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ローマからやってきて我が家に逗留している 息子より少し年上の男友人が お昼にカルボナーラを作ってくれるというので、 ふたりで近所のスーパーに買い出しに出かけました。 このスーパーの入り口には いつも見かける姿があります。 高い背を丸めながら帽子を差し出して 挨拶をしながら物乞いをする青年です。 別に恐怖感を抱いているわけではありませんが なるべく目を合わせずに通り抜けていました。 この日も彼がいつもの場所にいました。 彼の横を通り抜けて買い物をすませ、 再び、前を通りかかったときの出来事です。 彼が小銭の入った帽子を下に落とし、 一目散に走り出しました。 「どうしたことか?」 視線の先には 彼に抱かれた老婦人がいました。 その状況をすばやく把握した友人も 凄い勢いで後に続きました。 雨あけの道で滑り転んでしまったところを 青年がすぐに受け止め、 後から駆けつけた友人とふたりで ゆっくりと立ち上がらせていました。 どこに住んでいるのか? 歩けるか? と質問したところ、老婦人は、 100m先のアパルタメントに住んでいることや、 支えてもらえば歩けることを気丈に答えたので、 最初に駆け寄った1番手の青年からバトンタッチして、 帰り道方向が同じ、2番手の私たちが 家まで送ることになり、ゆっくりと歩きはじめました。 彼女が話す身内話を聞きながら、 ゆっくりと歩いていると向かいから 彼女の住居を知っているという ふたりの老婦人と出会って、 3番手に渡されました。 ひとりめの想いが3人目まで伝わったのは、 手を差し伸べる気持ちでした。 全く知らない者同士がその時に信頼を交わし、 させてもらえる気持ちと、 それを好意として受け取る、その関係が その時に自然な形で成り立ちました。 手渡した同士が交わした 「グラッチェ(ありがとう)」。 そして、転倒した老婦人の「グラッチェ」が 逆に皆の心をあたためてくれました。 物乞いの青年が帽子の中のお金より 「支えの手」を選んだ見切り力。 そして、信頼感で繋がる心を信じる力。 朝からたくさんを学んだ日で、 快いスタートをきりました。 さて、今回ご紹介するメニューは、 旬のアンティーチョークのリゾットです。 前回のチーズクリームを使いましょう。 クリスマス料理にいかがですか? ご家族で素敵なクリスマスをどうぞ。 おまけです。 我が家の今年のツリーは傘使用です。
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