立木 |
「いろどり」で扱う「つまもの」の数は
300品目以上ありますけれども、
そうやって品名として名前がつくことで
みなさんの目が、ちゃんと
ひとつひとつの植物に行くんです。
「この種類のこの葉っぱの
どの状態のものがこれだけほしい」
という注文が来ると、
それをきちんと出すことができるのは、
それぞれの人が、
自分の扱う葉っぱがどんな状態か、
在庫管理がすべてできているからなんですよ。 |
横石 |
自分の畑の置かれている条件も
把握できてると思います。
色や大きさの変化の状況も
ぜんぶわかっています。 |
糸井 |
葉っぱは毎日変わるからね。
採った葉っぱをパックしている仕事が
いちばん仕事っぽく見えるけど、
そうじゃない時間もたくさん必要なんですね。
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横石 |
散歩しよんやな、と思てたら、違う。
「この葉っぱはいま何センチやな」と、
見回っているんです。
目配り気配り、かなりやってますね。 |
山田 |
自分の葉を把握している度合いは
みなさんおなじくらいなんでしょうか。 |
横石 |
それは、思いによって違います。
自分の思いが強ければ強いほど
興味や関心が高くなるから、
それに連れて
判断力、把握度が高くなっていきます。
環境や状況、季節、世の中の動き、
すべてが「自分のこと」になるんです。 |
山田 |
漫然とやってると、
ついてこない力ですね。 |
糸井 |
ぼくは脱サラの農家を
これまで見た機会があったんですが、
すべてを自分の頭へ近づけようとするから
ちょっと困ったことになっているな、
というケースに出会ったことがあります。
もちろん、そうじゃない人のほうが
多いんだけどね。
畑に雑草が出たとする。
「俺は農薬を絶対使わない」と決めた人は、
使っちゃいけない、と考えるから
「雑草が出ているほうがいいんですよ」
というふうに、人に伝えてしまうんです。
だけど、もともと農業をやってた人は、
抜きます。草は嫌だから。
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横石 |
ぜったいに抜きますね。 |
糸井 |
だけど、脱サラ組は
「雑草が出てるでしょ?
ぼくは除草剤を使わないんですよ。
その証拠です」
って自慢するわけ。
頭の中で考えていることを
正当化するために生きるんですよ。
もともとそのことでお金を得ていた人たちは、
頭の中のつくり話はないから、
この、いま目の前にある現実への対応の
積み重ねをするんです。 |
横石 |
そうかもわからんね。 |
糸井 |
田舎にいるのと都会にいるのとでは、
そのあたりがちがうのかな。 |
横石 |
実際に目の前にするから
見えることがあるんかもしれんね。 |
菖蒲 |
そうねえ、あの木かて
先っちょのほうは、採れたら
しょうにするといけるのに。
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山田 |
??
「先のほうは
塩漬けにするといける?」 |
横石 |
いや、「小」にするといける、と
おっしゃったんです。 |
山田 |
小? |
横石 |
葉っぱには「小」と
「普通」サイズがあるから。
「小」は日本料理のつきだしで
使われることが多いんです。
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山田 |
なるほど! 「小」か。 |
糸井 |
「塩漬け」に聞こえるのが
一般的には正しいかもね。
おばあちゃんが業界用語の「小」と
言うほうが新鮮だから。 |
山田 |
採れないけど、
あんな遠い場所についている
葉っぱのことまで
気にかけているんですね。 |
糸井 |
「惜しい!」とか
しょっちゅう思っていらっしゃるのかも
しれませんね。
人は、何についても、よーく見ていると
「もうちょっとでよくなるのに」
ということについて、勘が働きます。
「惜しい!」って何回言うかが、
商売人のコツなのかな。
横石さんも
「もうちょっとなんですよね」
とおっしゃること、多いですもん。 |
横石 |
そうです。 |
山田 |
最近、糸井さんも多いですよ、
「惜しい」と言うことが。 |
糸井 |
うん、そうだね。
たぶんそういう時期なんだと思う。
(つづきます!)
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