横石 |
こちらは、「いろどり」の葉っぱの
収穫をしている菖蒲増喜子さんのご自宅です。
菖蒲さん、作業場見せてもろてええ? |
山田 |
こんにちは。失礼いたします。
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菖蒲 |
なんか気ぃおちつかへんでな。 |
横石 |
ははは、そら、失礼しました。
今日は注文ようけ来とる? |
立木 |
毎朝、どの葉っぱがどのくらい必要か
注文が、ファックスで流れるんですよ。 |
菖蒲 |
なんぼでも来るんよ。
今朝からどんどん来よるんやけんどな。 |
山田 |
すごい。 |
菖蒲 |
いんやー、もう
落ち着かんでな。
そういうときに限って
みなさん来てくれたら困る、と思て。 |
横石 |
はははは、そら、ほんまに失礼しました!
このファックスを見て、おばあちゃんたちが
「もしもしこれ私やります」
と、「いろどり」本部に電話で連絡するんですよ。
早い者勝ちなんですわ。
けっこう激戦になるから
電話がなかなかつながらなかったり。 |
菖蒲 |
みなが構えとるけんね。 |
糸井 |
今日はハランが多いね。 |
山田 |
‥‥ハランって、バランのことですか?
ハランの葉ってあるんですね。
ハランって、てっきり
もともとプラスチックのものだと思っていました。 |
糸井 |
ハランが、プラスチックの、
食料品グッズの、
用語だと思ってたの? |
菖蒲 |
あの、ビニールでつくってある、あれ! |
横石 |
菖蒲さん、ここにあるやろ、ハラン。
見せてあげて‥‥
ほら、これが本物ですよ。
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山田 |
へえ! ギザギザしていない。 |
菖蒲 |
都会の人は本物がわからんのやなあ。 |
糸井 |
山田さん、メンマはタケノコだよ? |
山田 |
それはわかります(笑)。 |
横石 |
ハラン、どうぞ持って帰ってください。
これだけ大きいやつはなかなかないですよ。
東京だったら、
1カン500円、1000円くらいする
高級なお寿司屋さんなどが出す葉です。
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山田 |
これだけきれいなハランが採れるのは、
技術によるものですか? |
立木 |
もちろん技術が必要です。それに、
量をたくさんつくってきれいなものを選ぶことも
大切な過程ですから、
ある程度の栽培量も必要です。 |
山田 |
本物のハランを見るのははじめてですけれども、
触ってみると、プラスチックっぽいんですよ。
若干、ですけど(笑)。
だからこれをプラスチックにしたんだろうな、と
思いました。 |
横石 |
‥‥なるほどね! |
菖蒲 |
やっぱり見せやなんだらあかんもんなあ。
たしかにプラスチックに似とるわなあ! |
糸井 |
マーガリンはバターに似とるしなあ(笑)。 |
横石 |
菖蒲さんは、80歳を超えているんですよ。 |
糸井 |
あと300年くらい
がんばんなきゃいけないもんね。
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菖蒲 |
もう10年は、生きようと思てるんです。 |
糸井 |
もう10年、もう10年って、
毎回増えていくんですよね? |
立木 |
菖蒲さん、去年の年末に苗を植えたんですよ。 |
菖蒲 |
苗木植えたら、それが
テレビに映ってもうてね。 |
糸井 |
この人はまだやる気なんだと
みんなに思われた、と(笑)。 |
山田 |
菖蒲さん、すごく手がはやいです。
こうやってお話しているあいだに
どんどん作ってる。
あっという間にひとパックできますね。 |
糸井 |
手を止めたら意味がないからね! |
菖蒲 |
そうよ。 |
横石 |
1パックがだいたい250円。
10個で2500円なわけですわ。
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糸井 |
感心します。
すごい時給ですよ。 |
菖蒲 |
今日はもう、はようからやっとるんよ。
1か月も前から
糸井さんが来てくれるいうて
もう、待って待って、しとったんよ。 |
糸井 |
そーれが!
こんなもんで、ごめんなさいね。 |
横石 |
こうやって仕事しとるおばあちゃんと、
病院で座っとるおばあちゃんと、
えらい差でしょう。
日本はみんな、こうならんといかんのよ。
そんで、若い人に
介護保険とか出してもらわんでも
ええようにせなあかん。ほんまに。 |
糸井 |
逆に、ここの人たちはみんな
若い人にお金出してるんだね。
孫のマンションの頭金とかね。
(つづきます!)
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