糸井 |
おとうさん、
目が株式市場を見ているみたいですね。 |
横石 |
おじいちゃんは、市況を見よん?
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糸井 |
がんばってますね! |
菖蒲 |
ははははは。 |
横石 |
よう売れとるやろ、今日は。 |
菖蒲 |
そうやね。 |
横石 |
うん、あがってきてる。
これで、土日やろ、連休があって、
相撲もある。 |
山田 |
相撲も、ですか。 |
糸井 |
折り詰めの出るときはでかいですね。 |
横石 |
おっしゃるとおり。
大安吉日も影響があります。 |
山田 |
社会の動きとリンクしてますね。
状況が刻々と変わる、ということは、
人を寄せ付けますから、
働く人がたのしいですね。 |
立木 |
他の人の出荷数もわかるから、
「あの人元気そうやな」
とか
「がんばっとるな」
とか
「何かあったんじゃないか」
とか、みなさんファックスから
読み取ってるんです。
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山田 |
ものすごい
コミュニケーションのしかたですね。 |
立木 |
「いろどり」ができて、商品が増えたから
お料理屋さんでも、
たくさん使うようになりましたよ。
ホテルやデパートのお節でも、
いっぱい葉っぱが入るようになったでしょう。
南天、柿の葉‥‥、
前はそんなに種類が入ってなかった。 |
横石 |
居酒屋さんも、器や季節感に
こだわるところが増えてきましたし。 |
糸井 |
そういう発想って、
いままであったものをじっと見ていては
できないものですね。
つまり、目がいかなくなるんですよ。
椿餅をじっと見ていると
どうやって椿を仕入れるかしか
頭が行かないんです。
けれども、椿餅を漠然と見ることによって
例えば「居酒屋さん」が見えてくるんだね。
つくづく思うけど、
集中しちゃいけないことって、多いですね。 |
横石 |
そうやね。
いろんな場面で
いろんなことを自分に取り込むように
しておく必要がある。
それは、おばあちゃんたちを
旅行に連れて行くとわかるね。 |
山田 |
旅行?
研修ですか?
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横石 |
そう。研修で料亭に
何人かで食べに行くんです。
葉っぱがどんな使われ方をしているのか、
あの人らにもわかってもらわんと。
そこでもみんな、いろんなことを想像して、
目の前にあることを
「自分のこと」にしていきます。 |
山田 |
けっこう行かれるんですか? |
横石 |
うん、行く。それでみな、変わってきましたよ。
昔は、現場のことには
見向きもしなかったけど
見てすぐ自分の仕事に連動させてくるよ。
あの人ら、すっごい、見てる。
料亭でね、横におったら
会話が聞こえてくるんや。 |
山田 |
すごく能動的な旅行ですね。 |
横石 |
そうやね「能動的」という言葉は、
ほんまにそのとおりやね。
動物的というか。
(つづきます!)
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