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若い頃、映画を観ているときに 外国人の女優さんが 今にも泣くその数秒間前、 目にいっぱい涙をためるシーンがありました。 涙が満ちあふれんばかりの湖のような目になり、 そのうるわしさに、うっとりとしたものです。 そして、次の瞬間、まばたきとともに、 大粒の涙が頬を伝わったときには、 その美しさにため息をついたものです。 私のように目が小さい者にとっては 涙がたまるスペースもなく、 河の水がとどまることなく流れるように さらさらと流れてしまいます。 けして、涙と感情の高まりを ためこむ面積は持ち合わせていません。 当時の私は、 少しでも目が大きく丸く見えるように、 目の運動や化粧に精を出したものです。 ところが、あるイタリア人の友人は、 私からみれば素晴らしく大きい目と、 まばたきをすると 空気の波ができるのではないかしらと思うほど、 長いまつげの持ち主ですが、 その彼女がなんと、切れ長の目に見えるように、 アイラインの入れ墨のようなものをしました。 つり目になるようなカーブです。 「あなたのような切れ長の目になりたいの! 寝起きでもお風呂上がりでも海でも、 いつもはっきりとした目でいたいの」 と言ってました。 そう、「アーモンドのような目」といわれる 東洋人の目に憧れる イタリア人女性は少なくありません。 私も彼女も まさしく「ないものねだり」ですね。 大きくて、かつ、切れ長の目‥‥ これが女性があこがれる 目のかたちの極みでしょうか? さて、今回ご紹介するレシピは私の大好物で、 イタリアに住んでいる日本人の友人が イタリア人のシニョーラから教わった 「ピリ辛キンカンジャム」です。 キンカンはこちらでは 「中国みかん」と呼ばれていて、 イタリアの南の地方では、 みかんやオレンジの木と 一緒に植えられているところを見かけます。 ちいさい実がたくさんなってかわいいので、 ミラノでは、鑑賞用として 鉢植えにして飾る人もいるほどです。 「ピリ辛キンカンジャム」は イタリアの南の地方のペペロンチーノと 東洋の味が融合した魅力ある味です。 今回は友だちが教えに来てくれました。 みなさんも私と一緒に習いましょう。
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