その5飯島さんの料理は現場でもおいしい。
- 糸井
- 『副菜2』は何種類ぐらいの料理があるの?
- 飯島
-
56種類です。
副菜といっても、
けっこうご飯ものっぽいんです。
- 天海
- ご馳走ですよ。
- 飯島
-
あと、おかゆとか。
風邪をひいたら食べたい、
作ってあげたいじゃないですか。
その作り方も書いてあります。
- 天海
- えぇー!
- 糸井
- おかゆ、いいね。
- 飯島
-
薬膳の学校で習ったんですけど、
沸かしたところに米を入れるんです。
で、下に張り付くじゃないですか。
それを剥がしたら、あとは触らず15分。
最後に少し蒸らせばできあがりです。
- 糸井
- 少し作るのにもいいね。
- 飯島
-
はい。これを鶏出汁とかにすれば、
ちょっと中華がゆみたいに。
- 天海
-
おかゆ、いいですよねぇ。
薬膳では、そういう作り方をするんですね。
- 糸井
- おかゆの翌日、調子いいよね。
- 天海
- いい!
- 糸井
- やっぱり普段食い過ぎてんだろうね。
- 飯島
-
ご飯だと一膳食べてしまうのに、
おかゆの米だったら三分の一ぐらいで
お腹いっぱいになりますよね。
- 天海
- 岩のりとか乗っけて食べちゃう。
- 糸井
-
さっきの海苔をお醤油に漬けといて、
くずして食べるのもいいね。
ちぎってお醤油かけといて、何ならおかかも。
- 天海
- うわあ、もう!
- 糸井
- 何ならゴマも。
- 天海
- もおーっ!
- 糸井
- 中の人が吠えてる(笑)。
- 天海
- 吠えますよ、もう。
- 飯島
-
ちなみに、これは梅肉とおかかと醤油ひとたらしです。
おかかと醤油だけでもいいんですけど、梅が好きなので。
- 糸井
-
梅、いいですよね、おいしい。
昔、海外に行く時に、
梅を刻んだのとおかかとネギを混ぜて、
お醤油ガーッとやって、それを持ってってた。
そうすると、何が出ても、急に日本の味になるんだ。
それは、石坂浩二さんに教わったの。
- 天海
- 石坂さん、お作りになるんですよね。
- 糸井
-
埋蔵金の時だって、自分で作ったのを
車に積んで持ってきてくれてたんだよ。
- 天海
-
京都で『水戸黄門』を撮影してた時に、
お弁当を、助さん格さんが
みんなに配ってくださいました。
デザートなんかもくださったりして。
- 糸井
-
あの人はすごいんです。
本当に親切なんですよ。
ああいう人は、やっぱ珍しいですよね。
おかゆ
『副菜2』掲載のレシピです。ここではおかか梅ですが
細かく切ったみょうがや細ねぎ、大葉を散らしたり、
塩気としてほぐした塩鮭、塩昆布、佃煮などお好みで。
材料 2人分
おかか梅
- 梅肉 30g
- おかか 1.5g(小分けのパック半分弱)
- しょうゆ ひとたらし
つくり方
- 米を研ぎ、20分浸水させたあと、ザルにあげておきます。
- おかか梅をつくります。梅肉を軽くたたいて、
おかかとしょうゆを加えて混ぜます。
- 鍋に湯を沸かし、1を入れ、再沸騰したらヘラで
鍋底に張りついた米をはがします。
少しずらして(隙間をあけて)フタをして、
ごく弱い沸騰で15分炊きます。
- 15分経ったら火を止めて、フタをして5分蒸らします。
- 糸井
-
飯島さんも忙しそうにしているけれど、
飯島さんの忙しさっていうのは、
現場での撮影の前に、下ごしらえとか、
研究みたいなのも全部あるんですよね。
- 飯島
-
そうですね。
「このCMでこういう料理を作るので、
食器はこういうものを使います、
そしてこういうふうに盛り付けます」って、
全部写真に撮って提案するんです。
そういう作業とか、近づいたら買い物と
下ごしらえがありますね。
- 糸井
-
いくつかの仕事が重なると、
それを並行してやるんですよね。
- 飯島
-
フードスタイリストとして
1人でも仕事ができるスタッフが
私のほかに2人いるので、
ドラマとCMと配置して、
「ここは誰、ここは誰」って感じで仕事をします。
- 天海
- 大変だぁ!
- 飯島
-
でも、みんな、すごく料理が好きなので、
楽しくやっているんですよ。
- 糸井
-
飯島さんの料理はさ、
たとえ映画に登場する“消えもの”であっても、
見栄えだけじゃなくって、
きっと、おいしいでしょう?
- 天海
- おいしいんです。
- 糸井
- カタチじゃなくて。そのあたりが飯島さんだよね。
- 天海
-
ほんとにおいしいから、
ガツガツ食べちゃうんですよ。
- 糸井
-
長丁場の映画のロケに飯島さんがいたら、
もうメッチャクチャ嬉しいですよね。
- 天海
- たぶん泣くと思います。
- 糸井
- そうだよねえ。
- 飯島
-
撮影で材料が余ると、もったいないので、
全部調理して、つまんでもらえるように、
置いてくるんですよ。
- 天海
- それは、みんな嬉しい!
- 糸井
-
『ごちそうさん』って朝ドラがあったじゃない。
あれは飯島さんだね。
- 天海
- わあ!
- 糸井
- 連ドラで大変だったでしょう。
- 飯島
- しかも大阪だったんです。
- 天海
- うわわわわ。そうでしたか。
- 糸井
- あれ、何食ぐらい作ったろうね。
- 飯島
-
東京から来る役者さんに合わせて、
たとえば1日で5日分の朝食シーンを撮ります、
ってなると、同じ日に5日分の朝食をつくって
次々と出さなきゃいけなかったり。
- 糸井
- そうやってやってたんだ。
- 天海
- そうですよ、大変ですよ。
- 糸井
- じゃあ天海さんの出る刑事モノとかは、その点‥‥。
- 飯島
- カツ丼とか?
- 天海
- それが、カツ丼も出ないんですよ。お水だけ。
- 飯島
- カツ丼あったら作りに行っちゃうのに。
- 天海
- アハハハ。ありがとう!
- 糸井
- それはなぜ? お水だけって。
- 天海
-
緊急事案対策取調班っていうところなんです。
取調室では緊急を要することを“吐かせる”。
例えば爆弾であったりね。
だからカツ丼じゃなくて、
お茶でもなくて、お水なんですって。
あとは、取り調べの前室みたいなところで飲む
コーヒーぐらいです。
- 糸井
-
そういう役なんだね。
そういう刑事の仕事が終わって
楽しくゴハンを食べるシーンとかは‥‥?
- 天海
-
それはありますね。
みんなで行きつけの居酒屋に、みたいな感じ。
- 糸井
-
居酒屋なんだ。
そういう目で観てみようかな。
- 飯島
-
警察のかたは、仲間同士で居酒屋に行っても、
肝心なことがしゃべれないから辛いですよね。
「今日の仕事はこうだったね」なんて、
取り調べのことを外で言えないじゃないですか。
- 天海
- あぁ、そうですね。
- 糸井
-
でもね、そういう仕事はものすごく多いんだよ。
皆さん、自由なところにおられるんだよ、やっぱり。
- 天海
-
そうだ、私たち自由だね。
‥‥もう、私、ものすごいお皿が並んでます。
- 糸井
- ししとうの先っぽもないね。
- 天海
-
全部食べちゃった。
ししとうが、歯ごたえがあっておいしかった。
グニッてなっちゃうじゃないですか。
火を入れすぎちゃうんですよ、ついつい。
- 飯島
-
ついつい焼きすぎちゃうんですよね。
でも、ピーマンとかししとうって、
生でも食べれるじゃないですか。
だから、ピーマンの肉詰めも、
肉のほうから焼いて、
後ろはちょっとあっさり焼くとかにすると、
歯ごたえが残りますよ。
- 天海
-
パリッといけるんだ!
(つづきます)
2017-05-20-SAT