山田 |
葉っぱの出荷のための
「いろどり」本部からの指示書が
ちゃんとあるんですね。
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立木 |
みんなが同じように出せるように、
ポイントが書いてあるんです。 |
山田 |
なるほど。 |
横石 |
葉っぱの価格も
毎日変動しますので、
そういう情報もファックスで
毎日流れるんです。 |
山田 |
菖蒲さんは、このややこしそうな紙を
毎日ごらんになるわけですか?
株価新聞を見るように。 |
菖蒲 |
朝に見てから、
仕事にかかるんです。
パソコンにもいっぱい情報が来るんよ。 |
横石 |
いろんなもんをチェックせなあかんわけです。
自分に密着していることやから、
スッと頭にはいるわけですよ。 |
糸井 |
あ、おかあさん、
パソコンの画面に
ユーザー名とか入れてるよ?
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横石 |
これまでの成績も
自分でチェックすることができます。 |
糸井 |
おかあさん、こりゃあすごいことだね、
毎日2万円3万円の売り上げじゃ、
どうなっちゃうの? |
菖蒲 |
毎日ではないんよ。
出す品物によって
高いやつと安いやつがあるから。 |
山田 |
いつも何時間くらい
働いているんですか? |
菖蒲 |
そうやなあ、
8時から夕方の5時くらいかなあ。
ご飯食べたらもうな、やめる。 |
糸井 |
上勝に引っ越したいという人たちも
たくさんいるでしょうね。 |
横石 |
たくさんいらっしゃいます。
菖蒲さんのような人の歳や力を見れば、
自分のほうがぜったい上だと
みなさん思ってしまうんです。
自分のほうが稼げると思うでしょうけど、
それはすこし違う。
この土地を知りつくしていること、
草木のことがわかっていること、
「つまもの」にできるようなきれいな葉っぱの
栽培について毎日毎日考えていること、
特定の葉っぱが必要とされているときに
すぐに切り替えて動ける行動力と
全体を支える気持ちがあること、
すべてがこの人たちにはそろっているんです。 |
糸井 |
パソコンのなかには
おたより紹介コーナーもあるんですね。
ああ、全国からメッセージが来てますね。 |
菖蒲 |
ようけ来るんですわ。
みんなじょうずに書いたある。
こんなに言うてくれるの、
がんばらないかんな、思うわ。
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山田 |
菖蒲さんのように80歳を超えた方が、
パソコンを買って、そして、毎日見ることが
あんまりふつうはないことですよね。 |
菖蒲 |
最初はスイッチを入れるのんも
怖うてなあ。
いまはほんまに新聞がわりやな。 |
糸井 |
新聞よりも、
自分のことを書いてあるわけだから
うれしいですよね? |
菖蒲 |
自分にあてはまることやけんな。 |
山田 |
全国各地から届いたおたよりをまとめて
配信される方がいらっしゃるんですね? |
横石 |
うちのメンバーがみな、やってます。 |
糸井 |
「いろどり」の本部があるんだよ。
もーーーのすごく広い(笑)。 |
横石 |
いやいや、この部屋くらいの広さです。 |
糸井 |
役場のすみの、はしっこのところで
やってる。 |
菖蒲 |
そうなんよ。
せまいとこ、ちょびっとしかもろてないんよ。
それを私は言いたいんよな。
町へ言うてもっと
広い施設をつくってもらいたいんよ。 |
山田 |
お互いの思いやりが‥‥。 |
糸井 |
いい話だ。
もう菖蒲さん、
仕事にもどってください。 |
山田 |
夜の銀座並みの時給なのに、すみません。
疲れたとか、思われることはないですか。 |
菖蒲 |
あんま、ないんよ。
晩茶飲んだら大丈夫。
あのね、サインしてもらいたいんよ。 |
一同 |
(笑) |
糸井 |
させてもらいますわ。
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菖蒲 |
これ食べる?
わたしとこ植えとんのよ、もも。 |
山田 |
もも? もも、ですか。
これは、見たことないなあ。
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立木 |
山桃(やまもも)ね。
徳島の県の木なんですよ。 |
糸井 |
塩でいただくんですね。
おいしそう。いただきます。 |
菖蒲 |
どんどん食べて。
まだあるけんな。
なくなるまで食べて。
(つづきます!)
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