その2390
あるところに甲と乙があって、
甲は乙の話を聞き損ねた。
が、たまたま返した返事が的を射て、
乙は通じたものと誤解したまま
さらに会話を押し進めようとした。
しばし会話は進むかもしらんが、
勢い、どこかで破綻する。
それを「かみ合わない会話」と呼ぼう。
いったいどこで誰が
どう「まつがった」のか?
分析しながら読むのも一興。
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東京に住み始めて間のない頃、
東京出身の友人との待ち合わせ。
友「じゃ、シモタカイドで
  待ち合わせよう」
私「OK! シモタ街道ねー。
  って、それどこ?」
友「京王線で明大前の次だよ」
私「そんな街道あったかな?」
友「??? ‥‥街道じゃなくって
  下高井戸って駅だよ!」
ありそうな下田街道。
(Yumi)

私は総務部。
先ほど会社で、他部署の上司から聞かれました。
上司「会社案内のエーゴ版ってある?」
私 「A5ですか?(A4ならあるのに)
   A5はないですね」
上司「そうか、いや、
   海外の取引先に渡したくてさ。
   部長にエーゴ版があるか聞いといてよ」
ここで「はっ!」と気がついた。
上司は「英語版」と言っていたのだ。
どっちにしろなかったのでオーライ。
(笑われた)

わたしが美容室に行き、
迎えに来てもらった兄との話。
私「今日ね、パーマかけてもらったの」
兄「ふぅん」
私「それでね、遠まわしに
  『髪傷んでますね』って言われたの。
  だからトリートメントもしてきちゃった」
兄「‥‥お前、外国人さんに
  やってもらったの?」
私「???」
兄「だってトーマス
  言われたんでしょ?」
私「と・お・ま・わ・し・に!」
(話を聞かない兄と滑舌の悪い妹)

高校の時、山岳部の顧問をしてらっしゃる
先生から聞いた話です。
部員が山小屋に電話した時のこと。
「こちら○○高校の山岳部の者ですが、
 ×月△日に泊まりたいんですけど〜」
「え?」
「ですから、山岳部で、
 ×月△日に泊まりたいんですけど」
「え、泊まるんですか?!」
と、どうも話がかみ合わないと思ったら、
まつがえてどこかのおばあさんの家に
かかってたのだという!
そりゃ山岳部が家に泊まりに来たら驚くよね。
(H先生、お元気ですか?)

私は四国に住んでいるため
よくお遍路さんを見かけます。
先日も、娘を幼稚園に送り届けた帰り道、
完璧なお遍路ファッションの
おじいさんに声をかけられました。
仙人様のような
立派な白い口ひげをたくわえた
その方は言いました。
ファンタジー
 どこでしょうか?」
私の頭の中にはその仙人様が
場末のスナック「ファンタジー」で
一杯やっている姿が浮かびました。
「この辺にそういう名前の
 お店はありませんけど」と答えると‥‥。
「店ではなくてお寺なんですけど」
「はあ‥‥」
結局、道案内はできず帰宅してから
50番目札所「繁多寺(はんたじ)」
のことだと気がつきました。
仙人様、勝手な想像をしてごめんなさい。
(雨女)

ある日の夕飯の時の、母と私の会話。
私「この魚、ホッケだっけ?」
母「そう。かわいいよね」
私「え、そうかなぁ」
母「前よりかわいくなったでしょ」
私「?
 (魚をひっくり返して顔を見てみる)
  別にかわいくないよ、
  魚としちゃ普通じゃない?」
母、爆笑。
母が「かわいい」と言ったのは大きさのことで
前より小さくなったよね、という意味でした。
(ふいづ)
ふつうの失敗、特殊な出来事、
どのような「まつがい」でも
私たちに送ってくださいませ。
心に残るそのエピソードを、
どうぞ、なんとなくでかまいませんから
思うがままに書き進め、
できたところで送信ボタンを
あまり深く思い悩まず押してください。
大丈夫、どうぞ、お気軽に!

イラスト:しりあがり寿
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2010-08-31
HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN