いろどり 稼ぐおばあちゃんたちの町。
6 座布団、正座、パソコン。

山田 葉っぱの出荷のための
「いろどり」本部からの指示書が
ちゃんとあるんですね。

立木 みんなが同じように出せるように、
ポイントが書いてあるんです。
山田 なるほど。
横石 葉っぱの価格も
毎日変動しますので、
そういう情報もファックスで
毎日流れるんです。
山田 菖蒲さんは、このややこしそうな紙を
毎日ごらんになるわけですか?
株価新聞を見るように。
菖蒲 朝に見てから、
仕事にかかるんです。
パソコンにもいっぱい情報が来るんよ。
横石 いろんなもんをチェックせなあかんわけです。
自分に密着していることやから、
スッと頭にはいるわけですよ。
糸井 あ、おかあさん、
パソコンの画面に
ユーザー名とか入れてるよ?

横石 これまでの成績も
自分でチェックすることができます。
糸井 おかあさん、こりゃあすごいことだね、
毎日2万円3万円の売り上げじゃ、
どうなっちゃうの?
菖蒲 毎日ではないんよ。
出す品物によって
高いやつと安いやつがあるから。
山田 いつも何時間くらい
働いているんですか?
菖蒲 そうやなあ、
8時から夕方の5時くらいかなあ。
ご飯食べたらもうな、やめる。
糸井 上勝に引っ越したいという人たちも
たくさんいるでしょうね。
横石 たくさんいらっしゃいます。
菖蒲さんのような人の歳や力を見れば、
自分のほうがぜったい上だと
みなさん思ってしまうんです。
自分のほうが稼げると思うでしょうけど、
それはすこし違う。

この土地を知りつくしていること、
草木のことがわかっていること、
「つまもの」にできるようなきれいな葉っぱの
栽培について毎日毎日考えていること、
特定の葉っぱが必要とされているときに
すぐに切り替えて動ける行動力と
全体を支える気持ちがあること、
すべてがこの人たちにはそろっているんです。
糸井 パソコンのなかには
おたより紹介コーナーもあるんですね。
ああ、全国からメッセージが来てますね。
菖蒲 ようけ来るんですわ。
みんなじょうずに書いたある。
こんなに言うてくれるの、
がんばらないかんな、思うわ。

山田 菖蒲さんのように80歳を超えた方が、
パソコンを買って、そして、毎日見ることが
あんまりふつうはないことですよね。
菖蒲 最初はスイッチを入れるのんも
怖うてなあ。
いまはほんまに新聞がわりやな。
糸井 新聞よりも、
自分のことを書いてあるわけだから
うれしいですよね?
菖蒲 自分にあてはまることやけんな。
山田 全国各地から届いたおたよりをまとめて
配信される方がいらっしゃるんですね?
横石 うちのメンバーがみな、やってます。
糸井 「いろどり」の本部があるんだよ。
もーーーのすごく広い(笑)。
横石 いやいや、この部屋くらいの広さです。
糸井 役場のすみの、はしっこのところで
やってる。
菖蒲 そうなんよ。
せまいとこ、ちょびっとしかもろてないんよ。
それを私は言いたいんよな。
町へ言うてもっと
広い施設をつくってもらいたいんよ。
山田 お互いの思いやりが‥‥。
糸井 いい話だ。
もう菖蒲さん、
仕事にもどってください。
山田 夜の銀座並みの時給なのに、すみません。
疲れたとか、思われることはないですか。
菖蒲 あんま、ないんよ。
晩茶飲んだら大丈夫。
あのね、サインしてもらいたいんよ。
一同 (笑)
糸井 させてもらいますわ。

菖蒲 これ食べる?
わたしとこ植えとんのよ、もも。
山田 もも? もも、ですか。
これは、見たことないなあ。

立木 山桃(やまもも)ね。
徳島の県の木なんですよ。
糸井 塩でいただくんですね。
おいしそう。いただきます。
菖蒲 どんどん食べて。
まだあるけんな。
なくなるまで食べて。

(つづきます!)
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2006-10-18-WED

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