いろどり 稼ぐおばあちゃんたちの町。
12 自分のことに変えるおもしろさ。

糸井 おとうさん、
目が株式市場を見ているみたいですね。
横石 おじいちゃんは、市況を見よん?

糸井 がんばってますね!
菖蒲 ははははは。
横石 よう売れとるやろ、今日は。
菖蒲 そうやね。
横石 うん、あがってきてる。
これで、土日やろ、連休があって、
相撲もある。
山田 相撲も、ですか。
糸井 折り詰めの出るときはでかいですね。
横石 おっしゃるとおり。
大安吉日も影響があります。
山田 社会の動きとリンクしてますね。
状況が刻々と変わる、ということは、
人を寄せ付けますから、
働く人がたのしいですね。
立木 他の人の出荷数もわかるから、
「あの人元気そうやな」
とか
「がんばっとるな」
とか
「何かあったんじゃないか」
とか、みなさんファックスから
読み取ってるんです。

山田 ものすごい
コミュニケーションのしかたですね。
立木 「いろどり」ができて、商品が増えたから
お料理屋さんでも、
たくさん使うようになりましたよ。
ホテルやデパートのお節でも、
いっぱい葉っぱが入るようになったでしょう。
南天、柿の葉‥‥、
前はそんなに種類が入ってなかった。
横石 居酒屋さんも、器や季節感に
こだわるところが増えてきましたし。
糸井 そういう発想って、
いままであったものをじっと見ていては
できないものですね。
つまり、目がいかなくなるんですよ。

椿餅をじっと見ていると
どうやって椿を仕入れるかしか
頭が行かないんです。
けれども、椿餅を漠然と見ることによって
例えば「居酒屋さん」が見えてくるんだね。
つくづく思うけど、
集中しちゃいけないことって、多いですね。
横石 そうやね。
いろんな場面で
いろんなことを自分に取り込むように
しておく必要がある。
それは、おばあちゃんたちを
旅行に連れて行くとわかるね。
山田 旅行?
研修ですか?

横石 そう。研修で料亭に
何人かで食べに行くんです。
葉っぱがどんな使われ方をしているのか、
あの人らにもわかってもらわんと。
そこでもみんな、いろんなことを想像して、
目の前にあることを
「自分のこと」にしていきます。
山田 けっこう行かれるんですか?
横石 うん、行く。それでみな、変わってきましたよ。
昔は、現場のことには
見向きもしなかったけど
見てすぐ自分の仕事に連動させてくるよ。
あの人ら、すっごい、見てる。
料亭でね、横におったら
会話が聞こえてくるんや。
山田 すごく能動的な旅行ですね。
横石 そうやね「能動的」という言葉は、
ほんまにそのとおりやね。
動物的というか。


(つづきます!)
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2006-10-24-TUE

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