていう
自覚が必ずありましたね。
- 糸井
- 人もそう思っていたのかな?
- 天海
-
人もそう思ってたんじゃないですかね、
宝塚全体をご覧になっている方とかからは。
- 糸井
-
僕は、3年ぐらい前に
初めて宝塚っていうものを観て
「これは多分、やってる人が
一番面白いんじゃないかな」
と思ったんです。
- 天海
- それはあるかもしれないですね。
- 糸井
-
そして、観ている人のおかげで、
やってる人がすごく助けられてる舞台ですよね。
演じている人たちの気持ちよさが、
もう1回観客席にくるから。
- 天海
- 自分が夢の世界にいさせてもらってる感じですもんね。
- 糸井
- じつはそんなに期待しないで行ったんですよ。
- 天海
- 面白かったでしょう?
- 糸井
- 面白いです。やっぱり最後のフィナーレが!
- 天海
-
男性のほうが、
宝塚のショーにハマる方が多いんですよ。
次から次に出てくるじゃないですか、
いろんな色の氾濫のように。
そして最後にウワーッて、これでもかって感じで。
- 糸井
-
あれはいいですよねぇ。
横尾忠則さんがすごく宝塚のファンなんですよね。
- 天海
- 応援して下さっているみたいですね。
- 糸井
-
「横尾さん、何がそんなに面白いの?」
って言ったら、
「行かなきゃ分かんないよ」って言われていたんです。
それで『オーシャンズ11』かな、
蘭寿とむさんっていう人の舞台を観に行って。
思っていたのとものすごく違ったのは、
男役ばっかり見ちゃうこと。
僕は女の人がいいと思ってるくせに。
- 天海
- アッハハハ。
- 糸井
-
カッコいいんです!
で、天海さんはそれをやってたわけじゃない?
今さらながら、ものすごく観たくなったの。
天海さんがやったら、さぞいいだろうなと思って。
男がやりたくてやれないカッコ良さを‥‥。
- 天海
- 代わりにね。
- 糸井
-
歌舞伎で女形がやるように、
あるいはジャニーズの子たちがやるように、
いもしないカッコ良さがあるはずなんです。
「もっとして!」って思う(笑)。
- 天海
-
演じるのが実際は女なので、いくらやっても、
「男のくせに」っていう感じじゃないんですよね。
- 糸井
-
嫌味にならないんですよ。
「そこはオイラに任しておけ」
みたいなこと言うじゃない。
- 天海
-
言います。
「それ絶対に言わないでしょ、普段は」みたいな事を。
- 糸井
- 今、自分では宝塚を観るんですか?
- 天海
-
辞めてすぐの時に、
私の次にトップさんになられた方の公演を
拝見したんですよ。でも観に行くと、
「この人たちは、ここに来るまでに
どれだけの思いをしてここに‥‥」
と思っちゃうのね。
だから、冷静に観てられない、泣けちゃうの。
だからなんか、あんまりこう、
客席で観るのもなと思って。
嫌いなわけじゃないんですよ、
自分が人生を、青春をかけた場所ですから。
とても大事すぎるんでしょうね、きっとね。
- 糸井
- そんなものがあるって素晴らしいね。
- 天海
- ありがたいことですよねぇ。
- 飯島
- (料理を運んで)できました。
- 天海
- わあー(拍手)!
- 飯島
- おからサラダとねぎぬたです。
- 天海
-
わぁ、すごい。
わわわわ。美味しそうです。
- 糸井
-
取り分けて食べるんですね。
じゃあ、僕は天海さんに、
生まれて初めてのことをしましょう。
- 天海
-
わー、やった!
みんな驚いてますよ。
- 糸井
-
今、男役の話をしてたら、急にね。
‥‥まさか、天海さんに会って
宝塚の話するとは思わなかったけど、
面白いなぁ、やっぱり。
- 天海
- 観ていただけてありがたいです。
- 糸井
- いただきましょう。
- 天海
-
いただきます!
(ひとくち食べて)おいしい~。
- 飯島
-
今日のねぎぬたは、
白ネギと九条ねぎのミックスです。
- 糸井
- この白いのは? イカ的な。
- 飯島
- 長ネギですよ。
- 糸井
-
長ネギか!
イカに見えたんだけれど、ネギ!
- 飯島
-
茹でずに、少しの酒と水と
ひとつまみの塩で蒸し煮しています。
茹でるとお湯を沸かすのにも
時間がかかるんですが、
蒸し煮にすれば、すぐにできますから。
- 天海
- とっても、あま~い。
- 糸井
-
これ、酒飲みにはたまんないだろうね。
こういう店があるといいのにな。
- 天海
- うん、うん。
ねぎぬた
長ねぎと九条ねぎ、2種類のねぎを合わせて、
蒸し煮にしてから調味するレシピです。
材料 2~3人分
- 長ねぎ 1本
- 九条ねぎ 3本
- 塩 少々
- 酒 大さじ1
- 水 大さじ1
【A】酢味噌
- みそ (好みのもの)大さじ2
*白みそを使う場合は、砂糖を少なめに
- 酢大さじ2
*酢が苦手な方は、少なめに
- 砂糖 大さじ1~2
- からし 小さじ1
つくり方
- 長ねぎは5cmの長さに切ってタテに4等分します。
- 九条ねぎは5cmの斜め切りにします。
- フライパンに長ねぎ、九条ねぎ、塩、酒、水を入れて
フタをして、火にかけます。
- 火が通って水分が出てきたらフタを外して
軽く水分を飛ばし、火を止めて粗熱をとります。
- ねぎを器に盛り、【A】を合わせ、かけてどうぞ。
(つづきます)
2017-05-16-TUE