糸井重里の 本能カレー  ── レシピですとは言えないけれど ──
その4 スパイスよ香れ! 会社中に漂え!

コーヒーミルでスパイスが挽けるという発見もあり、
カレーづくりは順調に進んでいます。
次なるステップは、ひとつのクライマックス。
細かくしたスパイスを、炒めるのです!
それによって、さらに強い香りが「ほぼ日」に漂い‥‥。
乗組員たちの内なる野生が目を覚ます?!


イトイ コーヒーミルは、すごかったね。
──── びっくりしました。
イトイ こんなにきれいに細かくなった。

──── さらっさらですね。
イトイ そっちのタマネギ炒めも、
ぼくはそろそろ、オーケーにしたいんですが、
どう思います?

──── どんな具合でしょう‥‥。
ああー、はい、はい。

イトイ もっと飴色にもできるんですが、
このくらいにしておきましょうかね。
──── いいと思います。
では、こちらの寸胴(ずんどう)に
材料たちを移していきましょう。
イトイ この寸胴で煮込むわけですね。

──── はい。
水は、どのくらい入れましょう?
イトイ 感覚で、だいたいで、適当にお願いします。
──── わかりました。
イトイ 薄く切ったほうの肉を炒めてますね。
ぼくが引き受けましょう、
ちょっとフライパンを拝借。

イトイ サッと焼いたら‥‥
このまま寸胴に入れちゃいます。
はーい、よっこいしょお!
♪ジャンジャカジャカジャカジャーン。

──── ニンニクとショウガはどうしましょう。
イトイ ニンニクは軽く炒めて、
ショウガは、すったやつをそのまま寸胴へ。
──── 了解です。
イトイ ニンジンとジャガイモも、そのまま入れちゃおう。
──── はいーー。

イトイ 盛り上がってきたなぁ。
──── キッチンの熱気がすごいです。
イトイ お、こんなのミッケ。
入れちゃおうっと。

──── 鶏ガラスープの素。

イトイ よし、じゃあ、
さっきのスパイスを炒めようか。
──── いよいよ、たいせつなところですね。
イトイ まずは、ギーを。
──── ここでも、やはりギーを。

イトイ そうです、ぜんぶギーで炒めます。
いきますよ‥‥。

──── おお‥‥。
イトイ ♪いえーーーい
みんなのためにきょうは、
いっぱいスパイス入れるからねー♪

イトイ ♪手早く、炒めまーーす。

──── ‥‥すごい、香りがすごい。
イトイ そしたらー、1分以内に火を止めまーす。
はい、止めたー。

──── 1分以内。
イトイ コゲちゃうと苦くなるので、
ぜったいに炒めすぎないように。
軽ーくで、十分。

──── ああーーー、いい匂ーーい。
イトイ このフライパンを持ってさ、
みんなが働いてる部屋をひとまわりしてくれば?

──── ははははは。
イトイ いやいや、ほんとに。
──── え、ほんとにですか。
イトイ 人間という生き物が、
どういうふうに迷惑そうにするかを
観察すればいいと思うよ。
──── ‥‥わかりました。
この匂いで食欲に火をつけてきます。
みんなの野生を目覚めさせてやる。
じゃあ、行ってきまーす!

‥‥よーし、行くぞぉー。

うちわを持って、と。
‥‥まずはあのあたりから。

ぱたぱたぱた‥‥。
あ、よろこんでる。
ぱたぱたぱた‥‥。

逃げた(笑)、犬のように逃げた(笑)。
お、ここは好感触。

なに、その表情。
うしろからぱたぱた‥‥気づいた。

この人‥‥リアクション微妙だなぁ。
好反応‥‥と思ったら、
このあと思い切り咳き込んでました。
なんでそんな嫌そうな顔するのー。

※スパイス社内巡回の様子をよろしければ動画で。
──── ただいま戻りました。
ばっちり一周してまいりましたー。
イトイ どうだった?

──── えーと‥‥おおむね好評でした。
イトイ そう、よかったじゃない。


(よかったです。
 たのしく煮込む、次回へつづきまーす!)
2012-01-10-TUE
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