HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

犬と猫にまつわる32のエピソード

みなさんから寄せられた
犬猫エピソードを、
毎日すこしずつご紹介します。

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犬と猫にまつわる32のエピソード

みなさんから寄せられた
犬猫エピソードを、
毎日すこしずつご紹介します。

今年7月の松本ひで吉さんと糸井の対談で、
読者の「犬猫エピソード」を募集したところ、
なんと約600通ものご応募がありました。
どうもありがとうございました。
すべて大切に読ませていただきました。
こちらのコンテンツでは
編集チームおすすめの32のエピソードを、
毎日すこしずつご紹介していきます。
各賞の発表は最後にお知らせしますので、
どのエピソードが受賞するのか、
一緒に予想しながら読んでみてくださいね。
はたして「松本ひで吉賞」は誰の手に!

犬にまつわる話を3つご紹介します。
ただ寄り添ってくれることが、
どれだけ飼い主にとってうれしいことか。
そんな投稿者のきもちが伝わってきます。

#20
愛犬チップ

松本ひで吉さんのイヌイラスト

私は呼吸器が弱く、
部屋が乾燥しただけで咳がでます。
とくに夜中に咳きこむことが多く、
一度咳がではじめるとなかなかおさまらず、
苦しくて辛いだけじゃなく、
寝ている家族を起こしたら申しわけない
という気持ちになります。

ところが愛犬のチップは、
私が咳をしはじめると夜中でも起きてくれ、
苦しそうに咳きこむ私の横で、
咳がおさまるのを心配そうに見守ってくれます。
そして咳がおさまると、
なぜか私のおでこをペロリと
ひと舐めしてから眠りにつきます。

心配させて申しわけないなと思いつつ、
寄り添ってくれる存在に救われる毎日です。

(さとみとチップ)

#21
季節外れの
サンタさん

松本ひで吉さんのイヌイラスト

私は「引きこもり」になったことがあります。
このままではいけないと思い、
何か外に出るきっかけを探すのですが、
考えているうちに日が暮れていることもしばしば。
そんなふうに毎日家の中で過ごしていました。

そんなとき、
わが家にゴールデンレトリーバーの
男のコがやってきました。
しばらく彼と暮らしているうちに、
彼は毎朝私の靴下をくわえて
枕元で待機するようになりました。

大きな体で甘え、
毎朝靴下をくわえてやってくる彼は、
まるで季節外れのサンタさんのようでした。
かわいくておかしくてたまりませんでした。
まるで「外に一緒に行こう」と言っているようでした。

それから彼と一緒に
外で散歩するのが私の日課になりました。
彼は私を外の世界に
連れ出そうとしてくれたんですね。
心配かけさせちゃったんだろうなー。
私はダメな飼い主だったかもしれませんね。

大丈夫。
いまでは友達もたくさんいるし、
元気でやってるよ。
もう大丈夫。

(タケシ)

#22
愛犬の散歩コース

松本ひで吉さんのイヌイラスト

20年くらい前に、
実家で飼っていた愛犬ミルク。
やさしくて気づかいができ、
私にはお姉さんのような存在でした。
14歳で虹の橋をわたりましたが、
そのときのエピソードです。

火葬場に行くために、
業者さんのライトバンが迎えに来ました。
私たちは自分たちの車で
あとをついていったのですが、
業者さんが道に迷ってしまい、
ご近所を一周してから大通りに出ました。
その迷ったルートは、
偶然にもミルクの散歩コースだったのです。

「最後に散歩コースを通ったんだね」
と家族で話しながら車を走らせていると、
道路の中央に1台の車が停まっていました。
よく見ると道路脇の街灯が倒れ、
車のフロント部分がつぶれていたのです。

幸い、運転手さんにケガはなさそうで、
車の外に出て待機していました。
まだパトカーも来てなかったので、
いまさっき起こった事故のようでした。

もし業者さんの車が道を間違えて
ミルクの散歩コースを通っていなかったら、
もしかしたら街灯が倒れた瞬間に、
私たちの車がそこを通っていたかもしれません。

そのときは悲しみいっぱいで、
あまり深く考えられなかったのですが、
あとになってそんなことを家族と話しました。
ミルクが守ってくれたのかな。

20年たったいまでも、
忘れられない思い出です。

(そらのススキ)

明日につづきます。

2019-10-28-MON

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